劇場公開日 2020年3月20日

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「ゾンビの可能性の新たな1ページ」CURED キュアード つとみさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0 ゾンビの可能性の新たな1ページ

2025年11月20日
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鑑賞方法:DVD/BD

作品内でゾンビという単語は使われないが、ゾンビ化してしまった人々が回復し、という設定。
エンディングで治療法が見つかる、治療薬が完成するなどの作品はあっても、その後を描くのは今まで気付かなかったコロンブスの卵的な斬新さがある。
もうこれだけで面白くなること間違いなしってくらいのアイデアなのだが、蓋を開けてみれば素人の自分などが考え付く中でも最もつまらない展開になってしまったのは残念というか、見方によってはただのゾンビものに戻ってしまって最初のアイデアどうなった?と呆れる。

中盤などはアイルランド解放戦線の作品を観ているのかと錯覚するほどで、期待してたものとかなり違った。
もっとゾンビ化中の記憶に苦しんだり、治らなかったほうが良かったと悩んだり、受け入れる被感染者の葛藤とか、そんな感じになるはずと期待するよね?
これらのことがあるにはあったけれど、圧倒的に量が足りない。

しかし、最終的にこの作品が描きたかったことを考えれば、自分でも考え付く最もつまらない展開であっても正しかったと言える。
差別や偏見、迫害、そこから生まれる反発。その中に存在するステレオタイプでは測れない「個」
○○人だからとか、○○教徒だからとか、その人が属しているグループで個人も判断しようとする安易さに対する警鐘だったと思う。
それに、被感染者だからとか回復者だからといっても、その人の本質は変わらないという作品でもあった。

もしかしたら本当にただIRAの比喩的作品だったのかもしれないけどね。

つとみ
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