「精力的な巨匠」殺人鬼を飼う女 津次郎さんの映画レビュー(感想・評価)
精力的な巨匠
スクリーンに宿る黒が独特です。屋内でも屋外でも、鬱蒼として禍々しさを秘めた黒が置かれます。それは監督のどの映画にも有り、雰囲気のある好ましい黒ですが、いつもながら演出はいまひとつでした。濡れ場も退屈です。このエロが誰を感興させられるのか、考えると、不安になるほどですが、エロを除けばほんとに短い映画です。何を目論んでクチュクチュ音録ってるのやら・・・。話もセリフも幼稚です。これは誰向けなんだろうか?女優の箔付け以外に、有用性を感じない映画でした。
監督、ここのところ精力的な連作ぶりですが、質にも精力が欲しい気がします。
弁解すると、私は女優霊とリングの空気感がものすごく好きです。女優霊で、撮影現場にやってきた根岸季衣が、突然、雷に撃たれたように戦いて(おののいて)、目を剥いて「あんたたち何撮ってんの!」って言うシーン、映画史に残る名シーンだと思っています。そういう空気を期待して毎度中田秀夫を観ているわけですし、これだって惹かれたのは飛鳥凛でも松山愛里でもなく、まして18のレーティングでもなく、根岸季衣のクレジットだったんですが・・・。
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