劇場公開日 2020年10月30日

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「釣られた!」罪の声 大塚みなみさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0釣られた!

2020年11月14日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

有名なグリコ森永事件に題材をとった作品。誘拐と脅迫は身代金目的ではなかった、とする解釈は新鮮で、唸らされた。だけど、全体的には消化不良だった。おそらく、原作のボリュームが映画の尺に収まっていないのでは? 登場人物が次から次へと出てくるが、ほとんど描き込みが足りず薄っぺらい。「こういう役回りの人なんだな」という印象を受けてしまう。量産型2時間サスペンスを観ているみたいな予定調和感。ラスボスたる人物が劇場型犯罪を仕掛けた動機というのも、さんざん使い古されたやつで、「結局これかい!」と思った。ハリウッド映画でナチスが悪役になるように、犯人の動機に「これ」を持ってくると、作品全体がステロタイプで安っぽく見えてしまう。もちろん、架空の話なんだから、文句を言える筋合いではないのかもしれない。でも「グリコ森永事件の謎に迫る!」みたいに匂わせてハードルを上げておいて、着地点がここでした、となると「釣られた!」という思いが強い。

大塚みなみ