「「井の中の蛙大海を知らず。されど空の青さを知る」」空の青さを知る人よ カンゾーさんの映画レビュー(感想・評価)
「井の中の蛙大海を知らず。されど空の青さを知る」
このタイトルがこの作品の全てを言い表していると思います。井の中の蛙である葵は、空の青さを知っており、ひたむきに努力します。
そんな中で、葵は2種類の葛藤に苛まれます。
しんのと茜への好意の狭間。そして現実(大海)を既に知っている社会人の茜と慎之介とは正反対の、理想(空)を抱えた葵はこの2人を「あんな風になりたくない」と、「現状に甘んじた怠け者」だと認識し、反発する感情。
そうした、思春期特有の恋愛感情と、現実を知らないが故の理想を追い求める若さのようなものを葵は持っているように思えます。
そしてそこに、同じく大海を知らないしんのとの出会いがあり、主人公は最終的にしんのと納屋(井)の中から飛び出し、大海を知ります。そして若者は井の中から飛び出て、大人は大海に流されたが故に忘れてしまった「空の青さ」を再び見つめることになり、作中の主要人物がみな前へ進んでいく、という物語なのではないでしょうか。
と、自分なりの解釈の概要を書いてみましたが、この作品はかなり奥が深く、スルメのように噛めば噛むほど味が出ます。中高生が多く視聴しているようですが、
夢を追いかけて苦しんだ人、理想と現実のギャップに現在進行形で苛まれている人、そのギャップで理想(夢を目指すこと)を忘れてしまった人向けに作られており、
【現状に妥協せず理想を求めることの大切さ】
を伝えたい作品だと思います。
そのような面ではキャラクターも、アニメーションも、音楽、ストーリー、全てが噛み合っており、とても深く面白い作品だと感じました。
中高生活をなあなあに妥協して過ごしてしまった人ではなく、個人的に理想を掲げて夢破れてしまった人、もしくは全力でその理想を追いかけた経験がある人に見て欲しいです!!
逆に言えばそのようでない場合、よほど感受性が高い方でもない限り感情移入し、物語の奥底を読み解くことはできない気がします😭
あいみょんさんを起用したり、とても綺麗なアニメーションにしたり、少し年齢層がぼやけているのが残念ですが、現在進行形で理想を追いかけ、ひたむきに努力している人などには強く心に刺さったと思います。
個人的な解釈としては、
井=子供の(現実のない)社会
大海=現実、社会
空の青さ=理想を追い求める心(向上心)
だと考えました!
語彙なくて伝わりづらいかもしれませんが、観たあとで参考になる方がいれば嬉しいです!