劇場公開日 2020年10月30日

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「これが真相?!」罪の声 bomazoさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0これが真相?!

2024年8月28日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

興奮

知的

映画公開時、高速バス出発までの時間潰しで観た。この映画がちょうどスキマを埋めてくれる時間帯だった。当然あらすじなど一切の情報はなく、何となくだった。そして上映が始まって程なくして気づいた。これはあの「グリコ森永事件」のことだと。あの頃の記憶がきのうのことのように蘇った。

1984年当時、勤めていた工場のお昼休み。社員食堂の片隅にグリコの社員さんたちがお菓子の販売に来ていた。あの脅迫事件以降、お菓子を店頭に置けなくなったからだ。工場直送の安全なお菓子を袋詰めにしたセット販売。おカネのない若者だったが、時々買わせてもらった。頭を深々と下げ、大きな声をあげる社員さんたち…。嫌でも必死さが伝わってきた。
あの時、裏側ではこの映画のようなことが起きていたのかも知れない。そう思うと感情移入も没入感も半端なものではなかった。

ダブル主演の小栗旬さんも星野源さんもよかった。だが、フィクションでありながらノンフィクションのような重厚な展開を支えたのは、脇を固める強力な俳優陣だろう。
特に宇野祥平さんの演技はスゴかった。いや、凄まじかったと言うべきか。”35年間の地を這うような生活”が滲み出るような演技だったと思う。

そしてエンドロールで流れる主題歌、Uruさんが歌う「振り子」もまた素晴らしい楽曲だ。人生を「振り子」に例え、今は悪い方に振られていてもいつか必ずいい方へと振られる時が来る…そんな希望を歌っている。まさにこの映画にピッタリだと思った。

久しぶりに邦画もいいな、と思わせてくれる映画に出会った。

dagger one