「“街”が主人公なんだと思った」わたしは光をにぎっている kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
“街”が主人公なんだと思った
全国の銭湯経営者には北陸出身、特に石川県出身者が多いという。この映画の銭湯・伸光湯の壁にも能登恋路海岸にある見附島(軍艦島とも)のポスターが貼ってあったことも関係してると思う。こんなの気づく人は石川県にしかいないかもしれないが、浜辺には縁結びの鐘もあり、かつては観光客が賑わってたスポットでもあるのです。
澪(松本穂香)は長野県の野尻湖周辺にある民宿に住んでいたが、亡き両親に代わって育ててくれた祖母が入院したため、東京へと出てきた。スーパーに就職するも馴染めないため、居候先の銭湯を手伝うことになり、やがてその商店街の人たちと交流することになるのだが、その商店街も・・・ってお話。
野尻湖の幻想的な景色もよかったし、お祖母ちゃんの大好きな詩も素敵。話すことも苦手だったのに下町風情のある商店街の人たちとも仲良くなり、やがて自分の居場所を見つけたはずだった。喪失感はいっぱい経験しているのに、その新しい居場所もなくなってしまう悲しさ。街なかの映画館もいい雰囲気だったし、残ってほしいという願いも届きそうにない。ただ、光をにぎってるの詩やお祖母ちゃんの言葉にすがるしかないのだ・・・
いい話なのに、中盤までは引きの映像ばかりで人物に焦点が当たってないのが残念だった。この俳優誰だろう?てほど、光石研以外は全然わからないほどでした。ただ、終盤になって商店街の人たちのドキュメンタリー映像に魅せられました。本当の商店街の人たちなんだろうけど、これが笑顔と明るさを上手く引き出していて、街なか映画館の神髄を見せられた思いになりました。重機による建物を壊す映像がグサリと心に響き、あぁ、これは街が主人公の映画だったんだなぁ。などと、澪やその他の人物の今後なんてどうでもよくなってしまいました。
コメント、ありがとうございました。同じように感じられた方がいる、というのは、そしてそれを伝えてもらえるってことは、嬉しいことですね。
レビューって、いいな。
…と思わせてもらい、重ねてありがとうございました。
今晩は
”全国の銭湯経営者には北陸出身、特に石川県出身者が多いという”
全く知りませんでした。
数十年前、”日本海の波高し”という合否電報が届いた事は良く覚えていますが・・。