デッド・ドント・ダイのレビュー・感想・評価
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車がカッコいい
ジャームッシュのゾンビ映画
ジム・ジャームッシュ監督の楽屋落ち込みのゾンビ映画で、ビル・マーレイとアダム・ドライヴァーが主人公。
地球に何かが起きて死人がよみがえる、というオーソドックスな設定で、日本刀を振り回すティルダ・スウィントンがユニーク。
ビル・マーレイは全部の脚本をもらっていない、と作品中でぼやいていた。
うーんニヤニヤ観るべきなのだろうが。
映画好きのためのゾンビコメディ
全力疾走ゾンビはいない
愛すべきハートウォーミング・ムービー
基本的にホラーはほとんど観ません。…が、これほどほのぼのとしたゾンビ映画は今まで観たことがない。さすが監督ジム・ジャームッシュって感じの映画と映像美。まるでデイヴィッド・リンチの「ツイン・ピークス」を観ている気分になりました。
アメリカの田舎町。どこにでもありそうなダイナー。人の良さそうな偏見に満ちた人々。その土地で生きて行く決意をした若者。
たまらなく、いい意味でくだらない楽しい映画です。終盤UFOが出て来て、あまりのバカバカしさに最後の烙印を押され大好きな映画になりました。
コーヒー好きの殺されないイギー・ポップ・ゾンビ。トム・ウェイツのそれほど重要でもない配役。なぜかゾンビをあまり怖がらない人たち…。などなど見所満載の「ホッ」とした気分にさせられる不思議な映画です。
不条理系シュールコメディ?
クール!
豪華なセレブが我先にと壮絶な死を遂げる!独特すぎるテンポのド田舎版『マーズ・アタック!』
舞台はアメリカのどこにでもありそうな田舎町センターヴィル。警察署長のロバートソンとピーターソン巡査は大した事件も起きない平和な町をのんびり巡回して回る毎日を送っていたが、町外れのダイナーで変死体が発見され小さな町は大騒ぎに。そんな町に奇妙な風体の葬儀屋ゼルダが現れて・・・からのやけにのんびりしたゾンビコメディ。
世間的には『ストレンジャー・ザン・パラダイス』や『ダウン・バイ・ロウ』等で一世風靡したジム・ジャームッシュ監督作ですが、個人的にはこれが初鑑賞。当時の喧騒をガン無視していたのが祟って監督の作家性については何ひとつ知らないのですが、ゾンビコメディではデフォルトともいえる畳み掛けるようなテンポ感はどこにもなく、悪く言えばダラダラした独特のリズム感は正直個人的にはさっぱりハマりませんでした。しかし、スティーブ・ブシェミ、トム・ウェイツ、イギー・ポップといったいかにもイーストコースト系だけでなく、セレーナ・ゴメスやダニー・グローバーといったセレブ達が揃いも揃ってユルユルにリラックスした演技を披露する様は妙に豪華でほっこりします。そして何よりメインキャストのビル・マーレイ、アダム・ドライバー、ティルダ・スウィンソンの怪演が凄まじ過ぎてその他大勢のゾンビの皆さんはすっかり霞んでしまい、豪華なセレブが我先にと豪快に死んでいくド田舎版『マーズ・アタック!』みたいなテイストになっていて、結果的に満足できました。
ゾンビのしわざ
5ちゃん風に言うと俺にはわかるマンがわきそうな映画。
わたしは俺にはわかると思っている勘違いマンなのでざっくり概説したい。ネタバレ有り。
オフビートのコメディとは、わかりやすく言えば、斉木楠雄のΨ難のようなやつだと思う。
ジャームッシュは、オフビートをあつかってきた作家で、うまく言えないが、ダウンしているテンション──はっちゃけたり盛り上がってしまわない抑揚のままで、コメディおよびペーソスを体現してきた映画監督──と認識している。
したがってジャームッシュがわかんないひとには、ジャームッシュは、ぜんぜんオチない斉木楠雄のΨ難のように見えているのではないか──と思われる。
これは説明を目的とした参考であって、言うまでもないけど斉木楠雄とジャームッシュは別物である。
この映画のばあい、ジムジャームッシュわかりますフィルターにプラスして、ゾンビ映画の素地もひつようだ。
アイロニーとパロディだらけで、なにげに高いリテラシーをようきゅうしている映画だと思った。
リテラシーとは文明の享受進度のことだ。いうなればカニとカニカマのちがいを察知できる舌のこと──と言っていい。わかんないけど。
リテラシーは教養の一種だが、ジムジャームッシュわかりますフィルターは感性の一種である。
なにげにそれらを同時にようきゅうしている。わけである。なんてね。
わたしはいやなやつなので、映画を見る前に、海外サイトの評価を参照する。
そしたら、この映画ははじめてコケていたジャームッシュの映画だった。
むしろきょうみをそそられた。
映画は、なんらかのパロディかアイロニーがありそうな感じで進行していく。
ロメロへのトリビュートは確かだが、あとはよくわからない。
ティルダスウィントンの「ゼルダ」は金の仏像をすうはいしていて、柔道着に黒帯してて、刀をふって阿弥陀仏とか言っちゃう、むちゃくちゃな日本テイストが、タランティーノにも見えるが、なんなのかわかんない。
全米の人気アイコンであるゴメスが首をちょんぎられるのはヒロインが生き延びるゾンビ映画にたいするアイロニーであろうと思うが、真意はわかんなくても、それが笑えるならば「俺にはわかる」でいいんじゃなかろうか。
たとえばアダムドライバーがまっかなSmartのコンバーチブルに乗ってるだけで、笑いがこみ上げてきたし、さいしょの犠牲者のあと、マーレイのセリフ。「それじゃ。こいつはナニか。ゾンビのしわざか」って言うのは、本気で笑った。
ところがである。中途まで、いいかんじのジャームッシュなんだけれど、ジャームッシュのパロディ精神が旺盛すぎて、しまいにはアダムドライバーに台本を読んだ──と言わせてしまう。
これは映画ですよ、わたしたちは配役を演じてるにすぎないんですよ──と告白させてしまうのは、いくらパロディにしたって、アウトなんじゃなかろうか。そんな映画はじめて見たんだが、いいんだろうか。
そこから、UFOが飛来して、ゾンビをたおしまくって、なんか落としどころが解らないままおわる。たしかにコケていると思うが「俺にはわかる」わたしとしては楽しかった。うそじゃないです。「俺にはわかる虚勢」はってるわけじゃないんです。ほんとにたのしかったんです。
たぶん、想像だけど、ビルマーレイがいてトムウェイツ、ダニーグローヴァー、スティーヴブシェミもいて、キャロルキングとかイギーポップなんてひとまでいて、なんかそういう古馴染みとしごとしててジャームッシュがたのしくなっちゃったんだと思う。
そこへプラスしてMaya DelmontもSelena Gomezもたのしいし、こどもたちもばっちりゾンビメイクしてゾンビ歩きするし、ほかにもたくさんの仲間たちがカメオロールでゾンビやってくれるし、現場がたのしい雰囲気で満たされてしまったのは、たぶん間違いないので、さいごは、まあいっかという感じだったんじゃなかろうか。なんて思った。
ロメロゾンビってだけ
何一つ分からなかった
コメディー
シニカル不足
期待してたのはどんどんゾンビが出てきて冷静にテンポ良くバタバタしていくコメディだったのだが、全然違った。
あまり多くのゾンビ映画を見ているわけではないので私自身の知識不足もあったのかもしれない。
たぶん何かのオマージュっぽい…と感じるシーンはいくつかあって、ガソリンスタンドの店主ほど全部見た!と言えるくらいなら楽しめたのかも。
最後のシーンはあくまで憶測だが、世の中の何かに縋って欲求の狂気の中にいる現代人をゾンビに比喩しているのだと思う。
警官二人が正義とまではいかなくとも、それっぽいのが飲み込まれていってしまう(?)
にしても、中途半端すぎて深読み感がすごい。
誰もBluetooth自体は探さないでしょうよ…Wi-fiはわかるけどさ…
悪い結末になるって言ってるアダム・ドライバーが台本読んだからねっていうメタ発言は、嫌いではないし、そういう映画ね。という気持ちで見れたとしても、宇宙人も少年院の子達?もよくわからんです。白鯨を出したり「ashes to ash,〜」とよく聞く神のお言葉を出したり、深く見せたかったんでしょう。
やるならもっとシニカルにしてほしかった。
シニカルと愛に満ちたパーフェクトワールド
薄味ゾンビ
舞台は「ナイト・オブ・リビング・デッド」でテーマは「ゾンビ」で
ジム・ジャームッシュ初のゾンビものということで、公開前は結構盛り上がってた記憶があるけど、公開後の反響はあまり聞こえてこなかった本作。
Amazonビデオでレンタルが始まったので観てみたら、その理由が分かったw
舞台が田舎町や墓場なのはロメロの「ナイト・オブ・リビング・デッド」を連想するし、ラストでトム・ウェイツが全部セリフで解説してくれるテーマはロメロの「ゾンビ」と同じ。
それをジャームッシュ作品常連の豪華キャストと、オフビートな掛け合いでユーモアたっぷりに描く――っていうオシャレゾンビ映画なわけだけど、ただエピソードの断片を乱暴に繋ぎ合わせて最後は投げっぱなしの駄作とも見えるし、好意的に深読みすれば消費社会に溺れた人類というテーマに世界や個人の分断という今どきな社会問題を付け加えた、ある意味でロメロ版「ゾンビ」のアップデート版と取れなくもないっていう。
ただ、監督がジム・ジャームッシュでなければ、ただの「悪ふざけB級ゾンビ映画」と切り捨てられちゃうだろうと思った。
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