「戦争秘話」ガーンジー島の読書会の秘密 odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
戦争秘話
地図でみるとガーンジー島は英国よりフランスに近い島なのですね、第二次大戦では早々とチャーチルに見捨てられたのですからロンドンからの客人にそっけないのは分かる気もします。
夜間外出禁止をドイツ軍から咎められた時にエリザベスがとっさに思いついた口実が読書会でしたね。映画はこのエリザベスの慈愛溢れる壮絶な半生がテーマかと思われるくらい印象的です。
救世軍出身で、ドイツに投獄され37才で亡くなったマリー・オザンヌさんがモデルだったようです。
原作者のメアリー・アン・シェイファーさんはアメリカの小説家で、南極探検家のロバート・スコットの夫人の伝記の下調べで英国に赴いた折にガーンジー島に立ち寄り島の歴史に惹かれたようです、執筆中に体を壊し、姪のアニー・バロウズさんに後を託して亡くなっています。
原作ではエリザベスとドイツの収容所で一緒だったというフランス女性レミー・ジローが登場してドーシーと恋仲になりそうでやきもきさせられます、映画ではジュリエットに焦点を絞りたかったのでしょうばっさりと割愛しています。
さてエリザベスの献身的な生きざまにショックを受け、白馬の王子様のようなマークを振って心変わりしたジュリエットですがドーシーへの思いが果たして愛と呼べるのか、恋愛感情というよりキットへの母性本能や悲運なドーシーへの憐憫にあるようで素直にハッピーエンドと喜べないのは年のせいでしょうかね・・。以前ラジオでユーミンと森山良子が「女って、あなたの為よといいながら、いつかあなたのせいで・・に変るのよね」と話していたことを思い出します。
原題に秘密を付けた邦題はお見事です、皆がエリザベスのことを語りたがらない裏にはドイツ兵に寝返ったことで丸刈りにされて辱めを受けた女性の話など戦時中のヨーロッパでの醜聞が頭をよぎりましたが杞憂でホッとしました。医者と言う職業にもよるのでしょうかドイツ兵にも人間味のある人がいたという描き方も珍しい。
まさに主人公と一緒に謎解きに対峙する感覚は2時間越えの長さを感じさせません、風光明媚なガンジー島の景観と併せ、楽しめる良作でした。
エリザベスにまつわるエピソード等詳しく教えていただきありがとうございました。エリザベスの事は衝撃でした。実話ではないけれど、実在のモデルの方がおられたのですね。一見平和な情景に隠された戦争の爪痕。日本だけではありませんね。私は、あのマークとジュリエットは合わないと感じていましたが。