「ノロマ」スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼 U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
ノロマ
ベタベタな演出にどんより。
ネタも脚本も面白く出来そうなんだけど…演出がトロくて萎える。トロいは語弊があるかもなんだけど、どおも説明台詞も説明カットも多くて、サスペンスを見てるはずなのに一向にドキドキしない。
この直前に「チャーリーズエンジェル」なんてものを観たからかもしれないが、まぁご丁寧な編集にぐったりしまくりだった。
日本映画の文法には則っているようには思え、良い所が無い代わりに悪い所もない。ただ古くさい、目新しさがない…つまりは進化も進歩もない。スリリングな話とは真逆のスローな印象だった。
千葉氏の顔芸もウンザリするし、成田氏のやりたい放題感だけが楽しかった。
時折挟まるサイバーウンチクもどうかと思う…あの下りを入れておくと助成金とかが使えたりするのだろうか?
ノホホンとした課長も気に入らない。
「この物語はフィクションです」
いや、勿論そうだろう。
演出も台詞も、その芝居でさえも現実世界を感じず…フィクションの使い所を再考した方がいいように思う。
白髪の平警官もどうかと思うけど、その白髪を目印に犯人を特定したのに、明らかに白髪じゃない警官の顔を確認して回るとか。
勝手についたPCを超警戒して近づくとか。
わざわざ拳銃で、車の窓ガラス割るとか…割るのは中を確認したから割ったんだろ?
車中の行為を中断する為に取った行為が、拳銃で窓ガラス割るって…フィクション全開。
他にもなんか色々あったけど、その度に溜息をつき日本映画の悪しき風習を憂う。
昔はきっとフィクションだとの注意書きが必要だったのだと思う。それほどまでに現実との差が少なかったのかもしれないし、その作品に没入してしまう程、社会や個人が単純だったのかもしれない…でも、最早この作品はそんな注意書きなど必要ないくらいに現実離れしてる。
その人物像も台詞も、状況も、その感情でさえ、ステレオタイプの集大成だった。
なんか小学生から老人まで理解できる作り方には正義もあるんだろうけれど、それが故に損なわれるモノには危機感を持った方が良いように思う…その天秤は難しいのだろうけども改革していってほしい。なんか色々ガッカリした。