工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男のレビュー・感想・評価
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リアリティがしっかりと感じられるスパイ映画で、面白かった
ユン・ジョンビン 脚本・監督による2018年製作(137分/G)の韓国映画
原題または英題:The Spy Gone North、配給:ツイン、劇場公開日:2019年7月19日。
実話に基づく映画(工作員「黒金星」は朴采書パク・チェソ)ということであるらしい。
南北の対立を背景に、南側で金正日面会まで漕ぎ着けたスパイを主人公として、とても面白かった。その中で、南側の保革対立の中で、保守派が裏で北と手を結んで大統領選を戦う描写も描かれていて、リアリティを感じてしまった。
主役パク・ソギュンを演じたファン・ジョンミンの演技、商売熱心な商人を上手く装ってる優秀なスパイを演じて見事、凄いなと思わされた。ギリギリの商売交渉の中で生まれた北朝鮮の外貨獲得責任者リ・ミョンウン(イ・ソンミン: 祖国の惨状に心を痛めている)との同志的な信頼関係も、かなり心を打った。イ・ソンミンの抑えた演技も、とても気に入った。
俳優たちの演技も、物語のつくり、及び演出もレベルが高く、韓国映画の質の高さに感心させられ、羨ましくも感じた。
監督ユン・ジョンビン、脚本:クォン・ソンヒ、ユン・ジョンビン、音楽:チョ・ヨンウク、美術:パク・イルヒョン、衣装:チェ・ギョンファ、ヘアメイク:キム・ヒョンジョン、撮影:チェ・チャンミン、照明:ユ・ソンムン、編集:キム・サンボム、キム・ジェボム、武術:ホ・ミョンヘン、チェ・ボンノク、製作会社:サナイピクチャーズ、映画社月光、配給:CJエンタテインメント。
出演
パク・ソギョンファン・ジョンミン、リ・ミョンウンイ・ソンミン、チェ・ハクソンチョ・ジヌン、チョン・ムテクチュ・ジフン、金正日キ・ジュボン。
ロレックスとタイピン‼️
リ所長、無事でよかったー‼️北朝鮮の核開発を探るため、南のスパイを事業者に仕立て、北の上層部に接触させる南北のスパイ戦という、「シヴィル・ウォー」を地で行くストーリーも見応えがあって、南の大統領戦を巧みにストーリーに絡め、自分たちに都合のいい候補を当選させるため、簡単に仲間のスパイを裏切り、犠牲にしようとする南の上層部の腹黒さも恐ろしいし、北の国内内部事情、特に国民の生活水準の低さも悲惨‼️ただこの作品の一番の見どころは主人公の南のスパイ、パク・ソギョンと、北の交渉役リ・ミョンウン所長の男の友情‼️パクの素性が判明した後も身分証を工面し、パクの国境越えを手伝うリ所長‼️そして北の軍部に連行されるリ所長‼️そして10年後の北と南の共同でのCM制作‼️再会したパクとリ所長の表情に涙‼️そして互いへの贈り物であるロレックスとタイピンを見せ合うシーンにも涙‼️涙‼️ホントにリ所長、無事で良かったー‼️
なかなか複雑でサスペンスフル
スリリングで非常に面白いサスペンスだった。スパイとして何らかの作戦行動をするというよりは、ほとんどの時間で信用を得ようとすることしかしていないのも面白い。
注目すべきはやはりリ所長だろう。
彼は北の人間で自国が不利になるようなことは望んでいないが、北の国民に南の資本主義に触れさせることで意識改革をしたいと願う人物だ。
自国に対して小さな革命を起こしたいが裏切り者でもない。リ所長にとって主人公は正に求めている人物だといえる。
リ所長は主人公に対してスパイの疑いをもって接するのだが、物語の中では主人公視点で描かれるため、正体がバレるのではというハラハラ感を生む。
しかしリ所長の想いが明らかになったあと思い返してみると、彼は常に主人公がスパイではない証拠を探しているだけだったのだ。頼むからただのビジネスマンであってくれと願う。
その強すぎる想いは次第に主人公に対してゆるいジャッジへと変わっていく。状況的にどんなに怪しくとも決定的な言動、行動がなければ白と判断しようとする。
しかしリ所長のしようとしていることは悪魔の証明だ。スパイである証拠はたった一つでいいが、スパイではない証拠は見つかるはずはない。そんなものは本当にスパイではなかったとしても存在しないのだから。
主人公とリ所長はそれぞれ悪魔の証明に翻弄されながら違う状況で追い込まれていくこととなる。
政治を絡めた攻防で、彼らの状況は複雑化していく。南の選挙結果を知っているから余計に面白い。
つまり、主人公、リ所長共に、ある意味で失敗すると分かっているからだ。
彼らはどのように失敗してしまうのか、失敗したあとどうなるのか、先の見えない展開が面白い。
作戦が失敗してしまう敗北エンド。しかし一筋の達成感がある終わり方もまたいい。
所属する国、組織にとらわれず個人としてでも想いを一つにできたように感じられる。
浩然之気
実業家に扮し、北朝鮮に潜入する韓国の工作員パク・ソギョンをファン・ジョンミンが演じる。
北朝鮮の重要人物との接触を重ねる緊迫したシーンがリアルに再現されていた。
立場を超えて互いに敬意を払うシーンが見事。見応えがありました。
ー北風が吹く
自宅での鑑賞 (字幕版)
祖国を思う南北の2人の友情物語
北朝鮮の核の情報を探るために送り込まれた韓国の工作員。
ただ、物語はだんだんと核以外を中心として回り始める。
「国」という主体は、誰が作り上げているんだろう。
絶対に相容れないと思い込まされていても、その裏で繋がっていることは多々あるだろう。
むしろ「敵同士でいる」という合意さえありえる。
「国」という枠を取り払い、人と人として会えば、ほとんどの戦いは避けられる気がする。
でも、「国」というシステムがなければ回らないものもある。
そして、気になったこと。
最初のほうで映る写真からして、パク・ソギョンには家族がいたはず。
家族のもとに戻れただろうか。
やはり韓国映画は凄い
敵国同士の権力者達は実は裏で繋がっていて、権力を維持する為にお互いを必要とするwinwinの関係なのではないか。世界で何かが起こる度に私はこんなことを思ったのですが、これは私の妄想ではなく本当にあり得る話なのかも?と本作を鑑賞して思いました。数年前に騒がれた北朝鮮のテポドンの発射も、安倍政権下の官房機密費を使って金正恩に依頼してたりして。政権の支持率が上がってテポドン様様ですね。
世界でも米ソ対立がなくなったと思ったら、悪の枢軸やテロリストが出てきたし、敵がいないと国家が成立しないようです。
朝鮮の歴史は日本とは全く異なるからかもしれませんが、民主派と保守派の対立が激しいですね。金大中が当選できないように保守が北朝鮮にお願いしてるのって、反共といいながらも、むしろ北朝鮮と仲良しです。
それにしても、こんなに闇深い話を映画にして賞が取れる韓国映画界と韓国国民のレベルの高さに改めて敬服してしまいました。
そして、二つの国に翻弄されながらも、人間を最後まで信じ抜いたパク・ソギョンとリ所長。彼らは何の為に誰の為にここまで命や尊厳を捨てなくてはいけないのか。私が戦争映画を鑑賞する度にいつも感じる不条理を本作でも感じました。
しかし、本作で最も素晴らしかったところはラストにありました。パク・ソギョンとリ所長は想像もできないほどの葛藤と恐怖を抱えながら、それを勇気と希望に変えました。人間が人間を助けなくてどうするんだ。仮にこんな野蛮な人類にも価値があるとするならば、こういう部分なのだと思います。
緊迫感あり、余韻あり、いい映画だった
北朝鮮への潜入を韓国政府から命じられて工作員となったパク・ソギョン。コードネームは黒金星(ブラック・ヴィーナス)。実在した人物で、実話に基づいた映画で、1990年代の朝鮮半島が舞台。
潜入といっても、北の権力層との接触にこぎつけるまでが、そらまあ大変で・・・。なんせ、北朝鮮ですから。盗聴、尾行、自白剤など、スパイの世界では日常茶飯事。ずっと、はらはらドキドキ。手に汗握りながら、見ました。政治、世界情勢に疎い自分は、ちょこちょこメモを取りながら見ました。こんな凄い映画を作ってしまうなんて、さすが韓国ですね。それにしても、北朝鮮がこの映画を見ても大丈夫なん?と心配なんですけど。
とうとう、将軍様の別荘にまで潜入してしまうのですが、車で平壌入りするところも緊迫感があり・・・これって前に感じたことあるドキドキ感?と思ったら、映画『ボーダーライン』で、麻薬カルテルのメキシコの国境を越えるところに似ていたなと思いました。
主役のファン・ジョンミン、口達者な商人の軽さと工作員の秘めたる困惑が同時にまじった演技、本当によかったです。冷徹な軍人気質のチョン課長(チュ・ジフン)も上手かったですねえ。自白剤を注射されたあと、無意識の状態で尋問されるシーンも見どころかもしれません。本人そっくりな金正日が登場してしまうところは驚きました。
最後、リ所長がパクのために通行証を用意したところは胸が詰まってしまいました。二人の間には絆が芽生えていたんですね。その五年後だったか、南北の広告撮影が実現し、パクとリ室長が、互いの贈り物(腕時計とタイピン)を遠くから、見せ合うところも、どこか切なくて。ラストがこんな感じだったので、スパイ映画とはいえ、静かな余韻が残っています。(TT)
実話に基づいているといえども、どこまでが実話なのかはよくわかりませんが、大統領選挙前に南が北に軍事挑発を誘発したというのは本当だったそうです。実在の黒金星(パク・チェソさん)自身、この映画を見たそうで、「見たスパイ映画の中で最も事実に近い」と言ったそうです。
<備忘録>
南★北に潜入する工作員:パク・ソギョン(ファン・ジョンミン)
南★国家安全企画部の室長:チェ・ハクソン(チョ・ジヌン)
北★対外経済委員会の所長:リ・ミョンウン(イ・ソンミン)
北★国家安全保衛部課長:チョン・ムテク(チュ・ジフン)
北★金正日総書記:キム・ジョンイル(キ・ジュボン)
2010年 黒金星、国家保安法違反で緊急逮捕
2016年 黒金星、6年の服役を終え、5月に出所
どっと…
見終わり、疲れた。。ラスト生きてて良かった。互いに祖国のため、それぞれの思いで命掛けの行動を起こした。特に北に単身潜入している黒金星は常に死と隣り合わせで緊迫感あった。金正日に合う直前に自白剤を飲まされるシーン、盗聴器を仕掛けるシーン、リ所長に銃口を突き付けられるシーン、幾度も絶体絶命があった。リ所長にしても、工作員を心底信じ、金正日にまで会わせてしまい、自宅にまで呼んでしまった。家族はどうなったのだろうか。北風工作、権力を保持するためには外敵がいなくてはならない、こんなこと知らなかった。祖国の安全より、権力保持のための組織の命令を聞かず、金正日に命掛けで直談判した黒金星、南との接触で北体制の改革を願ったリ所長、思惑は違えど、共にした思い、行動が黒金星を殺すことができなかった、自分や家族の命がどうなるかわからないのに、双方の思いが素晴らしい。祖国を思った黒金星が国家保安法で服役したのは皮肉だ。実話ベースのこの話を映画化する韓国映画の凄味が伝わってくる。二人を演じたファン・ジョンミン、イ・ソンミンは素晴らしかったし、チョン課長のチュ・ジフンが鋭利な刃物のように怖かった。偽ロレックスと浩然の気タイピンは感動的だった。
核開発の実態を探る内に…
北朝鮮の核開発の実態を探るため、実業家に扮したパクソギョンは北朝鮮に潜入する。
広告写真のロケ地、遺跡探しを称して、中心地から外れた北朝鮮の街並みを見ると貧困問題が露骨に現れる。道端で座り込む人々、盗みを働く子供、積み重ねられた死体の数々。
同じ朝鮮半島でここまでの差が…パクのやるせない様子は観ていて辛かった。
北朝鮮による攻撃は韓国側が政治のためにお願いしていたというのが衝撃的だった。
北朝鮮は金と非難する相手が必要だからと…上の勝手の判断で和平とは逆方向に進んでいく様は怒りを感じた。
パクとリ所長が南方の壁を越え、和平に向けて協力する姿こそ本来あるべき南北の姿だと思った。
ラストの2人の再会シーン、感涙しちゃう。上手いよね韓国映画は。
今作は金正◯が出てくるのにビックリ。彼の考えで全てが決まる独裁政治のある意味恐ろしさを見せられた。そして、彼に反しただけで死が待つという緊張感、威圧感がチョン課長のビビリっぷりを通して上手く出ていた。
スパイ映画という割にアクションのない…それでいてドキドキしました
これは、どこまで実話なのでしょう…。なんとなく、こういう出来事があったことは覚えがあるんですが…。
ともあれ、面白かったです。北だの南だの、スパイだの、日本でも、ありえない話ではないのかもしれませんが、やっぱり他人事。いろいろドキドキしながら観ていました。
そういえば…こういう北と南を描いた作品にしては、アクションがありませんでしたね。序盤は、北と南のスパイ作戦って思って観ていましたが、そのうち、南の選挙話になったときには、おまえらの思想なんて、そんなものなのか?とツッコミました。個人的には、普段から、しっかりとした思想を持ち、意思表示をしっかりするお国柄と思っていたので…。ま、映画なので、そこは大目に見ましょう。
それにしても…ラストは、何というか…。こう終わって欲しいという思いの通りでした。でも、そういう訳には行かないお国柄では?これまた、映画ならではの、ご都合主義な感じもしましたね。もしくは、作成者側の希望…なのでしょうか。
南北分断のドラマは悲しく熱い
北朝鮮というと、中川家のニュースキャスターや、サンドウィッチマンの「北の偉い人」のモノマネもあって、昨今ではコミカルな印象もあった。しかし、映画の中の北朝鮮は戦慄と恐怖でしかなかった。
1つの行動や受け答えで粛清されてしまう官僚や軍人たち。飢餓に苦しむ国民。圧倒的存在感の「北の偉い人」。キムデジュンのことなど、歴史の裏舞台も知れて、もうiPhone画面に釘付け。
見応えはやはり、冷静冷徹な官僚であるリ所長との交渉シーン。腹を探り合いながら、ギリギリの信頼感のところでお互いの利益を図る。ミスるとお互いに命はない。処刑or粛清
そしてもう1つの見どころ。緊張感が高まるにつれて、観る方も身体が強張ってくるなか、そのリ所長が時折「人間」としての顔を見せる。そう、彼にも同じく赤い血が通っているのだ。滅多に表情を変えない彼の、止むに止まれぬ心の叫びに、ただただ涙するしかなかった。そして、彼の家に接待を受けての食事シーン。ホテルでの高級レストランではない。しかし、どうだろう。人間が心を通わせ、同じテーブルについて食事を取るって、こんなに温かいものなんだなと深く沁み入る。その対比が素晴らしい。
南と北の未来の為に輝いた“スパイ”という名の星
今やすっかり国際ニュースの定番となった北朝鮮の核問題。
遡る事20年以上前…。
1990年代、北朝鮮に潜入して核開発の実態を探れ!
実話に基づくサスペンス。
そんなジェームズ・ボンドやイーサン・ハントでも難題なミッションを課せられたのは…
元軍人の韓国の対北工作員、パク。コードネームは、“黒金星(ブラック・ヴィーナス)”。
その方法は…
実業家を装い、北朝鮮の人脈に接触。3年の工作活動の末、遂に重要人物である北朝鮮の外資責任者であるリ所長の信頼を得る事に成功。
核開発が行われている付近でのCM撮影、そしてあの偉大なる将軍様と接見する時がやって来る…!
とにかく話が面白い!
どうやって接触/接近し、信頼を得るか。策を凝らした頭脳戦。
そして何より、このスリリングさ、緊迫感と言ったら!
巧みで着実な手腕で信頼を勝ち得ていくが、いつバレるか分からない。
リ所長はかなりのキレ者。
国家安全保衛部の軍人は何かと疑いの目を向けてくる。
本当は、バレているのではないか…?
危機は何度も。特に、将軍様との接見直前、保衛部の軍人に遂に…!?
将軍様接見シーンも圧倒的緊張感。
派手なアクションは一切皆無。なのに、この興奮!
これぞ本当のスパイ・サスペンスとしての醍醐味!
実業家を装った時の柔和な人柄、工作員としての苦渋の表情、ファン・ジョンミンの熱演。
クセ者揃う中、リ所長役のイ・ソンミンが存在感を放つ。
『悪いやつら』でも見応えあるサスペンスを手掛けたユン・ジョンビン監督が更なる上質な作品を。
それから、特殊メイクであの将軍様をそっくり再現・登場は注目。
命懸けの工作活動の末、遂に北朝鮮の核開発の決定的証拠を掴む!
…という、劇的エンタメな展開にはならず。
ある意味、劇的な展開へ。
本作は、何とも重く苦しく考えさせられる、社会派サスペンス/社会派ドラマであった。
北朝鮮に潜入してこの目で目の当たりにした、悲惨な現状。貧しい村では、ゴミと死で溢れ返っている。
リ所長もその部下もその現状に胸を痛めている。だが、この体制下、どうする事も出来ない…。
1997年、韓国の大統領選。目下、最有力候補者に反対派の上司たち。北朝鮮と裏取引。それにより、これまでパクがしてきた事が全て無になる恐れが…。
単純に韓国=善、北朝鮮=悪と描いていない点が絶妙。両国の問題や闇を浮かび上がらせる。
パクも当初は、祖国に忠誠を尽くす工作員として行動していただろう。
が、かつて一つだった南北に分断された両国の為、工作員活動や政治の暗躍より、本当に事業で友好を再び…と、奔走する姿が胸を打つ。
パクとリ所長の間に芽生える絆。初めて交わした酒呑み。
しかし…
これは実話。
結末やパクのその後はこうやって映画になっているので知れ渡っている。
ラストシーンの南と北の初めての文化交流の場。
気付けば、10年の歳月が経っていた。
やっと、こういう場が…。
そこで、10年ぶりの再会も…。
昨夏公開した時から気になり見たいと思っていたが、もう期待以上!
面白さ、ハラハラスリル、考えさせられる社会派テーマ、そして感動…。
どうしてどうしてこうも、韓国サスペンスは面白い!?
骨太だった
・北朝鮮が時折、何故ミサイルを打っているのだろう?と疑問だったけど、そういう理由からだったのか、と納得した。
・どんな国にも、自国を良くしたい。という人が居るんだ!と感動した。
・ラストの腕時計とネクタイピンのシーンで泣きそうになった。
・立場を守るために国家安全企画部の上司が立場などを守るため命がけでスパイをしてる黒金星をだましていたけど、わからなくもない気がしてきて、疲れた。
祖国のために、、、
韓国は見るたびに感じるけど、ちゃんと演技のできる俳優が多い。多分、我が国の演技のスタンダードが演技力とは異なるところにポイントがおかれているものだから、むしろ我が国のように、ちゃんとした演技をしないでも、映画やドラマが成立している国が稀有なんだろうけど。
とまぁそんなことはおいておいて、二つの祖国の悲劇と希望が過剰な演出なく、コツコツとシーンを積み上げて描かれていて、好感の持てる映画だった。
ラストでは、意外に冷酷な上司、ほっとする再会と、物語に決着はつくものの、昨今の情勢を考えると、過去の政権のあら探しはやめて、腐敗を産み出さない、権力一点集中を少しでも減らす、法律作りをすればいいのに、と、切実に思う。こんなに素晴らしい芸術の国を、恨だけの国にしてほしくないなー。
人間ってすごい
北朝鮮が核を持っているのか調査した韓国スパイの話なの。スパイ物だから「あ、バレる、バレる。どうすんの? どうする?」っていうだけでも観てて面白いのね。
「どんな体制にいても人間って同じだな」って思うのね。北朝鮮の人も韓国の人も「出世したい」「金を手にしたい」と思ってる。主人公は、北朝鮮側のそこをうまく突いて入り込んでくのね。
それで「国家って、権力ってなんだろう?」とやっぱり思うの。国のためを思って色々やるんだけど、「何人かを犠牲にしてまで、そこまでして、国って守るものなの?」と思っちゃうね。権力を持った人も「国のために」ってやってるうちは、まだ良いんだけど、保身に走ったときに駄目になる。その人たちだって崇高な目的に殉じようと思ってただろうに、人間の弱さだね。
主人公の上司の描き方もうまいんだよね。上司も「この命令はなんのため?」と思って上に歯向かってみるんだけど、機構の中でどうしようもない。それで主人公に対しては、機構そのものとして指示を出す。だから主人公と上司のやり取りになると「主人公の言ってることは上司も解ってんだよ。どうしようもないんだよ」って、機構の理不尽さを感じるのね。
そんな状況の中で、再び「人間は変わらない」ってのが違う形で出てくんの。主人公と北朝鮮の所長ね。この二人は体制の違いを超えて「北朝鮮の人民をなんとかしなきゃ」っていうところで理解しあう。それで、互いに助けんのね。特に、所長は、自らの危険を顧みず助ける。ここが、凄いなって思った。
10年ぶりの再会で、二人がロレックスとタイピンを見せ合うところは声あげて泣きそうだった。
権力について描く、韓国お得意の主題で、エンタメ要素もきちんと抑えていて、楽しく観ながら色々と思う良い映画だから観た方がいいよ。
まさかの
リ所長が一番カッコイイとは!でもどこまで事実か知りませんが、南のスパイを将軍様に会わせちゃうような失態をしたら生きていられない気がしますよねー。叔父さんをも粛清しちゃう国家なんだもの。あと自国のスパイをしてたのに自国で罪に問われちゃうの?とコマゴマ分からんところはいっぱいありました。でも男たちがカッコよくて良かった!あとあの若いムカつく軍人が教化所みたいなとこで労働させられてたのがスッキリ!
ただ今、色々と世界を騒がせている韓国さんですが。
まぁ、そんなこんなは一切合切無視して、忘れて、観て来ました。これまで見た韓国映画の中でも、一二を争うくらい面白かった!
ただ、本当に忘れなきゃダメです、他の韓国映画と同じように。もう、あらゆる事を全部忘れて、フィクションとして見るべき映画です。
もう、出て来る男も女も、全員「敵」に見えて来て緊迫感高まります。潜入、密会、盗聴、暗殺、などなど、「スパイの基本」はアジア的かつ古典的。日本語でまくしたてるキヨハラとか結構好き。チュ・ジフンの名前が出て来なくって、「ヘウォンメク!」と頭の中で連呼してしまったのは私です。
党からの指示に従うしか生きる道の無い男と、組織と国家のために全てを捧げて来た男。
利害も生きる目的も、真っ向からぶつかり合っている、この二入。北京の高層ビルから見下ろす眼下には光の塔と筋が広がっていました。二人はその景色を眺めながら一つだけ同じことを考えます。
「北が変わり南北統一へと向かう流れが出来れば」
まぁ、最後はやられた。良かった。だけど、そのRolex、偽物なんだよね.....
もしかしてそのタイピン、青酸カリとか仕込まれてません?
そういうところを突っ込む場面じゃないんだけどw
以下、映画の基本的な背景など
◆韓国と北朝鮮は、今も休戦に合意していない
そもそも、朝鮮戦争の休戦協定は「国連軍」と「朝鮮人民軍 及び 中国人民志願軍」の間で結ばれたものであり、当時韓国の李承晩は協定協議に参加すらしていないとされています。手っ取り早く言うと、休戦は「アメリカと北朝鮮の間だけ」の話。北朝鮮と韓国の間の関係は、今も「交戦状態」です。ですが、陸上に惹かれた非武装地帯を超えた軍事行動はもってのほか。境界線の取り決めの際に、曖昧にされていた「海上の境界線」を巡り、北朝鮮が挑発行為を定期的に繰り返している、と言う事実があります。
◆実際に起きている「島への砲撃」
延坪島砲撃事件は2010年。金正恩への権力移譲に向けた指導力アピールが目的とみなされている軍事行動です。映画の中では「南方の島を砲撃してくれ」と言う話が出ますが、砲撃は12年後に現実のものとなります。
◆金大中と言う、よく判らない人
また「金大中事件」は、下手な政治事件サスペンスが顔色を失うほどにショッキングな内容。日本のヤクザも絡んでいます。韓国諜報部と日本の反社会的組織の繋がりを知る、と言う意味からも、wikiで十分なので調べてみてはいかがかと思います。映画としては大ゴケした「KT」ってのがあります、俺も観た事無いけど。
尚、金大中はノーベル平和賞を受賞していますが、一方では「崩壊寸前だった北朝鮮の金体制を延命させ、核武装に必要な時間稼ぎと資金調達を手助けした男」と言う見方も出来ます。
8/16追記
◇黒金星の意味
金星が太陽の表面を通過する時、明るい金星は数時間、真っ黒な点となります。これが黒金星です。1716年、イギリスの天文学者エドモンド・ハレーは世界中の科学者が結集して地球規模のプロジェクトを成功させようと呼び掛けました。
金星の日面経過を地球上の異なる地点から観測し、その結果を持ち寄れば太陽系の正確な大きさを計算出来るからです。
1716年、ハレーは60歳。次の日面経過は1761年と1769年。ハレーは、自分自身の提唱したプロジェクトの成果を見届けることなく亡くなります。
1761年6月6日と1769年6月3日、世界各地で数百人の天文学者が望遠鏡で空を見上げ、金星の日面経過を観測しました。宗教や国や経済力の違いを捨てて、史上初の世界的な科学プロジェクトのために力を合わせたのでした。
「黒金星」の暗号名に込められた願い、胸に刺さります。しっかりしろよ韓国、って言いたくなります。
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10/11追記 「金星を追いかけて」
「世界中で金星を観測した」と簡単に書いてしまいましたが、当時は7年戦争を挟み、英仏のフリゲート艦が海上で出会えば必ず戦闘になっていたと言う時代。天文観測は命がけの冒険でした。欧州から喜望峰を回り、インド洋を渡り、戦闘とハリケーンを潜り抜ける観測地までの旅は、完全に大冒険。凍った川を渡りシベリアへ向かった者もいます。太平洋を渡りメキシコに上陸、カリフォルニアまで移動した者。観測地で熱病に倒れた者も居れば、あれだけの冒険を乗り越えたにも関わらず、天候に泣いたものもいます。彼らの大冒険は「金星が太陽面を横断する日」に向かって、各々が自力で動き出し、各々がそれぞれの冒険を乗り越えて行きます。
胸アツを超える、先人たちの命を賭した科学探求の冒険物語は、私にとって鳥肌と感涙の人生最大級の絵巻物でした。「金星を追いかけて」も、お勧めの一冊です!
Wikipediaでも大まかな概略が判ります。「金星の太陽面通過」、「1761年」の項と「1769年」の項を参照。
面白かった
スパイ映画として秀作です。金正日役の俳優も好演、リアルに演じている。セット、ロケ、役者の演技は、どれも水準以上に出来上がっています。日本人として悔しいが、今の日本映画ではこれだけのスパイ映画は作れないと思う。いつまでも、テレビドラマ程度で済む、内容の貧弱な、低水準の三流、四流映画を作っていると、腕が鈍って、一流のものが作れなくなる職人と同じです。
また、諜報員というのは”二重スパイ”だということを、何気なく教えてくれるところが憎い。
素晴らしかった
真逆の立場でありながら同じ綱を渡った男どうしで通じ合い、友情という言葉だけではくくれないような感じが素晴らしかった。スパイでありながらキムジョンイルに面会するまでに上り詰めていたのに、それほど成果がなかったような。もうちょっと頑張れば体制を揺るがすことができそうなのにそうでないところが非常に実話っぽかった。
主人公の苦さ:7、甘さ:3くらいな顔と声がよかった。
所長~!
韓国の現代史に詳しくないとわかりづらい部分もありました。
例えば、なぜそんなにメイドインノースコリアにしたいのか観ているときはわからなかった。
パンフレットに時代背景や用語解説が載っていたので事前に読んでおけばもっと楽しめたと思います。
でも、細かいところまで分からなくてもパクと所長の漢の友情に号泣でした。特に所長がカッコよく、実質的な主役はこの人ではないかと。最初は東京03の人に似てるなーくらいにしか思ってなかったですが、徐々にその漢気に惚れてしまいました。
また話の中核部分である、選挙になると与党が危機を煽るというのはどこの国でも同じなんだなと暗澹たる気持ちになりました。『ザ・キング』でもそこら辺のことは描かれていましたが、こちらの方がリアルではるかにぞっとしました。
全21件中、1~20件目を表示