「爆笑しながら観れる復讐劇」スノー・ロワイヤル といぼ:レビューが長い人さんの映画レビュー(感想・評価)
爆笑しながら観れる復讐劇
「息子を殺された父親の復讐劇」という程度の事前知識で鑑賞。
主演のリーアム・ニーソンをあまり存じ上げてなかったんですが、どうやら復讐映画の主演になりがちな人みたいですね。ネットで調べたら「いつもの展開」「お約束」とか言われてて笑っちゃいました。
結論から言えば、かなり楽しめました。「息子を殺された復讐劇」なんて言われたもんだから重い感じの映画かと思いきや全くそんなことはなく、むしろ笑っちゃうくらいポップな復讐劇でした。ラストのオチも最高です。
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雪深い田舎町のキーホーで除雪作業員として働くネルズ・コックスマン(リーアム・ニーソン)は模範市民として表彰を受けるほどに真面目で実直な男だった。しかしある日、一人息子が麻薬の過剰摂取で亡くなってしまう。真面目な青年だった息子がクスリをやっていたことに違和感を感じたネルズは独自に調査を行うと、地元の麻薬組織が息子を殺害したことが判明する。最愛の息子を殺されたことで怒り心頭のネルズは、麻薬組織への復讐を誓い、組織の人間を一人一人殺害していく。
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今まで真面目で誘惑に負けない人生を歩んできたお父さんが、息子の死をきっかけに復讐の鬼となり、麻薬組織の人間を次々と殺害していく。あらすじだけ聞くと重くてしんどい作品に思えますが、本編観てみると全く重苦しさは感じませんし、むしろところどころ笑っちゃうようなコメディタッチの演出が多いですね。主人公のネルズは戦闘の訓練を受けた人間ではないので戦い方は正直鈍くさいですし、爽快感のあるアクションシーンみたいなものはありません。しかし見た目はただのオッサンなので、油断しきった麻薬組織の構成員は不意を突かれてあっという間にネルズに殺されます。しかも、麻薬組織の幹部たちもまさか模範市民賞取るようなオッサンが自分たちの組織に攻撃を仕掛けているとは全く気が付かず、敵対していた別の麻薬組織からの攻撃だと勘違いして、組織同士の抗争に発展する始末。町全体を巻き込んだ大抗争に発展していく様は観ていて爽快感がありますし、アンジャッシュのコントを観ているような感覚です。
ネルズが模範市民賞を受賞するスピーチで、「自分の道をずっと進んできた。他の道に行きたいとも思わなかった」みたいなことを言っていましたが、これはネルズが雪に埋もれた道路を拓く除雪作業員として脇目も振らずに働いてきたことと、これから「模範市民」としての道を外れて組織に復讐する外道となることの暗示ですよね。なんだかオシャレ。
愚直で泥臭いネルズに対して、麻薬組織はかなりスタイリッシュにカッコよく描かれているのも面白かったです。対比になっていて実に良い。スマートでカッコいいけど危機感のないおバカである麻薬組織の構成員たちは愛嬌があって良いキャラが多いですね。死に際も笑えてしまいます。
最後には「バイキング」率いる麻薬組織と、それに敵対するネイティブアメリカンの麻薬組織、そしてネルズの三つ巴の抗争に突入し、ラストには大量の死者を出す激しい銃撃戦も繰り広げられます。お腹いっぱいの展開です。
抗争終了後はどこかしっとりした雰囲気になりますが、その後のラストには壮大なオチも用意されており、最後まで笑って見ていられる映画でした。出血を伴うような痛々しいシーンもほんの一部しか無いので、グロが苦手な人でも楽しめると思います。
まぁ、あくまでもおバカ映画ですので、復讐によるカタルシスとか復讐をすることの是非とかを問うような内容はありませんので、そういうのを期待していると肩透かしを食らうかもしれません。何も考えずに笑って鑑賞するにはうってつけの作品だったと思います。オススメです!