バクラウ 地図から消された村のレビュー・感想・評価
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グローバリズムへの抵抗の一撃
これはすごい。グローバリズムの時代に強烈な楔を打ち込んでいる。この映画で描かれる村は時代遅れで、野蛮な連中と言えるかもしれない。しかし、それもまた人の文化であり、尊重されねばならない。ネット上の地図から消されたことをきっかけに次々と恐ろしいことが起こる村で、村人たちは自分たちの村を破壊しようとする外部の連中に対して、一致団結して殺しにかかる。現代グローバルの価値観からは到底受け入れられない所業が後半描かれるが、この映画はそれを断罪などしない。これも人間の文化であると言い切っているように僕には見えた。
日本のアイヌ文化のことを少し思い出したりした。熊を育てて殺しイオマンテという儀式は野蛮だと今はみなされてしまうだろう。しかし、あれも少数民族の大切な文化だったろう。グローバリズムとは結局、強引に少数の価値観を洗い流す凶行なのではないか。凶行に対して、この映画の村人は文字通り凶行で対抗したわけだ。彼らの凶行は、マジョリティ側の乱暴さ、乱雑さをも浮かび上がらせる。
これがホントのアンチ・ハリウッド映画
ハリウッドのアクション映画を観ていると、よくアメリカのネイビーシールズとか特殊部隊とかCIAとかが、南米の亡国のジャングルとかに潜入して、なんか秘密任務をやってのける。麻薬王を倒したり、要人を救出したり、宇宙生物と戦ったり、パターンはいくらでもあるが、共通しているのは、彼らがどれだけ活躍しようとも、先入先の国の主権を蹂躙して、好き勝手に武力を行使している、ということだ。実際、ビンラディン襲撃なんかも、他人の国に勝手に特殊部隊が押しかけて、敵だと認定した人間を殺して死骸を連れ去った、ということで、ビンラディンを弁護する気はないが、やり方としてはムチャクチャだと言うしかない。
で、バクラウだ。このブラジルのド田舎の村を舞台にした奇妙なバイオレンス映画では、アメリカからの一方的な介入が描かれていて、そこには南米を差別し軽視するアメリカへの厳しい批判がある(ブラジル内での差別問題にも触れられている)。ハリウッド映画だけでなく、現実世界でもアメリカは南米に介入しまくってきた歴史があって、その時々の権力者を都合よくすげ替えたりもする。そういう無法がまかり通ることに、バクラウの村人たちは反旗を翻す。いや、村人たちは、単に自分たちの命を守ろうとしただけかも知れない。しかし、村人たちは「そんな勝手はさせない!」と自分たちを舐めくさる連中をブッ殺す。ハリウッド映画の傲慢に、映画で意趣返しをするような、最高の啖呵に拍手せずにいられないような作品だと思う。
これは世界の縮図なのだろうか
これは非常に奇妙な映画だ。ここが地球上のどこかなのかもよくわからない。そんな場所へ帰郷を果たしたひとりの女性。彼女が延々と続くガタゴト道をトラックに揺られる最中、無知なる私はてっきりこれが、途上国ならではの文化や風習にまつわる物語なのかと思っていた。本作は、そういった端からマウントを取るような先入観や目線をまるっきり逆手にとる。まあ、この村名を示す「バクラウ」という語感からして「どうせこんな展開だろう」という固定観念を断ち切る、ある種の呪文のように思えてくるほどだ。いつしか我々は思い知らされる。どんな集団やコミュニティにもそこに集う理由があり、歴史があることを。そして自己の願望や欲望が剥き出しになった政治や社会状況がこれほどまかり通るこの時代に、本作はその最も混沌としたひずみを見せつけつつ、そこに抗おうとする決死の姿を刻印する。その意味では、世界の縮図が見えてくるかのような映画体験だった。
そこまで、凝ったやり方しなくても??? 今ひとつ、動機に対して、や...
そこまで、凝ったやり方しなくても???
今ひとつ、動機に対して、やり口が派手すぎ。
こう言う映画を作りたかったから、無理にストーリー作った感じ。
ジャンルが謎な楽しみ
近隣の村との争いが絶えない村バクラウ。ある日、ネット上の地図から村の存在が消され電波も入らなくなり…。
尺が長く序盤がややダレるのが難点だが、前情報を入れずに見たためジャンルが全く想像できず先の読めないドキドキを楽しむ貴重な体験が出来ました。
奥地のブラジルに現れた殺人集団は何が目的なのか。
ブラジルの俊英クレベール・メンドンサ・フィリオ監督。第72回カンヌ国際映画祭で『バクラウ』が「審査員賞」を受賞しブラジルに初めての栄冠をもたらした。
奥地を取り上げることの多いブラジル映画。そこには何か人里離れた、隠された過去、秘密裏の宗教的な行事、閉ざされたコミュニティなどを思い起こさせる。
この映画の途中から給水車への襲撃、畜産を営む一家の殺戮が起き、村の落ち着いた生活が一変する。不気味な恐ろしさが迫ってきているのだ。殺人者(英語圏)と村を守る奥地のブラジル人。スリルに満ちた展開と悲惨な殺戮のシーン。ちょっと見るに耐えられないシーンも出てくる。これまで見たブラジル映画の「シティ・オブ・ゴッド」など残酷なシーンはここにも存在する。
襲撃者の背景・目的がもう少し描かれると、戦う相手は誰なのかが類推でき、テーマがつかみやすくなると感じた。スペインドラマの「ペーパー・ハウス」までとは言わないが。
「地図から消されたまち」というのも何となくは示されている。熱帯雨林の伐採など奥地を権力者の都合で収奪していくブラジルの構造を思い起こさせた。この映画には単なるフィクションではない現実の問題を訴えているように思える。
結末の感想はそれぞれであるが、もう少し深みを持たしてくれたほうがよかったかなと思う。
世にも奇妙な怪奇譚
2019年(ブラジル・フランス合作)クレベール・メンドンサ・フィリオ監督。
カンヌ国際映画祭の審査員特別賞受賞。
一風変わった映画で面白かったです。
《村民・ウェスタン》って言うか、
《ブラジル版・ハードボイルド》てか?
バクラウ村の長老・カルメリータが亡くなった事をキッカケに村に異変が起こる。
村人、バンバン殺されますー、
給水車に銃弾撃ち込まれますうー、
インターネットの地図から村がけされて、
村の上空には円盤だか?ドローンだか不明な物体が飛びますうー、
この映画、深く考えちゃダメぽん。
えーっ、バクラウ村が地図から消された???
電源喪失???
ネットか使えん???
どうしたん?何があったん?
いちいち理論的に説明なんかありゃしないさ!!
マカロニウェスタンみたいな軽快な音楽に合わせて、バクラウ村人の、
味のある御面相を楽しみましょう。
やたらデブのオッちゃんオバちゃん、爺ちゃんのフルヌードとか見れます。
およそありがたくないけど、土着さ、土着!!
ならず者たちが村人を襲う目的はラストで知れます。
展開が遅い・・とか、文句言ったら、この映画成立しないさ!
ならず者軍団のボスのウド・キア(知らん?目玉のギョロっとした男、見ればホレ、すぐ分かる)
ウド・キア、いやあー目立っとったわ!!
不条理劇ですなー。
ラストは、ホンマ、スカッとする。
ユーモアたっぷり!
(ところで、あの薬、ナンね?)
お楽しみにー!!
背景を知るだけで評価は変わる
クレベール・メンドンサ・フィリオ監督、ジュリアーノ・ドルネレス監督の作品は初見。
最初は評価の高さと予告編でのどんなジャンルの作品か伺い知れないごった煮感が気になってたものの、劇場での公開中は機会を逃しようやく観賞。
観終わって思ったのが単純に面白かったりエグいスリラーってより、明らかに南米の社会問題をメタファーにした社会派映画で、そういう問題のついて知っていれば知っているだけより楽しめる作品ってことだった。
最初は自分が南米にそこまで詳しくないことや「バクラウ 地図から消された村」ってタイトル、序盤の不穏な棺桶やUFOの登場など途中まで「未知との遭遇」系の作品かと思っていたんだけど、その後現地の人間を工作員として使っている明らかにアメリカ国籍と見られる掃討を目的とした特殊部隊が出てきたことでフィクションではあれどファンタジーでは無くリアル寄りの話なんだと理解した。
個人的には911以降の映画やハリウッド映画の潮流として、各地の紛争で活躍するアメリカが正義の映画やMCUに代表される様なアメリカのヒーロー映画が=正義って言う常識を今一度問う、非力に思える市民にも力があることを感じさせる作品だった。
劇中のトニー・ジュニアの様にアメリカに与して甘い蜜を啜ろうとするって人間とそういう人間を利用して政治に利用するアメリカって構図は、過去ニカラグアでソモサ政権が似た様なかたちで圧政を行っていた事を「メタルギアソリッド ピースウォーカー」で知っていたので、作中のテーマを過去の歴史的出来事と、それに対抗するマイノリティの人々の物語として理解し易かった。
しかし、観賞後にブラジルについて調べてみると、公開直前の2019年からブラジルに新米政権で、且つ同性愛者の息子でさえ人目を憚らず嫌悪するほど同性愛嫌悪を表明する極右のボルソナロ大統領によるボルソナロ政権が誕生していたことや、そのボルソナロ政権が発足するまでのブラジル国内の流れがあってバクラウの脚本が完成したことを初めて知って、過去にあった話じゃなく今現在起こっているテーマの話なんだと改めて知った。
この作品の感想を見ると"つまらない"とか"退屈"って意見があるけど、個人的には少なくとも近現代で行われていた出来事をバクラウを通して見てるようで、搾取する側や蹂躙する側に対しての胸糞悪さを感じたし、現実の写し鏡として描かれるからこそバラク・オバマ元大統領がベストムービーの一つに挙げていたり、カンヌ国際映画祭審査員賞やニューヨーク映画批評家協会賞外国語映画賞に選ばれた実績もあるので、是非作品が描かれた背景も調べてほしいな。
冒頭、これは近未来の出来事であるって説明があるけれどブラジルの内情を知ってしまうと、こういう近未来がやってこないで欲しい、ブラジル国民が新たな大統領を迎えられるようになって欲しいと切に願う。
説明不足
まぁはっきり言って消化不良。
主人公不在の話で、視点が安定しない印象だった。
村人みんなが口にしてるアレだって、けっきょくロバに乗せられた彼だって
なんかすっきりしない点が多くって説明不足が否めない。
なんだかんだ最後まで引っ張る力はあると思うけど
特になにも残らなかった。
304位/511中 2022.05.25現在
たまたまプライムでおすすめに出てきて
観ました!
しかも、ん?ブラジル映画?
って途中で知りました!
人生初のブラジル映画。
正直、結局何だったの?
と思う部分は多い。
あのおばさん
最初何でヒステリックだったの?
バイク乗り2人が取り付けた機械なに?
他にも思い出せないけど
自分がバカだからか
謎が解消されなかったとこが多い。
なんだけど、、、、
そんなに嫌いじゃない。
不思議と退屈しずに観れた。
ただし、人にはあまり
オススメしないかなぁ。
グロいし下品だし。
セックスシーンもあるけど
なんか下品に感じる。
エロくはない。
それは自分の好みの問題で
外国のエロが
好きじゃないからかもしれない。
とりあえずこの映画を観た人と
この先、人生で出会うことあるかな?
こういうSNSじゃなくて
リアルの世界でね。
バクラウ観た!俺も観た!
って会話は、きっと無い。
備考 点数は自分が
生まれてから現在まで
観た映画をランキングにして
相対評価で点数付けてます
初回鑑賞年齢→41歳
(2022年時点41歳)
初回鑑賞場所→自宅prime
鑑賞回数→1回
記憶度→90%
マイ映画ランキング
2022年時点
全映画中→304位/511中
洋画部門→253位/427中
ブラジル映画部門→1位
前半のゆるい雰囲気、奇妙な演出はクセになる ギター流しのじいさんが...
前半のゆるい雰囲気、奇妙な演出はクセになる
ギター流しのじいさんがいい味だしてます。
いいリズムだ、からのジョン・カーペンターは笑いました。
そしていつもロクな死に方をしないウド・キア。
ブラジルの奥地
それでも利権や何やらありそう。
市長は村の人を懐柔しようとしているが、みんなソッポを向いている。
殺し屋の人たちは、イカれたアメリカ人かドイツ人で仕事をしにやってくる。
でも歴史博物館に誇りを持つ村人は負けてはいない。
ハイブリッド
西欧の破壊的侵略達は原住民の男を殺し、残った女たちに混血の子孫を育てさせ、新しい南米の歴史を創造させた。
そこに、北米による狡猾な搾取が加わり、原始的生活を余儀なくされている村、バクラウはそんな土地の一つである。
そして、この村が再びデジャ・ビュのような侵略と搾取に襲われたとき、村人に残されたネイティブの血が蘇り、奇妙なハイブリッドの能力が発揮される。
単純な不条理サスペンスとは片付けられない深層が感じられる。
全90件中、1~20件目を表示