「むず痒い感じの違和感とオチがちょっと…」ドラゴンクエスト ユア・ストーリー マツマルさんの映画レビュー(感想・評価)
むず痒い感じの違和感とオチがちょっと…
30代以上の人には「ドラゴンクエスト」と言う単語は様々な思い出があると思いますが、その思い出に浸りたくなったのと、あの壮大な音楽を劇場で体感したかった。
あと、多くの人の感想が結構酷評だったのでw、観ない事には始まらないと思い、鑑賞しました。
で、感想はと言うと、いろいろとまとわりつく違和感。
ドラクエと言う単語にドキドキワクワクし、夏休みに相応しい感じもしなくはない。
絵もキレイだし。
それでも思ってたのとなんか違う。
いろんな作品で名を馳せた山崎貴監督。
もしかしたらドラクエは好きではないんじゃないかいな?と、思えるぐらいの違和感があります。
ドラクエと言えば、様々な世代での思い出のドラクエ作品がありますが、初の映画化でドラクエⅤの天空シリーズをチョイス。
個人的にはロトシリーズなら嬉しかったけど、それは好みなので良しとしても、ドラクエシリーズの中でも様々な選択肢と人生が詰まった天空シリーズのドラクエⅤをチョイスする辺り、ちょっとひねくれてる様にも思えるw
親子三代に渡っての壮大な人生を描くのには普通で考えたら2時間程度の上映時間では足らない筈なのに、観ていて1時間40分程度で中弛みがする。
メリハリがある様で無い。
またドラクエシリーズに必要なのは冒険や出会い、感動だけではないはず。
個人的にはもっと様々な武器を手にする行程を観たかったし、いろんな魔法を取得するレベルアップを観たかった。
それらが全てすっ飛ばし。
メラゾーマとかバギクロスってそんなに簡単に覚えられる魔法だったっけ?
ドラクエのオープニングで流れるあの「ドラゴンクエストマーチ」にこれから始まる冒険と興奮、感動に心震えるのに、オープニングで流れず、なんか中途半端な所で流れるし、いろんな所で使っているのもなんか雑に感じる。
いろんなシーンで流して欲しい作中のBGMもきちんとした使われ方をしてない。
これならラストに流れる曲もドラクエシリーズ屈指のエンディング曲の「この道わが旅」を使用して欲しかったなぁ。
ドラクエⅤでの思い出はやはりビアンカかフローラのどちらかを選ぶのが最大の難所。
個人的にはビアンカを選ぶのに文句は無くても、謳い文句の「どちらを選ぶかの究極の選択」と言う程、究極の選択に描かれてない。
ちょっとフローラの描き方が雑と言うか軽い。
最大の難点は多くの人も感想で言ってる様にコンピュータウイルスのオチ。
これを描いてしまうと全てが嘘臭く感じるし、あの画面の中の冒険に一喜一憂しての感動はなんだったのか?となる。
ロールプレイングゲームの意味は各自に割り当てられたキャラクターを操作し、架空の状況下で試練を乗り越えて目的を達成する事なのに、製作側が“これは遊びだよ”と言うかいな?
少なくとも、当時リアルタイムでやっていた時はHPが少なくなって死ぬ間際のドキドキし、レベルが上がって、新しい魔法を覚えたら嬉しかった。多分この歳になっても“所詮ゲーム”と冷めた感じでプレイする事はない。
そんな事をしてもゲームは面白くないし、それこそゲームに対しての冒涜とも思う。
それはゲームでも映画でも同じ事で作り物と言い切った時点で製作側が与える感動は薄れますよ。
この辺りは山崎貴監督なりの考えに考えたなりのこの作品における結末だとは思う様に考えたいけど、ちょっとひねくれ過ぎたかなと。
このオチはそんなに目新しくはないし、個人的にはリングシリーズの小説の「ループ」を思い出しました。
多くの人が“それを言っちゃあおしめえよ”と思った“大人になれ”の台詞は良い意味に考えられる事が出来ない謎です。
スラリンは可愛いけど、最後の最後でロトの剣を出してきたのもやっぱり違う。
なので、山崎貴監督はドラゴンクエストシリーズは好きでは無いんだなぁ…と言う風にしか思えないんですよね。
声優もなんか違和感があるけど、ラストに比べたら大した事がなく感じるぐらいw
いろんな違和感があっても、まだなんとか個人的な好みで済ませられても、やっぱりこのラストは無いなぁ。
このオチを使いたかったのなら、少なくとも国民的RPGゲームのドラクエで使うべきではなかった。と思います。
様々な作品には好みがあって、個人の感想はあくまでも一意見にしか過ぎません。鑑賞前からの酷評に敢えて“観ない事には始まらない”と思って鑑賞しましたが、やっぱり残念な感じです。
ただ、史上最強のダメではないのもなんか戴けない。
ラストは多くの人と同じく“NO!”ではありますが、その他のまとわりつく違和感があっても完全に駄目にならない感じ。
中途半端なんですよね。
あくまでも一意見と捉えた上でそれでも観ない事には始まらないので、敢えて駄目を承知で鑑賞するのも、アリかも知れませんw