劇場公開日 2020年6月5日

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「"Samuel Michael Fuller"」デッド・ドント・ダイ 万年 東一さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5"Samuel Michael Fuller"

2020年4月2日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

興奮

現代を舞台に特殊メイクなどSF的な描写がリアルな割に基本、古典的なゾンビ映画をシュールにオフビートな笑いで包む、相変わらずなジャームッシュ節を披露した期待通りでもある反面、掴み所のない本作!?

"ゾンビ"ってジャンル映画を、一向に物語が進まない序盤からトボけた表情のビル・マーレイは「ゾンビランド」では本人役?でゾンビになっちゃうし、アダム・ドライバーは終始冷静で「スター・ウォーズ」ネタで笑わせたり、森の住人で毛むくじゃらなトム・ウェイツは可愛さのない"ウィケット"みたいだし、いよいよ登場のイギー・ポップは「コーヒー&シガレッツ」まんまな姿のゾンビみたいで、「ストレンジャー・ザン・パラダイス」のあの娘が!?ってなサプライズも。

他のキャスト陣も含めたジャームッシュ同窓会的でもある中、ダニー・グローヴァーは「さらば愛しきアウトロー」でもT・ウェイツと、生きていたらアントン・イェルチンだった気もするケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、セレーナ・ゴメスの無駄遣いとあのイケメンはプレスリー役を演る奴かぁ。

ダイナーで起こった最初の現場を三人それぞれが見るシーン、御丁寧に三度しっかり描写する訳で、観ているコッチが飽きもせず笑いがジワジワと込み上がり。

起きているのだけれど何も起きていない、劇的な展開は排除され、テンションが変わらない物語から突拍子も付かない方向性へ、ティム・バートンの「マーズ・アタック!」的に火星人襲来か?ホドロフスキーの「ホーリー・マウンテン」が如きオチが待っているのか!??

物語の展開よりもジャームッシュが仕掛ける演出描写にハラハラ、ドキドキしながら鑑賞後はやっぱり好きだなぁ、ジャームッシュがぁ、と。

万年 東一