劇場公開日 2019年8月2日

「原作ファンには猛毒と言える作品」ドラゴンクエスト ユア・ストーリー Mikhailさんの映画レビュー(感想・評価)

1.0原作ファンには猛毒と言える作品

2019年8月10日
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泣ける

悲しい

単純

非常に残念でならない作品。なぜ残念かというと、一つの要素を除き、他は大変よく出来ていたためである。

映像はリアルモンスターを演出するくらい高グラフィックで、音楽はすぎやまさんのドラクエらしい曲と現代でも通じる楽曲の構成である。キャスト陣はやはりほぼベテランである為、非常に良い演技だった。

しかし、一つの要素がダークドレアムの如く全ての破壊した。

それがシナリオである。
原作が存在するものを映画で使う場合に行ってはならないタブーが2つ存在する。

ひとつは「原作に対する冒涜演出」
ふたつは「シナリオを崩壊させること」

この作品は両方をやってしまっている。

確かに100分でゲーム内容をカバーするのは尺が少なく非常に厳しいとはいえ、重要なシーンも削ってしまうと事務的にシナリオが進んでいるだけのつまらないものになる。ゲームをプレイ済みの視聴者は展開を知っているので原作を大きく改変しない程度のオリジナル要素もいくつか盛り込むことも必要だった。

さらに衝撃のラスト。

このラスト展開によって、この作品中でDQV自体がデウスエクスマキナになってしまった。シナリオを意図的に崩壊させて、真のクライマックスで衝撃を与えるために使われる演出技法を視聴者に衝撃を与えるだけのために使ってしまった。

「パルプンテで、回避不可の「全体必中ザラキーマ」が発動し、シナリオが全滅した」
と言えるだろう。

デウスエクスマキナ自体が悪いわけではなく、ただ使うだけだとシナリオを壊すだけの役目しか果たさないということだ。

デウスエクスマキナの良い例として、劇場版名探偵コナン「ベイカー街の亡霊」「初代メンインブラック」「映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦」のラストシーンがある。

3番目の例はデウスエクスマキナの特殊例で、逆都合展開、逆デウスエクスマキナと言われる。

この3作のようなデウスエクスマキナは非常に良い演出であり、良い衝撃を視聴者に与える。
しかし、締めとなる展開を綿密に考えないと今作のようになる。結果、原作を冒涜し、原作崩壊させてしまった。

...ということで音楽、映像、キャストは非常に良かったのに対し、これら全てを統括するシナリオが全てを破壊したので星1。他に欠陥が少しでもあったら0.5だったかもしれない。

またデウスエクスマキナ展開がなくても、ただカットした原作を良質グラフィックで見ているだけで真新しさは感じられないのでギリ星2.5くらいだろう。
これならPS4やPCでDQVをリメイクした方が全然マシと言える。

Mikhail