「おっ、0.5星まで低くつけられるんだ。それならつけるしかないでしょ!」ドラゴンクエスト ユア・ストーリー 映画はたまに見る程度さんの映画レビュー(感想・評価)
おっ、0.5星まで低くつけられるんだ。それならつけるしかないでしょ!
ネトフリで観れるようになったので、いやな予感しながらも観ましたよ。
例のアレが起きるまでは、個人的にはそれほど辛くはなかったですね。
新しい方の封神演義のアニメでも思いましたが、結局のところ懐古厨に対するサービスというのがこれ系の作品の結構大事な部分を占めていると思うので、「明らかに説明不足だ!」なんて言う人もいますが、自分はあの何十時間もかかるゲームの中のエッセンスだけでもちゃんと抽出出来ていたことは良かったかなと思います。封神演義も1クールでサービスカット詰め込んでということでアレなんだなぁと勝手に納得したくらいなので。
主人公が三枚目になっていたのも、結果的にビアンカがより可愛く見えたので帳消しで良いです。ああいう元気なヒロインはツボですね。王様のレストランで、山口智子超可愛いとか6歳ぐらいで思っていたことが大きくかかわっているように思います。
そうやって、「不完全だけど、あの頃のノスタルジーをうまく抽出している」であれば自分は星を4つぐらい付けて、「みんな素直に懐古厨になれよ」と言っていたと思います。
でもねぇ、最後でビックリしたわけです。
……ダメでしょ、この作品を喜んで観るような愛すべき懐古厨を「お前らchilidishなんだよ」って斬って捨てたら。
それが楽しくて観ているのに、それを斬って捨てたらもうエンターテインメントじゃないよ。少なくともこの作品の根幹を揺るがす事態だと思う。ほとんどみんな懐古で観てんだから。
ゲームという表現形態は、既に実写と見紛うレベルの3D映像を駆使して、あなた方がクソみたいなオチで使い捨てた、VRに代表されるような体験型のコンテンツを生み出せるほどになってんのよ。だからe-sportsなんてものが出てくるんでしょ?
それを積み上げていったのが、ファミコンからスーファミにかけてのドラクエやFFであったと自分は思っている。あそこでストーリー性の高いものを作ってきたから、子どものおもちゃがこれだけ長く語られるものになったわけで。
明治の頃は「小説を読むと莫迦になる」なんて言われていた、虚構を現実に見せる仕事が、遂に体験型の娯楽になって、それがもう一度映画に帰ってくるというのはとても感慨深いことだと思うし、それをもっと誇りに思って仕事をした方が良いと思うんだけど。
というか、この映画を作ることを決めた人間は、何でゲームをやらない人間を監督にしたのか。ゲームという文化が、こうして映画になるような、現代人にとって日常的な娯楽の選択肢の一つであると思えるようになったことを、映画という誰の目にも触れる形で表現できる期会を、ゲームに理解の無い老害が潰してしまったんだよ。スクエニさん、自分で自分の首を絞めているよ?
ドラクエ5はちゃんとしたエンタメでしたよ。現代でも通じる真っ当で完璧なエンタメです。この映画はその事実を否定している時点でもう、エンタメの端くれとも言えない。
せめてこのどんでん返しが面白ければいいが、映像制作スタッフが非常にいい仕事をされているので、あのメタ発言が冗談になるほどの作り物感がないんですよ。作り物感がもっとあればあれも許されたんだけど、この映画ってドット画で描かれているわけじゃないんだよねぇ...あれ、本当にドット絵時代の、更に言えばRPGツクールの素人作品でよくあるメタ展開なんだよな。ある意味懐かしかったわ。
娯楽映画の監督が作ったものとは思えないアンチエンタメです。ドラクエの黒歴史として永遠に刻まれればいい。総監督の名前を検索してこいつの作品はもう観ないと思ったのは人生ではじめてです。老害脳で一生アンチエンタメやってろ。
そしてスクエニですよ。いいゲームを作ったことに誇りを持てって。持ってたらこんな舐めたオチを許容するようなことにはならん筈だよ。誇りを持って、いいゲームを作って、それをまた映画に出来るような超大作にしてくれよ。本当によろしくお願いします。
確かに。責められるべきはゲーム未経験の監督よりは、この監督にオファーし、この脚本(オチ含む)にゴーサインを出したスクエニですよ!
小説版ともモメてるし(笑)