劇場公開日 2019年4月20日

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「フェイクニュース作成のお手本」主戦場 羅生門さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0フェイクニュース作成のお手本

2023年10月15日
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鑑賞方法:映画館

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良く出来ていました。フェイクニュース作成のお手本です。なのでメディア・リテラシー啓蒙のための格好の教材です。
人は自分に都合のよいものばかりを集める「確証バイアス」に陥りやすい。その典型です。編集テクニックの成果ではあるが、よくもまああそこまで醜悪な右翼の論陣を集めたものだ。監督に気を許したのか、思わず前のめりに興奮気味だった。なんとも侮蔑的・差別的な物言いで、普段ならあそこまでは言わないような表現が多かったように思う。学術的価値よりもこうした言説を好まない人達に向けたエンタメとして消費されることを狙っている。反対にリベラル側の物言いは淡白で、対比から誠実そうに見えた。考え方や数値の非合理性が薄められたように思われる。
一方で「歴史修正主義」のレッテル貼りが陳腐というか、公平性を欠く。
戦前は売上のためアテンション・エコノミーに走り、満州や中国大陸の租借地利権に飽き足らず、中国内地への進出まで後押しして軍の尻を叩いて煽っていた新聞メディアが、戦後は「一億総懺悔」などと一般国民に責任を押し付け、軍をその気にさせた責任を知らんぷりして軍国主義の弊害を非難し、全てを天皇制と軍国主義の責任として擦り付けた。戦後すぐの左派勢力が決めつけた「歴史観」のみが正しく、それに異を唱えるとまたもや今度は「歴史修正主義」とレッテルを貼る。間違った認識は検証して丁寧に根気よく修繕していくべきで、それが学会やメディアの責務なのだが、絶対にそこには手を付けさせない傲慢さ、不寛容さ、歴史に対する「謙虚さ」の欠如がこの映画からは感じ取られる。その意味で万人が見るべき映画だと思う。

羅生門