劇場公開日 2020年7月23日

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「恐怖が一番大事」海底47m 古代マヤの死の迷宮 KinAさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5恐怖が一番大事

2020年9月8日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

何が古代マヤだ、タイムスリップでもするのか?ケージダイブもせずに何が「海底47m」だ、無理矢理シリーズ感出していないか?
と、観る前のグダグダしたツッコミをぶちのめす、完全に怖くて面白いサメ映画だった。

水中は怖い!!海は怖い!!サメは怖い!!洞窟は怖い!!
改めて実感する。恐怖って本当に大事。

「サメ映画」が一つのジャンルとして確立され、ありとあらゆるアイディア勝負の低予算サメ映画が乱発しているこの昨今。
ポスターの出落ち感が強いそれらの作品、別に嫌いじゃない。むしろ好きである。

「サメ映画好き」ないしは「B級映画好き」が一つのサブカル的趣味として確立され、笑ってヘラヘラ観る人の多いこの昨今。
バカだな〜ってツッコミ入れながら観るのって楽しいよね。すごくわかる。

でもやっぱり、怖がりたい。
みんなちゃんと怖がってほしい。
サメをバカにして欲しくない。
バカにされる前提で映画を作って欲しくない。
色んなアイディアがあって楽しいけれど、パニック映画をパニック映画として観たい。

そんな私の気持ちを満たしてくれる映画だった。

まずサメのビジュアルが凶悪で怖い。傷だらけのボディに色の無い目玉、びっしりと生えた鋭い歯。見た目だけで殺しに来ている。
サメのファースト登場シーン、その静けさのなんと恐ろしいこと。
いやいやどんだけ空腹なのよ!と思いつつ、張り切って怖がらせに来てくれるそのマインドに感謝。

「海中の古代マヤ遺跡」というなんだかテキトーな舞台も良かった。
不気味な人型、崩れる岩壁の絶望、海中洞窟の閉塞。
早く光を浴びたい、早く思い切り息を吸いたいと、苦しくて喉の辺りが詰まるような感覚になる。

死亡のバリエーションも多く、テンポも良く、緩急のつけ方も良く、ありがちな成長譚としても楽しめた。
無理のある展開続きな気もするけど、そもそもそういうものじゃん?怖くて面白ければ最高じゃない?最高だよね!

エンドロールの一文が少々余計だった。
いやわかる、わかるよ。現実でサメに対してヘイトが集まるのは勘弁だものね。
でも、もう少し夢を見させて欲しい。
サメは絶対に人間を喰うし年間500万人はサメに襲われて死んでるしサメは1日に7人くらい喰う食欲旺盛な生き物だって、そうだって、もう少しの間だけ信じさせてよ。

KinA