「尺はもっともっともっと短くて良いと思うけど」ドラゴンクエスト ユア・ストーリー Scottさんの映画レビュー(感想・評価)
尺はもっともっともっと短くて良いと思うけど
観てたらゲームシナリオと映画のシナリオは全然違うんだってことが解った。
最初、堀井雄二が「プロットできたよ」って渡したものを、受け取った方が「脚本が来た!」と認識して、そのまま映画化しちゃったんじゃないかと思ったの。「なにがどうしてこうなった」っていう筋の説明だけで話が進むんだよね。だからキャラクターに感情移入とかなくて「ふーん」っていう感じ。
それなりに凄いことが起きてるんだけど、感情移入してないから「ふーん」ってなるのね。
でも、これゲームだったら違うなって途中で気付いた。自分がキャラクターに扮して色々やってるから、感情移入が自然にできてんだよね。そこで、それなりに凄いシーンがくると「うおー!」って感動するだろうなって。
ゲームに対して映画の尺が短いから、しょうがないとこもあんのね。「フローラかビアンカか?」って、ここだけで二時間の映画になるもんね。
だから「10年間奴隷でした」みたいなところいるのかな?って思ったの。そこは省略して、フローラとビアンカと出会うシーンからやった方が良かったんじゃないかなとか。
でも、そこからも長いもんね。ビアンカと結ばれたって思ったら、いきなり石にされて。そしたら子供が大きくなる三世代物語で「《バーフバリ》かよ!」って思ったね。ドラクエの方が前だけどさ。
後は、あの悪いやつ倒して大団円だなって観てて、特にストーリーに感動とかなかったんだけど、まあいいかと思ってたのね。
そしたら、出てきたね。突然テーマが。
『これはゲームの話です』って言われて、「えー!」ってなるとこなんだろうけど、そもそも感情移入できずに観てるから「それ、知ってるよ」ってなんのね。
それで主人公が「これは自分にとっては現実なんだ!」と力説するんだけど、「うん、ゲームやってるとそう思うね」と普通に納得するかな。
ドラクエが好きでこの映画観てる人はね、改めて言われるまでもなく「あの世界は自分にとっては現実だ」って思ってるよね。だから変なのが出てきて「これはゲームです」って言っても「えー! そうだったの!」とはならない。テーマを語られても意外感がない。二時間弱、映像でドラクエの世界を体感させなくても、テーマは自明として受け入れちゃうね。
だから、このテーマを語るなら、尺は15分くらいでいいんだよ。ドラクエVのシーンをダイジェストで流して、「でも、この世界は自分にとっては現実だったよね、みんな」って言えば「うん、うん」って頷いてくれると思うの。
「仮想世界といえども、没入したらそれは現実だ」っていうテーマは好き。それを描きたかったっていうのも良かったと思う。そのチャレンジを観ただけでも、もとはとったよ。
CGじゃなくて実写でやったら「えー!」ってなって、考えるところがあったかもね。