わたしは光をにぎっているのレビュー・感想・評価
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#104 自分探しの映画
主人公のセリフがこんなに少ない映画は珍しい。
けど言わんとしてることはわかった。
形があるものは消えても言葉や心は残るんだね。
めっちゃ立石行ってみたくなった〜。でももうすでにあの商店街たちは無いのかな?
僕たちの日常
僕は、電線の向こうにのぞく青空が好きだ
電線の向こうの青空が無限に広がってるようだ
そして、
電線と青空のコントラストが好きだ
電線があちこちに張り巡らされ、人と人を結んでるようだ
人の息遣いも運ぶようだ
でも、銭湯や街の小さな映画館のように、
電線はじゃまもの扱いされ、いつかみんな地中に埋められてしまうのだろう
形のある物が失われても、
言葉は残る
言葉は向こうからやってくる
言葉は心だ
そして、心は光だ
言葉は記憶を紡ぐ
そしたら、キラキラした思い出を取り出して、
光る記憶を紡げば良い
皆んなが光をにぎってるのだから
良かった。
澪が湯船のお湯越しに掴む日の光がキラキラしてて印象に残った。
懐かしさと、押し付けがましくなく、ほんの「ちょっと」前向きにさせる作品でした。
見る目、聞く耳、それがあれば大丈夫。
中川監督の映画は、つねに迷える若者が登場する。それは、躍起になって成功しようとする挑戦者ではなくて、今の自分の立ち位置のたわみに不安を覚えながらも、靄の張った行く先に戸惑い立ち往生している若者たちだ。この映画にも、そんな彼女が登場する。けして、晴れやかな成長を見せるわけでもない。だけど、周りにいる人には、あれ?こいつ何か変わったぞ?って気付くちょっとした変化はある。そんな小さなステップを一つずつ上って、人は人生を生きていく。そんな少しの時間の過程を、美しい映像とフレッシュな音楽で彩る上手さ。毎度見事な監督の手腕だった。
ようするに、自分の人生は自分自身のもの。
流されず、流すことなく。
目の前にあるもの、人、時間、、しっかりと見て、聞いて、それが何であるか自分の体の中に落とし込む。すると、自分にとって大事なものものかどうか自然とわかってくる。その正体がぼやけていても、なにかしら「これは大事なもの」ってことをなんとなく感じてくる。真面目に真剣に、とまで堅苦しくなく、ただよく見て、よく聞く。自分のために。
そのとき自分の握っている拳の中には、光がある。まちがいなくある。ただ、それは握っていないとこぼれてしまうもので、しっかりと握っていないとどこかに行ってしまう。もしかして、実は何もないかも知れない。こうして堅く握りしめた拳骨は、ただの石かも知れない。だけど、この中には光がある。自分でつかもうとしている未来が。今見てしまったら霧散してしまうものが。だから今は、歯を食いしばって、光をにぎっている自分を信じて、生きていこう。離すなよ、光を。
そう言われている気がして。そのことに20代で気付いていればと後悔しながら、でも今だからこそそのことを噛み締められるのだと思い直してみて。
参考までに。
山村暮鳥「自分は光をにぎっている」(詩集「梢の巣にて」)
自分は光をにぎっている
いまもいまとてにぎっている
而(しか)もをりをりは考へる
此の掌(てのひら)をあけてみたら
からっぽではあるまいか
からっぽであったらどうしよう
けれど自分はにぎっている
いよいよしっかり握るのだ
あんな烈しい暴風(あらし)の中で
掴んだひかりだ
はなすものか
どんなことがあっても
おゝ石になれ、拳
此の生きのくるしみ
くるしければくるしいほど
自分は光をにぎりしめる
その場面場面の空気を感じる映画
時の流れに、人も物も、何でも抗うことはできない。無情に時が過ぎ、人も物も形を変えていく。それは過去も未来も、たった今生きているその刹那もすべて同じである。
だけど不思議なことに人は、そこに存在する
(存在した)時間を機械的に等しく感じたりはしない。掛け替えない何か(思い)がその時間に加われば掛け替えのない長い時間(記憶)に変化する。
その掛け替えのない空間に自分を置くことこそ生きる(居きる)ていうことなんだろう。
その空気を映像を通して感じることができる、それがこの映画の良さであると思います。
成長するヒロインを東京がやさしく、美しく包む。
後悔…。途中眠ってしまった…。
肝心なところだった気がする。口コミを読んで追い付こうという自分…(笑)
というのも、目覚めてからの展開がかなりよかったから。
閉店が決まっても、不安にも寂しさにも流されず、最後までシャンと生きると決めて進むヒロインの生き方がすごいなと思ったから。
美しい東京の時間のなかで、ヒロインが過ごす特別な時間。
感情を踏みしめて、踏みしめて、踏みしめて。
そんなに先のことは考えない。
出来ること、やりたいことを一心にやり続ける。
そんなヒロインを美しい東京が包む。
言葉にしたら感情に流される、そんな感じのヒロインが松本穂香にぴったりだった。
でも、そんな生き方はとても難しいこと。
でも、こうありたい。
素晴らしい作品だと思いました。
はぁー。もったいないことしたな…。
少しだけの成長
を、丁寧に丁寧に描いた作品でした。
誰かのコメントにありましたが、1カット1カットが、心を込めて撮影されたんだなと感じました。
町の再開発と、少女の成長。抗えないし、避けては通れないし、決して 悪いことではないけれど、何かを失う、ということが上手に映像化されていました。説明的すぎるセリフもなくて、心地よかったです。
松本穂香さんという、今の彼女でなければならない、そんな作品だと心から感じました。
わたしも光をにぎっている
内にこもり言葉を失ったかのような澪(松本穂香)。長野の湖畔の民宿。雫の両親は早くに亡くなり、雫を育てた祖母が澪にとって母だった。自らの病で民宿を閉め、澪を東京に送り出す祖母の思いが滲みる。
東京に出ても澪の言葉は足りなかった。人に思いを伝えられなかった。
思えば澪を受け入れた父の友人(光石研)も言葉が足りなかった。彼が営む銭湯での二人の無言のやりとりが愛おしい。言葉が足りなくても心が繋がっていく感覚。
再開発や区画整理の名のもとに閉めざるを得なくなった銭湯、そして周りの商店街。その店主たちをとらえたドキュメンタリーライクな映像も印象的だ。
「しゅんと終わらせる」という澪の言葉に彼女の成長を感じた。彼女は確実に成長していた。人と繋がったと思った。
ラストの二人の笑顔がどれほど愛おしかったことか。人と繋がるということは再会の喜びでもあったのですね。
束の間の時間を生きる我々にとって、この作品の無常観は真っ当だと思う。変わらぬものはない。だからこそささやかなふれあいが愛おしい。
そう、わたしも光をにぎっている。
演技をしている人の違和感
作品の意図や、オチまで、よく分かったし、映像的な工夫も納得できた。
しかし、正直、退屈に思ってしまった。
俳優を生業としていないだろう人が結構出演していて、そういった作風なんだと思えば違和感なく見られたけれど、一方でうまく演じている事柄すべてが不自然に思えてしまい、そう感じてしまうと逆に途轍もない違和感を持ってしまって、全体的にまとまりにないものに見えてしまった。ちゃんと作ろうとしているなーなんて嫌な見方になってしまったし・・・
この作品の間の取り方が自分には合わなかった。
共感性が大事になる
僕は29歳であり、作品のような町、風情といったのに直接触れた事がない。頭や心で雰囲気は分かったつもりであったり、またこういう町や風情は楽しかっただろうなということは理解しててもやはり直接触れた事がないためやはりイマイチピンとこない部分もある。
そのためこの作品の舞台の良さになかなか共感を生むことはできなかった。
もちろん作品自体を否定的な見方や感想を生まれる事はなかったが、良くも悪くも、そうなんだくらいの無関心に近い感想しか生まれる事ができなかった。
主人公の澪やお世話になった京介さんをはじめ口数が少ないキャラクターが中心となるため、表情や情景で色々と想像を描き巡る必要がある。やはりあの舞台をあまり理解してないとあまり想像が追いつく事ができなかった。
舞台となる銭湯もあまり利用したことなく、どちらかというとスーパー銭湯が好きだったり、食事処なんかもチェーン店のレストラン、複合施設なんかが大好きな僕にとってはやはり共感を生む事ができなかった。
上にも書いた通りだからといって否定的な見方はしてないのだがこの共感が生めないってのはある意味怖い事である。古き時代の良き事がまさに消え去っていくわけだ。
もちろん僕の同世代やさらに下の世代の人にも共感できたり楽しめる人もたくさんいるだろう。僕が経験なき事に対して共感性が乏しいのであることを実感した。
ただ同じ者も沢山いると思う。そういう人達にとってもこうやって作品として残していくことはとても大切なのであろう。
現時点ではあまり楽しむ事はできなかったが、今後こういうった町の楽しさを体験することでまた違った見方ができるのかもしれない作品のように感じた。
下町情緒溢れる。田舎の自然の豊かさ。
監督の作品への意気込みが伺えるシーンひとつひとつの切り取り方。どこを観ても美しいと思ったしお金をかけて映画館で見て良かったと思わせるクオリティでした。とにかく風景に圧倒されるし自分もスクリーンの中に入り込みたいくらいでした。主人公も最後はしっかりしてきてて成長してたなっと思いましたね。
最後までやり切りましょう。どう終わるかって、多分大事だから。
主人公が田舎から上京してきて、父親の知り合いがやっている銭湯に住み込みながら、地元の様々な人たちと交流し、暮らしていく、しかし再開発によりその街は失われる
そこで、どう終わらせるか、という話。
キャストの面々が結構豪華だったのもあって見に行きましたが、メインは松本穂香さんと光石研さんで他の方々は物語をよく引き立てていましたが、登場回数はあまり多くないです。
とにかく映像が素晴らしく、自然と下町を綺麗に切り取っているのですが、劇場版 そして、生きるとも違う詩的で幻想的な世界観が素晴らしかったです。
ただ、幻想的なんだけれどどこか懐かしさもありました。本当に少し前にはどこの街にでもあったであろう商店街や飲み屋街の独特な風景だったので、すごく身近で懐かしい雰囲気が心地良かった。
そんな心地良さと映像美、暖かい物語に後半眠くなってしまうほど。
劇中、主人公の澪が好きになる渡辺大知さん演じる銀次がドキュメンタリー映画を撮っていますが、まさにそのようで、普通の映画とは一味違います。
必ず、最後は暖かな気持ちで劇場を後に出来る、そんな作品でした。
(因みに、僕はエチオピア料理の店員さんが好きになりました笑)
日本の美しさが溢れていました
まず景色の美しさに、見とれてしまいました。あの湖、光の美しさに息を飲みます。
ひしめき合ったような街並みや、ひなびた店の佇まいが、昔の懐かしい思い出と重なりました。
エチオピア人の方々の相手を思いやる気持ちが、感動しました。ここに敢えて外国の方を登場させたのが、良かったと思います。
こんな優しい暖かい映画は久しぶりでした。
誰もが光をにぎっている
引っ込み思案でろくに言葉も喋らない田舎育ちの少女が上京をきっかけに、その町での人びととの触れ合いを通して、自分自身の手に握っている「光」を解き放つ物語。
人は「見る目」と「聞く耳」で自分の手に握る光を解き放てる、その光を誰もが手のひらから放つことが出来るチャンスやタイミングがある。
そんな事を想いました。
やりたいこと、やれること
幼い頃に両親を亡くし祖母の営む野尻湖畔の民宿を手伝っていた主人公が、祖母が入院し民宿を閉めるのを機に単身上京し、父親の旧友の営む葛飾区は立石の銭湯に居候しながら仕事を探し始める話。
民宿を祖母と切り盛りとはいうけれど、その様な描写はなく、寧ろホントに働いていたのか?という感じさえするモジモジ助け船待ちな主人公。
劇中映画は下町の説明的要素として上手くはめ込んでいたけど、「いや~下町なんで」という感じが透けてみえるあざとい描写もあったけど、まあそういう所だよねw
序盤は甘ったれのダメダメちゃんが、銭湯の主人や常連さんや異文化との交流の中で、自分のやれることをみつけて行動し始めていく姿は、少しだけど確かに成長していたし、最後はちゃんと意気込みもみえて、おっ!と思わせてくれた。
やっと見られました
野尻湖の美しい風景から都会の下町にでてくるという風景、描写がとてもきれいに描かれていて、観ていてとても心地よく癒やされました。
澪ちゃんの消極的な感じ、言葉足らずなところ、番台に座るなら「いらっしゃいませ」「ごゆっくり」「ありがとうございました」
が言えないのかな〜?って思ったり、でも澪ちゃんなりにそこに馴染んでいく様が寡黙に描かれていて知らぬ間に映画の世界に引き込まれていました。
ここからは私情を挟んでの感想お許し下さい。
私は、ここが舞台になった伸光湯の娘です。
父と母は55年間必死になって伸光湯を守ってきました。何度も体調不良で止めるのかという時期がありましたが夫婦二人三脚で頑張ってきました。映画のオファーがあり撮影場所となりこの作品が出来上がるのを楽しみにしていました。家族で観に行きました。まさか上映前に廃業になるとは思っていなかったので、この作品がヒットして伸光湯にたくさんのお客さんが来てくれてよかったねとなるというシナリオだったのですが、公開を1ヶ月前に閉店となってしまいました。
映画を観た父と母は何度も泣いていました。取り壊されるシーン。これから現実になる光景、光石さんが男湯で泣いていた切なくて悔しい気持ち‥同感だったと思いました。廃業になるにあたり素晴らしい作品を残してくださり有難かったです。
私は当事者として観ていましたが、観に来てくださった方には現在の銭湯事情と銭湯を経営していた裏側を知って欲しかったです。
これからは清瀬市に伸光湯という皆に愛された銭湯があったことを知って欲しい限りです。
私情を挟んで申し訳なかったです。
高く飛翔するのだけが成長譚じゃない
ふと立ち止まり後ろを振り返る、
歩んで来た足取りを見つめ直し、
おっかなびっくり、
少しずつでいい、
慎重な足取りで歩んで行こう。
セミドキュメント風味もエッセンスと成り、
切なくも明るさ見える良い終幕でした。
現代版・魔女の宅急便とは言い得て妙
“普通の”サラリーマンからすると、ありえないほどののんびりした時間の進み。でもこれを観たいから映画館に来るんだ。家でDVDで観たら一瞬で寝てしまうだろう。でも映画館でみると、固唾を飲んで見入ってしまう。映画館マジックだと思う。
端的には20歳の女性の成長物語であり、現代の魔女の宅急便とは言い得て妙。中川監督は、四月の永い夢と言い今作と言い、世代はバラバラでも人生に迷う女性の姿を描くのが(自分は男だから上手いかどうか分からないが)非常に印象的。
スピード感のある映画ではないし万人受けして大ヒットもしないだろう。でもこういう作品がある限り自分は映画館に足を運び続けようと思う。中川監督の次作にも期待しよう。
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