「ひとりのさみしい男の子の物語」ロケットマン みちこさんの映画レビュー(感想・評価)
ひとりのさみしい男の子の物語
いい意味で、イメージと違った作品。
もっと派手で元気でハッピーでひとをエンパワメントするような話かと思っていたら、
ずっとさみしくてずっと愛されたくて、でも誰一人彼に愛され方も愛も教えてくれなかった、 そんな男の物語だった。
印象に残ってるのは、とんでもなくさみしいシーンばかりだ。
最高の成功をおさめた夜、唯一無二の相棒が、苦楽を共にした自分ではなく見知らぬゴージャスな女と夜に消えていくシーン。
俺じゃダメなのか、そんな声がにじみ出ている気がした。
子供の愛し方がわからないはずの、そのうえ家を捨てた父親に、大成功したスターとして再会しにいくシーン。
彼は自分は一度もハグしてくれなかったのに、異母兄弟は自然にハグしている、理想の父親のように。そして彼は、スターになってからもエルトンに興味を持とうとしない、よそよそしいまま。
そのときの彼のさみしそうな顔!
みんなは持っているはずなのに、自分だけ持っていない、それを求めてもがき続ける、そんな苦闘の物語だった。
伝記映画あるある?ラストに現在の姿が本人写真で出てくるけど、わがまま言えば是非いまの夫とのなれそめなんかれも聞きたかった…!!
バーニーとエルトンの性的志向が同じだったら? きっと手っ取り早くエルトンは救われたかもしれないが、もしかしたら50年の友情はなかったかもしれない。
良い映画でした!