「原作とは別物の良さ」あのこは貴族 味彩さんの映画レビュー(感想・評価)
原作とは別物の良さ
公開された時に気になっていたものの見に行けず。
最近、原作小説を読みとても面白く、やはり映画がみたいなぁと思っていたらタイミングよくABEMAで無料配信していたので見ました。
小説であれだけ言葉で説明されていたことが、映画ではほとんど言葉にされず、仕草や映像で表現されていて。(当たり前と言えばそうですが。)
要所要所の、小説において私が大事だと感じていた部分の設定が映画と小説で多数異なっており、またラストが、そこで終わるの!?という結末だったため、小説と映画で受ける印象が大きく異なると思います。
映画だけ見ると、ラストあのまま華子と幸一郎は寄りを戻すのではないかと感じるのではないだろうか。
私は映画は映画で、別物としてとても好きです。ですが小説の物語をベースに見ていたので、華子と幸一郎があのあと飲みに行って綺麗に別れるところまで見たかったなと感じてしまいました。
小説を読まずに映画を見ていたらどのような感想を抱いたのだろうかと、無理ですが体験してみたくなりました(笑)
小説を読んだ直後に映画を見たため、小説との違いに細かく反応してしまいましたが(それが嫌だったという意味ではなく)、読んでからしばらくたっていたらそこまで気にならないのだろうか。
また小説を読んでいてしんどいなぁと感じていたところや雰囲気は映像になることでかなり中和されていたように思います。
小説よりも抽象的なので受け取りやすいかなと。小説の方がダイレクトに女性のしんどさを書き綴ってくれていて、読みごたえはあります。
門脇麦ちゃんも水原希子ちゃんも大好きで、映画の予告のイメージがあり、脳内で2人を想像しながら小説を読んでいました。
そのため実際に映画を見たら本物だ~!といった嬉しい気持ちになりました。笑
麦ちゃん演じる華子は小説のイメージよりもとても可愛くて可愛くて、品がよく、仕草や口調言動から明白に高貴な人物だと伝わってきて、とにかく美しかったです。
希子ちゃん演じる美紀は小説のイメージ通り美しく、またやはり可愛いらしかったです。小説から受ける印象よりも、人間らしくて可愛いなぁと感じました。
どんどん垢抜けていくビジュアルの変化はとても清々しく美しかったです。
小説を読んでいた時に幸一郎役がどなたかは確認せずに読んでいたため、映画を見て初めて高良健吾さんだと知りました。
高良さんもとても好きな役者さんです。
そのためか、小説の幸一郎はかなり嫌なやつという印象だったのですが、映画の幸一郎にはあまり強い不快感は抱けませんでした。
とても人間らしくて、憎みきれませんでした。
余談ですが
私は原作が小説、漫画、アニメ問わずなんでも、実写化作品が好きで、とくに実写映画化が好きです。
当たり外れはありますが、人間がその人物像(キャラクター)を表現するのを見るのが好きなんです。
原作の人物やキャラが現実世界にいたらこうなるんだろうなと納得できるような演技や世界観を見られるととても嬉しく感じます。
幸一郎はまさに人間が演じることで、こういう人いるよなぁと、血が通った姿が見られてとてもよかったです。
また、小説ではあまり描かれていなかった、美紀と平田さんが起業していく流れが映像で見られて嬉しかったです。
山下リオちゃんも好きな役者さんなので、平田さんにとても合っていて、希子ちゃんとリオちゃんのシーンは2人がきゃっきゃしてるのが可愛くて微笑ましかったです。
華子がひとり歩いている向かい側に自転車に2人乗りする女子高生がいて、華子の視線に気付いて手を振っているシーンもとても好きです。
原作にはないシーンなのに、あったのではないかと感じられて、小説の奥行きがさらに増えたように感じました。
原作にはないシーンで言うと、幸一郎と離婚するときに華子が幸一郎の母にビンタされるシーンは衝撃でした。
幸一郎しっかりしろよ!とムカつきましたが、華子も覚悟の上での離婚なんですよね。
同じ東京テアトルさんの作品で、『ちょっと思い出しただけ』も大好きなのですが。
東京の街を舞台にタクシーが行き来したり美しい風景が流れるのを見て『ちょい思』を思い出しました。
出演者みなさん可愛く美しく、とてもいい映画でした。