「声、それはアイデンティティーであり、心でもある」罪の声 shokoさんの映画レビュー(感想・評価)
声、それはアイデンティティーであり、心でもある
自分の声というもに、ここまで考えたことはないかもしれない。知っている人の声を聴けば、遠くからでもあの人があそこにいるなと分かるし、声のトーンや話すスピード、話し方でその人の年齢や今どんな気持ちなのか、さらには出身地も分かるかもしれないと考えると、意外と声で判断してる面は大きいのかもしれない。たかが声と思っていたけれど、実は顔や体形よりも一番に知り得る、人間の情報かもしれない。声は人の体の一部であり、OnlyOneであることに気づく。そういう意味では、声はアイデンティティーであり、心でもあると思った。
今回は犯罪に使用された自分の幼少期の声。しかも使用されていたと分かったのは、随分大人になってから。直接犯罪には関わっていないものの、声を使われたということで人生が大きく変わり、精神的に苦しむことになる。
犯罪者は声を単なるコミュニケーションのツールとしか見ていなかった。自分たちにとって都合の良い正義や大義名分のために使用しただけで、使われた人のその後の人生にどんな影響があるのかは、これっぽっちも考えていなかった。むしろ、より良い社会に貢献したと思っていた。その浅はかで愚かな正義のために、巻き込まれた人たちの悲痛な思いは計り知れない。取返しがつかない。いったい何が正義で何が罪なのか、本当の意味で考えさせられる良い作品です。
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