「ふたつの矜持」罪の声 N.riverさんの映画レビュー(感想・評価)
ふたつの矜持
原作は未読。
昭和のあの大事件をモチーフに、パラレルな世界線で展開される謎解きサスペンス。
なかでも令和へと時代が移りゆく中、あえて過去の事件掘り返すそのワケを
エンタメへ昇華するためなのかと論議するメタ要素は鋭く記憶に残った。
また不条理や格差が広がる社会において、しかしながら同じことは繰り返すまじというメッセージも、モチーフになった事件を思い起こすほどキレイごとなく響いてくる。
原作の落としどころがどこにあるのか知らないが、劇中においてはこの2本柱を消化すべく、
出演者の派手さからは想像できない地味な、しかしながら目の離せない展開が続いている。
脚本家、野木亜希子さんを知ったのは「MIU404」でと出遅れたが、
それもこれも野木さんならではの巧みさがふんだんに引き出された構成だからだろう。
「時代」を感じさせる作品世界を、今旬の役者が演じるところも感慨深い。
後々見返すほどに味の出てきそうな1本と観る。
モチーフの事件が事件だけに、絶対に「きめつ」を観に行く人は知らないだろうし、見ないだろうなぁと思った。そんな反「きめつ」的立ち位置なるも、劇場は混雑していてホッとしたかな。
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