「ドラゴンクエスト5とは全く別物」ドラゴンクエスト ユア・ストーリー もんたさんの映画レビュー(感想・評価)
ドラゴンクエスト5とは全く別物
小学生の頃、ドキドキしてやったドラクエⅤとは全くの別物。
その時の気持ちでどんな再現力になっているのかと期待して見た結果、評価は1。最低。
まずストーリーの大筋は踏襲されているかと思っていたら、終盤で斜め過ぎる角度の展開が待ち受けており、何もかもぶち壊される。
脚本を書いた人はドラクエⅤに対して思い入れも無ければプレイしたこともないのだろう。というレベルで酷い。
設定も酷く、ある少年がドラクエ5のVRゲームをやっているというモノ。今でいうSAOとかオバロ的な設定か。
ドラクエⅤをやってきた30 ~ 50代の世代、特にドラクエⅤに強い思い入れがある人にとっては怒りや蔑ろにされた気分になるはず。
さらに言えばキャラ設定や声の設定から本当にドラクエⅤを知ってる人が設定したのか疑問になるレベル。
特に酷いという点を以下に記す。
1.まずパパスの声が若すぎる。どう考えてもドラクエⅤのパッケージ見れば誰でもわかると思うがもっと年上だろ、と。しょっぱなから違和感ありすぎて出鼻を挫かれる。
2.主人公のキャラが明るすぎる。これはVRゲームをプレイしている青年の性格によるから仕方がないのだが、それにしてもドラクエシリーズって主人公が会話をしないという点から、もう少し寡黙で落ち着きがあって欲しいし、さらに世界平和を守るという使命感を持つ、正義感の強い、勇敢な主人公というキャラ設定が暗黙的にドラクエ5ファンの間には在るはずだ。
ドラクエ5を知らない監督が思いつきでやってるからかもう無茶苦茶な世界観。
3.ジャミ・ゴンズ・ブオーンが弱すぎる。ブオーンはバギマで倒される。そんなに弱いわけないだろうと。ジャミ・ゴンズに至ってもワンパンで終わる。そんな雑魚ではない。しっかり戦闘シーンを入れて盛り上げてほしかった。
この辺りからも監督の浅はかさが見受けられる。
4.終盤戦のミルドラース登場かと思ったらVRゲームに侵入したウイルスが登場する。終盤はミルドラースと戦闘して倒すというシナリオで良いのになぜこんな駄作に駄作を重ねるのか。
ウイルス設定は寒すぎて興ざめする。
というよりこの映画監督は従来ストーリーでの映画の成功に自信がなかったのだろう。
だからあえてタイトルはドラクエ5を使ってはいるが、ストーリーは全く別のオリジナルにしたんだろう。本来のストーリーで失敗することを恐れた故の愚行。それなら初めからこの映画の監督を受けるなと言いたい。
こんな脚本を提示されて堀井雄二さんも良く許可できたものだ。自分の作品を蔑ろにされた気分にならなかったのか?
総じて最低な映画でした。はっきり言ってドラクエ5ではない。
一応、良かった点も以下にまとめておく。
1.終盤のウイルス展開まではオリジナルストーリーも含め、そこそこ楽しめる。ドラクエⅤ好きでも楽しめるだろう。
2.CGがそこそこ良い出来である。特に魔法を使うところやモンスターデザインや動作も良い。
3.フローラがおばあさんに化けたところの演出が哀愁を感じる。個人的に好きな演出だ。
4.ドラクエⅤのサウンドがふんだんに使われている。その使われている場面もすごく適切だと感じた。場面場面にマッチしている。ここは間違えてると感じたシーンはなかった。
またⅥのサウンドがあったのだがそこに凄く哀愁を感じた。個人的ここも有り。
5.主人公が少年時代の主人公へドラゴンオーブを渡すところのシーンに哀愁があった。確かゲームではゴールドオーブと呼ばれていた。
6.戦闘シーンが迫力ある。ゲマと闘うシーンはカッコいい。ボス戦の曲と相まってかっこよさが増す。
7.マーサが個人的に好きだったので魔界の門を守っているシーンはぐっと来た。ブオーンが仲間になったり、子供が双子じゃなかったりとSFC版ドラクエⅤと違う部分も多々あっただけに、マーサが助かる世界線も見たかった。
欲を言えば妖精の村のストーリーも欲しかった。ベラのような妖精は子供の頃にしか見えないという設定があったと思う。その設定のおかげですごく侘び寂びが出ていて好きだったので、あると尚良しだった。
この映画を見ると、またドラクエⅤをやりたくなった。
以上。