「題材が素晴らしい」ヒキタさん! ご懐妊ですよ ローチさんの映画レビュー(感想・評価)
題材が素晴らしい
題材の良さが光っている。男の妊活がどんなものか知っている人は、男でも少ないだろうし、メディアで語られる機会もほとんどない。しかし、これを観ると男性にとって全く他人事ではないことなのだとわかる。
年の差夫婦が子どもを作ると決めたものの、夫の精子の運動量が足りないせいで妊娠できることが発覚。そこから、夫は精子の運動量を取り戻すべくあらゆる努力を重ねる。運動、食事改善などあらゆる努力をしても僅かな改善しかしないのを見て、こんなに大変なことなのかと驚く。やがて、それは男としての自身の喪失にもつながり、葛藤が膨らんでいく。
原作者の実体験だけあって、心情がリアルに描写されている。松重豊が主人公を飄々と演じているのだが、その飄々とした裏側に情けなさややるせなさを押し殺したような芝居を見せてくれ胸をしめつける。過剰に湿っぽくせず、コミカルさも残した作風もすごく良い。
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