「主人公あおいは母音のみの名前だ」空の青さを知る人よ kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
主人公あおいは母音のみの名前だ
母音のみの名前で真っ先に思い出すのが、池上遼一作品の『I・餓男(あいうえお)』だ。あおいとかあおとか呼ばれてる時には不思議でもないのですが、フルネームになると違和感ありありです。そんなあおいはコンブのおにぎりが大好きで、ツナマヨおにぎりが大好きな慎之介はいつも諦めてしまう。といった伏線もあります。
『心が叫びたがってるんだ』(2015)では音楽的にも興味深い仕掛けがいっぱいあり、悲壮と虹の彼方にを組み合わせる絶妙さや、DTM研なるマニアックな音楽ファンが涙する作品でした。今回はギターとベースの楽器編です!しんのは“あかねスペシャル”と名付けたギブソンのギターを大事にしていて、プロになってからはギブソンのセミアコ。また、あおいが持っていたベースギターはギブソン傘下のエピフォン製。高校生がちょっとバイトすれば買えそうな楽器です。序盤であかねの弾くベースは音と映像の運指が絶妙に合っているし、スライド、グリッサンド、ビブラートなど細かい指の描写まで・・・凄すぎる!!『けいおん』とかもかなり似せていたけど、ここまでリアルに音と合ってるアニメは初めてです。さすがにこの細かな描写はその冒頭だけでしたが、錆びた弦の描写にまでこだわりを見せたのは驚きでした。また、エンドクレジットにはギブソンやヤマハの協賛も見られるのですが、音楽関係の中に意外にも“CUBASE”という協賛がありました。知る人ぞ知るスタインバーグ社の打ち込みソフトです(持ってます)。
こうしたこだわりの描写はいくつかあったのですが、やっぱり冒頭のベースが最も良かった。ゴダイゴのガンダーラをここまでエネルギッシュに、まるでベースがメインであるかのような弾き方されると、プロの方に怒られちゃいます。プロで言えばスタンリー・クラークっぽい感じでしょうか。もはやバンドの大黒柱的存在ではありません(笑)。
ストーリー的には幽霊、生霊、タイムパラドックス無視のしんのが面白い存在で、現在の慎之介と対峙したら死ぬんじゃないの?とかいう疑問は考えないようにしましょう。生霊というよりは過去に撮った本人向けビデオメッセージのようなとらえ方にしておいた方が無難です。音楽で食っていくのは大変だというリアル感と、成功しなければプロポーズできないといったジレンマ。やっぱり青春。青い、青い、とても蒼井そらです。ゴダイゴを使った辺りも東京という聖地に行けばどんな夢でもかなうし、誰もが行きたがるという歌詞とマッチしてはいるのですが、生霊なんて言葉を使うのはGO-DIE-GOというバンド名と掛けていたのかもしれません。
空を飛ぶシーンはファンタジー。君と出会った奇跡がこの胸に・・・といった再会の奇跡が生んだものでしょうか(ミュージシャンが違うか)。いいなぁ。俺なんて、いまだに外界を知らずに映画ばかり観てる井の中の蛙だってのに・・・
追記:他のレビュアーの方より点数が低いのは、多分あおいの性格にあったのだと自己分析してみました。バンドの誘いを断っちゃダメだろうし、一人で練習するなら別にお堂に行かなくてもいいだろうとか、ベーシストとしての成長を考えると間違っていると感じたためです・・・あしからず。
また、あかねがベースを弾いて映像と音が絶妙に合ってたのは、CUBASEで編集作業が行われたのだとつくづく思います。ちょっとくらいのズレなんてPCで簡単に直せる時代ですもんね。
今まで気がつかなかったのですが、kossyさんは音楽も詳しい、というか、だけでなく、弾いてらしたのですね。
致命的に音感が悪く、超音痴の私はカラオケもこの15年行ってないし、映画の中の英語の聞き取りもサッパリです。ボヘミアンとかイエスタディなどでは、聴くことで見えてくるものが相当に違うのだろうな、と羨ましい限りです。
kossyさんやbloodtrailさんのように文才も豊かな上に、多芸多才な猛者が多くて、今後もみなさまのレビューが楽しみです。
コメントありがとうございます♪
何と、連投とは…!
居ましたね~、『20世紀少年』にあんな演歌歌手。
でも自分はやはり、今にもマツケンサンバ踊り出しそうで…(^^;
でもこの方、なかなか声の演技下手ではないんですよね。