「一夏の冒険の先に待っていた無慈悲な現実」サマー・オブ・84 オレさんの映画レビュー(感想・評価)
一夏の冒険の先に待っていた無慈悲な現実
1984年のアメリカのオレゴン州を舞台に4人の15歳の少年たちが近隣の子供たちを狙った連続誘拐事件の犯人捜しに挑んだ姿を描いたジュプナイル&サイコスリラー。
『スタンドバイミー』や『IT』をオマージュしたようなノスタルジックな雰囲気の中に終始漂う緊張感が絶妙な本作。
好奇心旺盛なオタク少年デイヴィー、肥満児のウッディ、両親の不和でグレ気味のイーツ、過保護で不安定な母を持つ眼鏡のファラディの親友4人組とデイヴィーのベビーシッターをしていた少女ニッキーの面々が隣人の警察官マッキーが一連の誘拐事件の犯人ではないかと疑い、大人たちの手を借りず、独自の捜査を展開していく内容。
マッキーの自宅に忍び込んだり、尾行したりと子どもながら大胆かつ大味な捜査の連続で親たちに怒られたり、勘違いや思い込みだったりと決定打を掴めぬまま、本当に彼は犯人ではないのではないかと思い始めた終盤、急転直下の展開で明らかになるマッキーの真実により事態は急転、警察総動員でマッキーの捜索とデイヴィーら5人に対する警察の疑惑の念が晴れたことにより、ありがちなハッピーエンドに向かうと思われた矢先、本当の恐怖が待ち受けていた。
尺の大枠を利用して重ねてきたミスリードの連続と過去作を見返してもそうはない無慈悲なラストに鳥肌が止まらなかった。
正直本当はニッキーが犯人で何かのタイミングでデイヴィーたちを殺すのではないかとすら思っていた笑。
既に追い詰めたはずの大人の殺人犯が無力な子供たちを前にするとこんなにも恐ろしく、狡猾で、心に傷を残す力を持っていようとは思わず、とんでもないトラウマ映画に化けたラストは必見だ。
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