「セルフオマージュが分からないと虚無」デッド・ドント・ダイ hzwrさんの映画レビュー(感想・評価)
セルフオマージュが分からないと虚無
映画好きの友人に誘われて観に行った。
観賞中、あまりにつまらないので、若い巡査の伏線もあってこれは「カメラを止めるな」的な仕掛けがあるのでは……? と最後まで期待していたが結局最後までつまらないゾンビ映画だった。
同監督の過去作品のセリフパロディが随所にあるらしく友人はそれを見つけて楽しんでいたらしいが、過去作品を観たことがない自分にとってはひたすら苦痛だった。しかもあとで解説を聞いても「そう……」としか言えないような小ネタばかり。
とりあえず怖くはない。コメディ映画らしいが、笑いどころもよくわからなかった。
政府の事業のせいで地球の自転軸がずれてその結果死者がよみがえるという妙に迂遠な設定、ゾンビだと早々に勘付く住民たちなど、狙ってるっぽい突っ込みどころがあるが、結局それが笑いにも何にもつながっていない。
葬儀場の管理人のやりたい放題なキャラ付けは笑えなくはなかったけれど、こういうのをやるならもっと思い切ればよかったのに、全体的に中途半端に感じた。
そして最後のとってつけたような語りは何? 観賞時は説教臭い映画を皮肉ってるのか?と思ったが監督のインタビューを見るにガチらしい。しかしどうも批判の対象とされる物質主義というのが漠然としていて、文明批評としてはうまくいっていないと感じた。
物品を求めて商店に群がるゾンビとかはわかるのだが、普通にスポーツに興じるゾンビとかもいて、かれらも物質主義の虜なのだろうか。スマホを持ったゾンビがWi-Fiを求めて歩き回るシーンは本作の数少ない笑いどころだったが、それも物質主義かと言われるとピンとこない。