「浅田さんと、この家族、大好き!!」浅田家! 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
浅田さんと、この家族、大好き!!
2020年。中野量太監督作品。
たくさん笑えて、シミジミ心に沁みて本当に良い映画でした。
前半は写真集『浅田家』の元になった、コスプレ写真の成り立ちが中心。
「成りたかった職業」「やってみたかったこと」をテーマに、
政志(二宮和也)が家族を巻き込んで、家族全員でコスプレして、
写真を撮ったものです。
お父さん((平田満)の夢は消防士。
・・・普通、本物の消防車って借りられないけど、それを実現するのは
長男幸宏(妻夫木聡)の腕の見せ所!!
お母さん(風吹ジュン)のなりたかったのは、岩下志麻の『極道の妻たち』
・・・コスプレしたくなる気持ち、わかる、わかる(笑)
レーサー、ヒーロー、大食い選手権などなど、一目で大笑い出来る
ナイスなそして斬新な写真です。
それもその筈、苦労して出版に漕ぎつけた写真集『浅田家』は、
なんとなんと写真界の芥川賞と呼ばれる「木村伊兵衛写真賞」を頂くことに!!
後半はガラリとシリアスになります。
浅田政志32歳の2011年3月11日。
東日本大震災が東北地方を襲いました。
日本中が大変な悲しみと絶望に打ちひしがれた日々でした。
取り敢えず駆けつけた現地。
一番に目に入ったのは、津波で泥だらけになった写真の数々。
一枚一枚泥を落とし綺麗に乾かすボランティアの青年がいました。
大学院生の小野くん(菅田将暉)でした。
手伝わせてもらう事になった政志は、素性を隠して毎日、毎日、通いました。
取り組みは大きくなって、やがて小学校の教室に展示して、家族写真や遺影を探す人々の元へ返して、それは復興の支えとなって行くのです。
このボランティア活動を撮影したのが写真集が「アルバムのチカラ」です。
どうしても行方不明のお父さんの写真だけ、見つけられない少女の話し。
その理由は?
聞くと、なるほどその筈・・・なんですよ。
政志は、ライフワークとして、
「出張して家族写真を写します」をはじめます。
頼まれた家族に、一生の思い出になる「家族写真」の出前撮影に取り組むのです。
脳腫瘍の子供を持つ一家の「みんなで写す最後の写真」
行方不明のお父さんを待つ少女のための「思い出の家族写真」
この映画を見て、一枚の写真の持つチカラ・・・
ときに支え、ときに励まし、そして懐かしむ。
そのことを思い出させて貰いました。
笑あり涙ありの感動の実話です。
コスプレ写真は、ホンマオモロイわあー!!
共感ありがとうございます。
若手芸達者俳優が揃っていましたが、
黒木華、菅田将暉の演技は従来のイメージを払拭していました。
古風なイメージの黒木華は超積極的女性役を見事に熟していました。
菅田将暉は、役作りが完璧で誰が演じているのか分からない程でした。
俳優としてのイメージは大事ですが、演技の幅を広げるためには、
本作の黒木華、菅田将暉のような挑戦も必要だと思います。
それにしても、写真って凄いですね。静止画なのに当時の記憶を思い出せる力がありますね。
では、また共感作で。
ー以上ー