「誰に見て欲しい映画なのか?」酔うと化け物になる父がつらい かじゅさんの映画レビュー(感想・評価)
誰に見て欲しい映画なのか?
なぜこれを映画化しようと思った?
何を伝えようとした?
最後まで分からなかった。
自分は母が軽度のアルコール依存です。
この父親ほどではないものの、それなりに化け物だと思って育ってきました。
だからこそこの映画に、被害者の辛さを伝えてもらえることを期待していた気がする。
でも映画の描写は、いたって客観的だった。
サキに感情移入できた人はどれだけいるのだろう。
サキの気持ちになりたいなら、終電過ぎた頃の新宿駅に突っ立ってるほうがよほど酔っ払いの悲惨さを味わえると思う。
奇行による痛み、酒の臭いやその後の行動によるにおいの不快感。そういう、視覚と聴覚だけでは得られない感覚が、どうにも伝わってくる表現ではなかったように感じた。
サキのセリフは同じ立場にいた人間からするとその通りなんだけど、そこに至るまでの視聴体験がどうにも弱い。
だから説得力がない。
役者は悪くないと思う。
各キャラクターの動きも悪くないと思う。
ただ、父親の化け物っぷりと主人公の心理描写はもっと強烈なものを残して欲しかった。
酔っ払いの映画なので当然吐いたシーンがあるわけだけど、見てる側がオェってなるくらいの(見たいわけじゃないけど)強烈さがないと、何も伝わらないのでは。
父親擁護の色が強い気がして、タイトルと内容にミスマッチがある印象でした。
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