「人間の複雑さは幽霊よりも怖い」命みじかし、恋せよ乙女 poyokoさんの映画レビュー(感想・評価)
人間の複雑さは幽霊よりも怖い
昔、ドイツに行ったときにドイツ人はほとんど幽霊を信じないと言われたのだが、だからこそ日本を登場させ、あえてそこから幽霊を引っ張り出してきた作品だったのだろうか。
子どもの頃から抱える家族関係の葛藤、現在も苦しむアルコール依存症、それらによる幻覚症状など、精神的な病と闘う主人公の心の隙間に入り込むようにやってきた一人の怪しい日本人女性。
ドイツの重々しい雰囲気の景色の中に突然現れたユウというその女性の存在がとびぬけて浮いていて、彼女の存在は幽霊なんだろうなと最初からわかってはいたけど、幽霊というよりも妖怪のようにも見えて、ある意味おもしろさも含んだ存在に見えてしまった。
小津安二郎監督や是枝裕和監督が海外でも愛された名作映画の執筆を手掛けてきた「茅ヶ崎館」が後半の舞台となっており、ここの宿の主人が現代の日本映画を支えてきた樹木希林さんという日本作品に対するリスペクトはすごく感じられる作品だったけど、茅ヶ崎館はすばらしい旅館なのは間違いないのだろうけども、ロケーションとして茅ヶ崎が弱い事を実感してしまい、地元民として見ていて申し訳なくなってしまった。
希林さんに対する追悼のメッセージがエンドロールに添えられていた事がとても嬉しく感じました。
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