「これがホントのアンチ・ハリウッド映画」バクラウ 地図から消された村 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
これがホントのアンチ・ハリウッド映画
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ハリウッドのアクション映画を観ていると、よくアメリカのネイビーシールズとか特殊部隊とかCIAとかが、南米の亡国のジャングルとかに潜入して、なんか秘密任務をやってのける。麻薬王を倒したり、要人を救出したり、宇宙生物と戦ったり、パターンはいくらでもあるが、共通しているのは、彼らがどれだけ活躍しようとも、先入先の国の主権を蹂躙して、好き勝手に武力を行使している、ということだ。実際、ビンラディン襲撃なんかも、他人の国に勝手に特殊部隊が押しかけて、敵だと認定した人間を殺して死骸を連れ去った、ということで、ビンラディンを弁護する気はないが、やり方としてはムチャクチャだと言うしかない。
で、バクラウだ。このブラジルのド田舎の村を舞台にした奇妙なバイオレンス映画では、アメリカからの一方的な介入が描かれていて、そこには南米を差別し軽視するアメリカへの厳しい批判がある(ブラジル内での差別問題にも触れられている)。ハリウッド映画だけでなく、現実世界でもアメリカは南米に介入しまくってきた歴史があって、その時々の権力者を都合よくすげ替えたりもする。そういう無法がまかり通ることに、バクラウの村人たちは反旗を翻す。いや、村人たちは、単に自分たちの命を守ろうとしただけかも知れない。しかし、村人たちは「そんな勝手はさせない!」と自分たちを舐めくさる連中をブッ殺す。ハリウッド映画の傲慢に、映画で意趣返しをするような、最高の啖呵に拍手せずにいられないような作品だと思う。
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