劇場公開日 2019年11月8日

  • 予告編を見る

「エレガントなサイコパス ピアノの旋律に戦慄が走る」グレタ GRETA shironさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0エレガントなサイコパス ピアノの旋律に戦慄が走る

2019年11月3日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:試写会

バッドエンドだ〜。と思ってから、更に驚きの展開が!!
最後まで目が離せない映画でした。
終始ミゾオチの辺りがゾワゾワする怖さ。
私的には、ジョーカーよりグレタの方がヤバい奴でしたww(『ジョーカー』はヤバさより哀れが際立つ)
母親という立場を借りた支配に、母親の愛情という名の拘束。
ニール・ジョーダンって、やっぱり女の描き方が容赦ない。(-_-;)

エレガントなサイコパス。
ユペール様がガムを噛むだけで恐ろしい。
エレガントだからこそ際立つヤバさ。
効果音で驚かせる、モンスター扱いの演出もありつつ、それでも俄然エレガント。
しかも、物語が進むにつれて化けの皮が剥がされていくと、エレガントさが逆に痛々しくなる。
ドSっぷりがここまでハマる女優さんも、そうそう居ないと思います。
もっとグレタを見ていたい。
1作で終わらせるには勿体ない程、強烈なキャラクターでした。(←だからって続編を作ってほしい訳ではなく、このまま終わらせるのが粋。)

クロエちゃんの極限状態の演技が素晴らしい。
『彼女が目覚めるその日まで』ですっかり少女から大人の女性へと成長したんだなぁ。と思っていましたが、本作では幼い少女の怯える顔が見られます。
いや、少女と言うより幼女の表情。
圧倒的に無力な立場の者が追い詰められた時に見せる許しの懇願に、ゾクゾクしました。
グレタが求めていた存在そのものになった瞬間かもしれません。

そして、音楽のセンスが素敵!
オープニングから魅了されますが、とくに地下のシーンは最高で鳥肌が立ちました。
ピアノの美しい旋律に戦慄が走る。
今後、ショパンの曲を聞くたびに、私の心はざわつくでしょう。

shiron