「システム外の人たちの逞しさが眩しい」バクラウ 地図から消された村 yoneさんの映画レビュー(感想・評価)
システム外の人たちの逞しさが眩しい
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不思議な印象の作品。
観終わった後、何とも言えない余韻が残る。
ストーリーとしてはそれほど突飛なところはない。
舞台は、ブラジルのとある架空の村「バクラウ」。
その村と、その村を壊滅させようと企むモノたちが戦い、村人が勝利する。
ただ、黒沢監督の「7人の侍」のように、部外者ではなく村人自ら立ち向かうところが決定的に違う。そして、その村人たちの表情(演技)が素晴らしい。この人たち、ほとんど俳優ではなく素人らしい。そのことが本当に凄い。何とも肝の座った顔と言うか、演技ではなく、彼らの実存を見せられているような感覚になる。
構図も面白い。
敵は欧米人。しかも、白人至上主義者っぽい。
こいつらが、何と言うか・・・すごく「弱い」(笑)
「あれ?嘘・・もうやられたの??」みたいなやられ方をする。
これら欧米人たちは、あくまでシステムの中で生きている(守られている)人として描かれているんだろうな。極めて個人的な理由で戦闘を行う。一方、村人たちは明らかにシステム(法)外で生きている。そのどうにも埋められない覚悟(団結力?)の差が、村人たちの圧勝、という結末につながるのだろう。
やはり仲間と生きている人たちは強い、ということか。。。
戦後、日本は村社会が解体され、都会へ人が流れた結果、個々人がバラバラの砂粒と化している。「連帯」という言葉が失われて久しい。この現象は日本に限った話ではないが、日本の状況は特に酷い。この作品が世界で評価されている、ということは、個人主義は突き詰めてもどこにも到達できない、ということが世界的に認知され始めている、その萌芽なのかもしれない。
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