「美と真実だけを追求し、他は忘れろ」ビル・エヴァンス タイム・リメンバード 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
美と真実だけを追求し、他は忘れろ
BGMが欲しい時、集中して作業がした時、そういう時にかけるのはいつもJAZZ。そして、ファースト・チョイスは決まってビル・エヴァンス。彼のエレガンスでデリケートなメロディが好きなのだ。
彼の映画、ドキュメンタリが上映と聞いた時、はじめて、彼の人となりをまるで知らないことに気付いた。知っているのは、髪をべっとりと撫でつけて、黒縁の眼鏡をかけて、猫背でピアノを弾く。マイルスと組んでいたこともあり、トリオの録音が多数ある。・・そのくらい。
そして観たこの映画。彼も、そう彼さえもドラッグに溺れていたことに愕然し失望もした。しかし、エリック・クラプトンをはじめ、数多くのミュージシャンも手に染めている魔物にすがるしかなかった彼の苦悩をも想像し、痛ましくなった。ドラッグに「逃げた」というよりは、身を腐らせながら身を削りながらでしか産まれてこない、美しいものがある、そう思えた。
コメントする