「省かれたミルドラースを心から悼んでいます。」ドラゴンクエスト ユア・ストーリー カイさんの映画レビュー(感想・評価)
省かれたミルドラースを心から悼んでいます。
噂には聞いてましたが、やはり最後のシーンはオリジナル映画の癖の強さが出てました。
ドラクエ5を大好きな人たちが怒るのもよく分かりました。映画での内容を省略するのは、まだ我慢できましたが、私としては邪悪なミルドラースの描写すら全く出てこなかった事にキャラが可哀想に思いました。せっかくキャラデザインして作り上げたラスボスをよく分からないウイルスに代えた事で、映画を見てる側はショックすぎて映画内容に気持ちが追い付かず、大人になった現実の主人公が架空ゲームに対する熱いセリフも、見てる側は感情移入できず、気持ちが萎えたまま終わってしまいます。ラストに限って邪悪さが足りないままモヤモヤしてます。ドラクエ5のゲームで必死に倒したあの醜いミルドラースの存在は必須条件です。
ミルドラースを倒してからエンディングに行けず、そこからオリジナル要素を出した方がまだ良かったのでは??
何故、「大人になれ」なんてウイルスが言うのですか???本当に可笑しな話です。
具体的な過程もなく突然現れた原因不明のウイルスの意味不明な一方的な主張。
ゲームプログラムを支配する恐怖感や強さを知らしめすような謎の行動。
結局あのウイルスは何が目的で何がしたかったんだろうか…。
ゲームのバグウイルスは一見全知全能に見えますが、ゲーム世界での生き物なので視野が狭い寂しい生き物に見えました。ミルドラースの方がまだ目的を持っていた生き物なので可愛いものです。今回のウイルスは本当に救えないキャラでした。
ドラクエ5のミルドラースと異なり、今回のラスボスのウイルスは【Five Nights at Freddy'sのパペット】に似てました。似ている作品は多いのでなんでも良いのですが、パペットとして捉えてます。誰かの考えを操り人形がセリフを言わされているように見えました。支配されてる限り最恐ではないのでラスボスの器とは思えません。
愛されるゲームがVRになる事は現代人にとって、この先のゲーム技術に期待するくらい良い発想でしたが、最新ゲームのプレイ中なんだからメニュー開いてヘルプ機能が存在して運営側に報告してウイルスやトラブルなどを直す作業は当たり前なんじゃないのか、という次の突っ込みが出てきます。このようなオリジナルの欠けた部分に納得いかない為、人にはお勧めする映画ではないと思いました。
見てる側に伝わらない限り、意図的なメッセージもただの小細工でしかなく浅い映画として見られて終わってしまいます!
制作関係者の肯定的な意見だけを受け入れて欠けてる部分が見えなかったからか、この作品が出来上がってしまったのか知りませんが、もっと多くの人の意見を聞き取り入れて脚本編集したほうが良いです。編集不足で完成しても誰も満足するはずがないのです。
寛大になって受け入れろと言われても、ターゲット層が狭いのに一部の人にしか届きません。ゲームも知らない子供が見ても納得できないでしょう。
ゲームをやり込んだ人たちが見る前に期待するのも無理ありません。ゲームに限らず、映画が好きで見てる人、現実逃避している人たちに敵意を向けるオリジナル要素は作った側の悪いイメージになったでしょう。
なんでもリメイクしたら売れるだろとか浅い考えが駄目なんです。CGアニメの迫力だけ良くても妥協できない人たちも世の中にいます。
超大作王道ゲームの名前を下手に出した結果、多くの人を期待させたのです。残念な結果を作った側が目を逸らさず受け入れて下さい。