劇場公開日 2020年3月20日

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「邦画の良さが生きる作品、北川亜矢子の脚本力も光る」もみの家 たいよーさんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5邦画の良さが生きる作品、北川亜矢子の脚本力も光る

2021年5月25日
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鑑賞方法:DVD/BD

のんびりゆったりと進む映画は嫌いじゃないけど、睡魔がお邪魔しがち。映画館で観たらもっと集中できたんだろうけど、寝てたかも。優しくて好きな作品だけどね。

脚本に好きな北川亜矢子の名があったこともあって観た。特別何か起きるわけではないのだけど、輪廻が回るように、命が巡る過程を丁寧に描く様はやっぱり心地がいい。意外と書かれがちなテーマっぽく見えるが、淡々と紡ぐ北川亜矢子の脚本が光っており、飽きが来ない。むしろ、出来事ひとつひとつが愛おしくて優しくて抱きしめたくなる。そこにヒールも存在しないので、めくるめく日々を刻むだけというのも好き。ただ、どうしても本能的な部分で言うと、ドラマの起伏があったとしても、どうも眠くなるのが自分の悪いクセ。絶対もっと引き込まれていたら、高かったはず。序盤から空気を掴めなかったのが悔やまれる。あと、富山が舞台だけに、宝物が『おもいで写眞』と被ったのが気になった。笑
個人的には、キャストが割とストライク。主演の南沙良の透明感と雰囲気が次第に変わる感じとか上手い。ただ、ちょっと録音さんが下手なのか、音が籠もって聞きにくい節はあった。陰キャで傷つかないようにしていた女の子が、自身でパドルを漕ぐように進む姿に心を掴まれる。また、中田青渚も中村蒼もドストライク。良いところにいい塩梅のかかったキャラでいるのが堪らない。特に中田青渚なんか、『君が世界のはじまり』や『街の上で』とも被らない変わり様で、もっと知ってもらいたいと思うばかり。アミューズよ、もっと推してくれ…。笑

テーマにある、めくるめくる日々の生き方の肯定が堪らなく優しい。風景と共に過ごすような映画は、邦画のいいところだと思う。南沙良のポテンシャルを堪能できるだけに、多くの人に観てもらいたい作品。

たいよーさん。