「【愛する者達との幾つもの別れを乗越え、愚直に”自然の生命”を想像力の源泉にたった一人で”世界一の宮殿”を造り上げた男の不撓不屈な生き様を描いた作品。】」シュヴァルの理想宮 ある郵便配達員の夢 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【愛する者達との幾つもの別れを乗越え、愚直に”自然の生命”を想像力の源泉にたった一人で”世界一の宮殿”を造り上げた男の不撓不屈な生き様を描いた作品。】
冒頭から、人と話すことが苦手なシュヴァルに試練が降りかかる。
妻が病で急死し、息子は親戚の家に引き取られ失意の中、毎日黙々と郵便を届ける日々。
ある日、新しい配達地域で出会った未亡人フェロメーヌに一杯の(いや二杯の)水を差し出され、話を交わす中になり、再婚。
愛娘、アリスが誕生する。
<寡黙な割には、素早いなシュヴァル・・ と心の中で余計な突っ込みをする>
配達途中に躓いた石の形に”インスピレーション”を受け、アリスのために宮殿造りに着手。
建設中の ”わたしのために建ててくれる世界一の宮殿” の中でかくれんぼをして、過ごすアリス。平和な日々。
だが、アリスは肺病に侵される・・。
失意の中、それでもシュヴァルは建設を諦めない。
・建物に針金を通し、不思議な曲線の造形を考えたり
・”物事を成し遂げるためには頑固であれ”という言葉を埋め込んだり
取りつかれたように建設を進めるシュヴァル。彼の体を心配しながらも見守るフェロメーヌ。
10時間郵便配達(途中で興味ある石も確保)、10時間宮殿造りという日々。(常人では考えられない精神力である)
<勤続30年表彰で、地球一周する距離を5回歩いた と称賛されている・・>
当初、馬鹿にしていた村人たちも、徐々に彼の姿を応援するようになっていく。
文化人からも称賛されるようになる”シュヴァルの宮殿”。
幼い頃、親戚に預けていた息子が立派に成長してシュヴァルと再会する場面。”良く頑張った”とモゴモゴと声を掛けるシュヴァルと嬉しそうな息子の姿。
息子の二人の子供、(下の娘の名は”アリス”である)が彼の宮殿の中で追いかけっこをする姿や、息子と最初は恥ずかしそうに、そして徐々に誇らしげにお土産用の写真を何枚も撮る姿も微笑ましい。
が、再び彼を襲う悲しい別れ。
時は流れ、孫娘アリスは美しく成長し・・。
<年老いたフェロメーヌにかけるシュヴァルの感謝の言葉と、孫娘アリスを皆が祝福する場面で、満足そうに椅子に座り、目を瞑るシュヴァルの豊饒な表情も印象的な、美しい宮殿のシーンは忘れ難い。一つの事を愚直にやり遂げた男の不撓不屈な生き様を描いた作品でもある。>
返信遅れました。申し訳ありません。
虚仮の一念宮殿をも作る!やはり神がかりなために失うものも多かったのでしょうか、それでも息子に愛されていたことが分かり、幸せな生涯だったかもしれませんね😆