「「家族の絆」を試しながら「鑑賞者」をも試す?」イソップの思うツボ 野々原 ポコタさんの映画レビュー(感想・評価)
「家族の絆」を試しながら「鑑賞者」をも試す?
童話や寓話のおはなしには教訓が付き物。
そして世にある映画もまた、
メッセージを組み込むことが作り手側には必然な責務!
そんな教訓を汲み取ることも鑑賞者側にも必要なこと!
だとわたしは思います。
おとぎ話・むかし話で幾度となく合間見えた好カード!
積年の恨みを亀が兎にリベンジ!復讐劇は犬も食わず!
…と安直には行かないのが、
映画ファン待望!?または真価を見定めるための1本!
であろう本作『イソップの思うツボ』
嫌が応にもハードルが上がり、わたしたち鑑賞者の
目も厳しくなるのも当然ではありましたが
期待と言う名の遠心力で横転してしまっているほど
わたしは悪くはないと思いました。
ひとつの復讐劇から、亀・兎・犬 それぞれを冠した
三様の “ 家族の絆 ” を描いていました。
その表現方法は、みなさんが思い描いていたような
セリフや行動の〈伏線回収劇〉とはチョット違っていて
【騙す側、騙される側の関係性】
3家族それぞれからの視点
けしかける暴力団からの視点
復讐劇に興じる富裕層からの視点
それらをスクリーンで鑑賞するわたしたちからの視点…
異なる視点から生じる〈メタフィクション?〉のような
レイヤー構造を加味しており、
「おっ、少し毛色を変えてきたな!」と思いましたが
多層で切り替わりも早いので
そう認識するには少々分かりづらいですし
視点切り替え自体もよくある手法なので
効果的に大きいとは言えないかもしれませんが…
そうやって騙し合いのレースを争いはしたものの
皆が等しく、希望というゴールに向かって行く
結末になっていて、素直に楽しく鑑賞できました♪
ですが、観賞後すぐに「また観たい!」という
熱に浮かされた感覚が甦ることはなかったですが
わたしの求める映画の条件には達していました!
クリエイター魂がメタフィクションを通して作品に
色濃く反映されていたらこその、あの熱量!
あの感動!を呼んだ作品『カメラを止めるな!』
作家内では「メタフィクションは劇薬」という意識があり
創作する上で用量・用法に気を配るそうです。
その劇薬に溺れるのは
作り手側なのか?鑑賞者側なのか?
面白ければ、慢性化しても一時的なカンフルでも
クリエイターが送り出す “ 騙しの調合薬 ” を
服用することも、本作『イソップの思うツボ』を
鑑賞してわたしは【あり】だと思いました!
でも依存性中毒は考えモノですかね?
そのなかでも「亀田家サイコーかよ!!」
のセリフがベストバイでした(笑)
最近わたしがいちばん気になっていて
今回注目していた女優さん!「紅甘」さん!
『白河夜船』『アイスと雨音』
そしてなにより『光』(大森立嗣 監督作品)
での醸し出される存在感! 「グアマ」と読み
ギリシャ文字のガンマからの当て字でしかも本名!!
作家の内田春菊 先生の娘さんであることも
合わせてわたしは驚きました!
いろんな楽しみ方が出来るのが
裾野の広い映画ならではの強みですね♪