「【悲しき天災と愚かな人災により故郷を離れた少女が、人の情けに助けられ再び、故郷を目指す。被災地域復興の現状を踏まえ、行政機関への激しい怒りを静かなトーンで描いた作品でもある。】」風の電話 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【悲しき天災と愚かな人災により故郷を離れた少女が、人の情けに助けられ再び、故郷を目指す。被災地域復興の現状を踏まえ、行政機関への激しい怒りを静かなトーンで描いた作品でもある。】
岩手県大槌町で被災し、広島の叔母の家で暮らすハル(モトローラ世理奈)がある出来事をきっかけに故郷を目指す、魂再生のロードムービー。
様々な人達の情けにより、少しずつ身も心も故郷に向かうハルの姿。
情けある人達は新たな生命をハルに紹介する人であったり、
天災・人災により家族を喪った人モリオ(西島秀俊)であったり。
又、かつて福島県の復興支援をしたが、何故か入国管理局に一年以上勾留されているクルド人の家族、友人であったり。
ハルは多くの人の情けに触れ、徐々に表情が豊かになっていく。
(モトローラ世理奈の表情、姿に釘付けになる。)
そして、あの素晴らしきシーンに繋がる・・。
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東京オリンピック開催は、国家機運の高揚、経済発展の後押し(主に儲けているのは大手ゼネコンなどではあるが・・)喜ばしい事である。
が、その前にあの日が来る。東京オリンピックは次にいつ来るか分からないが、あの日は毎年来る。
だから、私たちはあの日及びその後に起こった事
(劇中でも、西田敏行さんが”福島弁で”雄弁に語っている。あのセリフは全て、福島県人としての怒りが込められた西田さんのアドリブだそうである。) を忘れたフリをせずに、いつまでも覚えていなければいけないと思う。
〈東北沿岸三県に縁のある者として、観る事を躊躇していた作品だったが、観て良かった。
エンタメ作品としては静かなトーンの映画であるし、レビューで普段はこの様なコメントは書かないのだが、東北の復興は政府が言っているような状況ではない事を知って欲しく(関係者の方々の頑張りには本当に頭が下がる思いだが・・・。私は毎年進捗を現認している。)、多くの方々に観て頂きたいと思った作品である。〉