劇場公開日 2019年8月30日

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「創作と、それを支えた友情の物語」トールキン 旅のはじまり naoさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0創作と、それを支えた友情の物語

2019年9月4日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

知的

『ホビットの冒険』や『指輪物語』の作者であるトールキンの前半生(少年期〜青年期)の物語。
第一次世界大戦の従軍中に過去を回想する形で進んでいく物語は、美しいイギリスの風景と、悲惨な塹壕戦の様子を行き来し、映画の色彩に良いコントラストを与えてくれます。

特に「芸術で世界を変えよう!」と少年たちが結成するT.C.B.S.の面々が眩しいほどにキラキラしているので、青春映画としても秀逸です。
トールキンに関する前知識なしでも、20世紀初頭のイギリスの雰囲気(古い喫茶店や、オックスフォードや、書架や、夕暮れの木立や、紅茶…)が好きな人にはオススメ。
「詩や物語や空想、そんな創り事に何の意味がある?」そんな疑問に一度でも晒されたことがある人、何でもいいから「創作」をしようとしたことがある人には、胸に響くものがあると思います。
誰もが傷を抱えた後で「物語ること」に何ができるのか、その答えが伝わってくるラストシーンでは思わず涙が出ました。

映像や音楽に関しては、PJ版の映画『ロード・オブ・ザ・リングス』を彷彿とさせる箇所が散りばめられており、あの三部作が好きな人は是非映画館で見て欲しい作品です。

nao