「誰よりも両親に愛されたかったエルトン・ジヨン」ロケットマン 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
誰よりも両親に愛されたかったエルトン・ジヨン
世界中のファンから愛されても、スーパースターの内面は満たされない
嫉妬や悔恨で張り裂けそうだったのですね。
エルトン・ジョンの製作総指揮した自伝映画は自虐的で苦いものでした。
でもダンスと歌が若々しくエネルギッシュで風変わりで、
勢いのあるミュージカル映画。
映像もスタイリッシュでカッコいい。
そして少し泥臭い。
エルトン・ジョンのド派手な衣装に奇抜なメガネ。
道化役のようなステージ衣装は、割とハンサムでないし、
小太りで無個性なエルトンの《勝負服とメガネ》だったのですね。
タロー・エガートンが着て歌う衣装はどれも実際にステージで
着られたものと同じ。
ラストのエンド・クレジットでご本人と同じド派手な衣装で、
交互に写っていて興味深い。
エルトン・ジョンの曲で一番有名な、ライオン・キングの挿入歌
「愛を感じて」
それと共に有名なダイアナ妃の葬儀で歌われた、
「キャンドル・イン・ザ・ウインドウ」
この2曲が聴けないのは少し残念ですが・・
挿入歌になっていたら、歌だけで感動して物語が疎かになっただろうね!
冒頭のシーンは、コンサートツアーの開演前にド派手な赤い衣装
(角まで付いてる)のまま、失踪。
エルトンはグループセラピーの場に現れて、
自分の過去を回想するシーンから始まる。
アルコール依存性、ドラッグ依存性、過食症、セックス依存性
そして買い物依存性・・・
赤裸々に語りはじめます。
父親に疎まれ、母親からも愛されなかった子供時代から、
振り返って行く構成です。
作詞家のバーニー・トービン(ジェイミー・ベル)との出会い、
エルトンの実家のピアノで、「ユア・ソング」が生まれる瞬間・・
このシーンはとても感動的・・お祖母ちゃんも聴き惚れてましたね!!
バーニーはエルトンの愛を「自分はゲイでないから」と、
受け入れてくれない。
でもだからこそ長年に渡っての作詞家として、パートナー関係が
続いたのでしょうね。
ジェイミー・ベルが優しくて落ち着きがあり、とても素敵でした。
それにしてもスターの周りには、必ずと言っていいほど、
「金目当ての悪徳マネージャー有り」
マネージャーのジョン・リード(リチャード・マッデン)が、
鬼のようでしたね。
あまりに自虐的な内容で、明るい派手なステージ上のエルトン・ジョンから、
想像つかない苦悩と破天荒なスターの私生活。
何度も自殺未遂やドラッグの過剰摂取。
スーパースターの光と影が痛いようでした。
実際のエルトンは「クイーン」のフレディ・マーキュリーの死後直ぐに
「エルトン・ジョン・エイズ基金」でエイズ患者の支援をしている。
良いことも沢山してるんです。
ラストの方でセラピーに自分の子供時代を演じた子役の少年を
固くハグする場面。
親に愛されなった子供時代を、自らの手で抱きしめる。
感動的なシーンでした。
自前の声で歌い上げたタロー・エガートンの歌唱も
本当に素晴らしかったです。
それにしても赤裸々なエルトン・ジョンの「自伝映画」
苦悩を乗り越えたエルトン・ジヨン。
天晴れです。
共感ありがとうございます
ボヘミアンアプソディ、エルビス、本作と、スーパースターの光と影を描いた作品が上映されています。
知られざる影の部分を知ることで、彼らの曲をより深く感情移入して聞くことができます。
では、また共感作で。
-以上ー