「慰安婦問題の是非を問う映画ではない。」主戦場 キレンジャーさんの映画レビュー(感想・評価)
慰安婦問題の是非を問う映画ではない。
公開からすでに3ヶ月。
今回は1週間という期限付き上映だったが、単館系劇場とは言え、平日・雨天ながら客席は満席だった。
予備知識なく鑑賞した私。
冒頭30分程はこのドキュメンタリーが「どっち」を向いた映画なのか分からず、ただただスクリーンから溢れる情報を整理するのに手一杯だった。
そして、中盤に向けてこの作品の慰安婦問題に対するスタンスが見えてくる。
しかし、この映画が訴えかけるのは、作中でも何度となく問われる「慰安婦問題は本当に終わったのか」「軍による強制連行はあったのか」「性奴隷だったのか」といった過去の事件の具体的は検証などではない。
少なくとも、それが主題であるなら、率直に言ってここで登場する顔ぶれも集められた言説も編集もかなり作為的で乱暴なものである。
しかし後半に向けて、ではなぜ慰安婦問題は日本では『終わったこと』になっているのか、が語られ始めると、俄然「現在進行形」の問題が浮き彫りになってくる。
ちょうど1週間前に観た『新聞記者』と合わせて、この選挙直前に観る意味を噛み締めながら「無関心」である事がどれだけ危険なのかを思い知った。
手法・内容・メッセージ…
作品には異論も賛否もあるだろうが、日本のメディアが取り上げない闇にスポットを当てた注目作であることは間違いない。
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