「虚構と現実」9人の翻訳家 囚われたベストセラー U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
虚構と現実
随分と大胆な構成だった。
いや、久方ぶりにミステリーらしいミステリーを観たような感じがする。
バラけたピースが瞬時にカチッとハマり1枚の絵になる感覚を覚える。
端的に言えば復讐劇なわけなのだが、最後の最後まで分からないし、囚われたベストセラーとはよく言ったものだ…入念なミスリードが最後まで続く。
事実は小説より奇なりってのがまさにコレで…おそらく仕掛けた側の計画は、途中で挫折するのだ。ただ1点を除いて全部喋ってるようにも思える。勿論、周到な防御策は張ってあり、そのおかげもあって完全に瓦解する事はなかったのだが。
結局のところ、トリックのほぼ全てを僕らは知る事になってた。
なのだが、それが真実かどうかは疑わしいと考えてしまうのだ。推察の映像化って手法を当て嵌めてしまう。ただこれも、ちゃんとした答え合わせは本編の中でしてありはするんだけど、何故だかその推察を肯定するのではなく、それとは別のトリックに関連付けようとしてしまう。それ程までに、推察の内容に信憑性を抱けないでいるのだ。
いわゆる、邪推してしまうのだ。
ただ、事が動き出すまでは本筋が何かさえ明示されない。その辺りは常套手段ではあるのだけれど、自分のコンディションもあって若干の睡魔に襲われる。
以降、継続的に睡魔は俺の瞼に悪さをし、所々ブラックアウト。
興味深いネタでもあったのだけど、残念だ。出版業界の内側というか、ベストセラーをベストセラーとする為の労力みたいなものが語られる。今はインターネットの影響で相当な損失を被ってるみたいだ。
後は翻訳家のスペックの高さというか…何カ国語も話せたりして驚く。いや、映画の中だけの設定なのかもしれんけど。
総じて、1回目よりは2回目の方が楽しめるのではないかと思う。