「労働者階級」家族を想うとき kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
労働者階級
イギリスはいつの時代も労働者階級には悲劇が伴う。イギリスに限らず、世界中の国で同じことが起きているのだと思うけど、医療制度だけはまだましな国。今日、日本では75歳以上の医療費2割負担が成立する見込みだというニュースが流れた。中抜き企業だけが儲かって、医療費までは予算が回らないというふざけた国だ。
あれこれ社会問題を考えさせられるケン・ローチ作品。このイギリスでもリーマンショックの影響で多くの倒産企業があったとほのめかし、損をするのは労働者ばかりだとわかる。失業し、宅配ドライバーの道を選んだ父リッキーだったが、休んだら罰金、何もかも自己負担という現実に直面しつつも、頑張って優等生と呼ばれるまでになった。しかし、14時間働くことにより家族と一緒に過ごす時間が削られて・・・
妻アビーの自家用車を売ってまでして持ち込みバンで働くことを選んだリッキー。個人営業の割には時間厳守・罰金制度など厳しいけど、マイホームのためならしょうがない。しかし、息子セブの不始末により休まざるを得なくなり、稼ぐはずが支払いのほうが大きくなっていくのだ。
優れモノの機械も壊したら弁償!あぁ、やばそうだな。もちろん事故を起こしてもすべて自腹。わかる、わかるよ、俺も一緒だ。ただ、借金はないし、いつでも休めるところは違うけど。これに今のコロナの騒動が加わったらもっと大変。宅配業は大丈夫だろうけど。
最後はどうなったの?と、観客に委ねられる手法だったけど、自殺とかの暗い方向には行かないと思う。いったん家族を離れるだけ。「半年」という言葉もあったから、死に物狂いで働いてから戻ってくるのだろうと楽観的に想像してしまった。