「帰り道も、しばらく涙が止まらなかった。」魔女見習いをさがして ゆなさんの映画レビュー(感想・評価)
帰り道も、しばらく涙が止まらなかった。
おジャ魔女リアルタイム世代です。
当時は魔法に憧れ、大人になってからはどれみちゃんから勇気をもらっている、大好きな作品です。
アニメシリーズは、大人になって観るとその深さに気づかされます。友達とのケンカや失恋といった些細な出来事から、親の離婚、不登校など、子どもにはどうすることもできない理不尽なことまで扱う。
当時見ていた私たちにも、日常では大なり小なり事件が起きていたと思います。大人になった今なら、そんな小さなことで悩んでいたなと笑い話にできることでも、子どもの頃は、目の前が世界のすべてだと思い込んでいました。どれみちゃんたちもきっとそうだった。
でも、どうしようもなくなって途方に暮れたとき、両親や担任の先生、保健室の先生など、大人が手を差し伸べてくれていました。
この映画では、主人公たちは大人です。
行こうと思えば奈良にでも広島にでも行けるし、他にやりたいことが見つかったら仕事を変えられる。
でも、自由があるからこそ悩んだり、苦しかったりして、自由なんてないような気がしてしまいます。
そんな彼女たちに自分を重ね合わせて、小さな感情の揺らぎにも共感して涙が出ました。
物語の最後に彼女たちがたどり着いた、「魔法はもともと持っていた」という言葉。
あれは、子どもの頃から私たちを見守ってくれた制作スタッフさんの愛情だと思いました。
アニメシリーズで描かれていた、子どもにはどうすることもできない理不尽も、大人がいるから頼ってというメッセージだったんじゃないか。今作のこの言葉も、大人になった私たちの葛藤を今も見守っているというメッセージだったんじゃないか。
ずっと、あの頃から見守ってくれていたんだ。そう思ったら、しばらく涙が止まりませんでした。
母校に寄って、あの頃の先生が私のことを覚えてくれていたような、そんな感覚。温かくて深い愛情を感じた作品です。