燃えよ剣のレビュー・感想・評価
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男たちの生きざまに畏敬の念 148分の力作
岡田准一、鈴木亮平、山田涼介ら俳優陣が見事に作品世界を生きたことが、見事に映し出されている。主要キャストに括れないかもしれないが、芹川鴨に扮した伊藤英明も存在感も秀逸だ。男たちの譲れない、それぞれの矜持が儚く、美しく、畏敬の念すら抱かせる。
司馬遼太郎の歴史小説が原作、さらに新選組副長・土方歳三の生涯を描いていることを鑑みれば、語るべきポイントが多くあることは誰しも承知しているだろう。それゆえ、この148分を長いと解釈するか、これくらいが適切ではないかと解釈するかで評価は分かれるかもしれない。
原作を読了の方はご承知のはずだが、小説で描かれていた「男色の気配が蔓延し内部崩壊していくさま」が、映画では一切が省かれている。映画として捨てる部分、捨てられない部分は当然あるだろうが、ここは「燃えよ剣」を描くうえで回避できない箇所だったのではないか……と考えた時期もあったが、そんなことは大した問題ではないと思えるほどに、新選組の面々の生き様に胸を打たれる。とにもかくにも、これは映画館で鑑賞すべき素晴らしい力作であることは間違いない。
歴史上の人物として土方歳三には興味大で有るのだが、純愛物語が自分には鼻についた
原田眞人 脚本・監督による2021年製作(148分/G)の日本映画。
配給:東宝、アスミック・エース、劇場公開日:2021年10月15日
原作は司馬遼太郎とか。確かに、新撰組No2で、戊辰戦争、会津、函館でも司令官として維新軍と戦う土方歳三は、歴史上の人物として私にも非常に興味深い存在で、そういった意味で映画自体も興味深く見ることは出来た。
また、斬り合いのアクション映画としては、土方岡田准一は適役で、池田屋事件の血生臭い描写も史実っぽくて良かった。ただ、沖田総司役山田涼介は、結核持ちは似合っていたが剣での凄腕を見せず仕舞いで、ひどく物足りなかった。共同制作者に藤島ジュリーK.が入っていたが、無理筋の配役の様に思ってしまった。
鈴木亮平(東京外大卒とか)演ずる近藤勇は、度胸は凄いが(あの人数で寺田屋に斬りこむ)決して賢くはない田舎もんで、実際にもあんな感じだったのかなという説得力の様なものは感じた。一方、伊藤英明が演じた芹沢鴨は、酒・女に溺れ破滅的だが、演技力のなせる技かなかなかに魅力的にも思えた。
同じ新撰組ながら、妾・梅―壬生と一緒に惨殺するとは、史実とは言え、何と酷い近藤・土方と思ってしまった。戦国時代でも、女・子供に手をかけたのは信長以外は知らないが、それを簡単にできてしまうのが、武士階級でなく教養に乏しい新撰組ということなのか。
土方歳三(岡田准一)とお雪(柴咲コウ)の純愛模様が、とってつけた様で何とも鼻についた。原作にあるんだからしょうがないということかもしれないが、良いヒトすぎて柴咲コウの目力のある魅力が十分に生かされてない様に思ってしまった。
監督原田眞人、原作司馬遼太郎、脚本原田眞人、製作市川南 、佐野真之、共同製作兵頭誠之 藤田浩幸 、藤島ジュリーK. 、杉田成道 、弓矢政法 、飯塚浩彦 、宮崎伸夫 、広田勝己 、林誠 、鯉沼久史 、吉川、臼井真之介、撮影柴主高秀、照明宮西孝明、録音矢野正人、Bカメラ撮影堂前徹之、ステディカム、堂前徹之、美術原田哲男、装飾尾和人、衣装デザイン宮本まさ江、VFXスーパーバイザーオダイッセイ、ヘアー&メイクアップ渡辺典子、SFXデザイナー
渡辺典子、床山・美粧HOD高嵜光代、音響効果柴崎憲治、編集原田遊人、音楽土屋玲子助監督、谷口正行 、増田伸弥、スクリプター川野恵美、殺陣森聖二、スタントコーディネーター
中村健人、土方関連殺陣岡田准一、キャスティング田端利江、ラインプロデューサー和田大輔 、渡辺修、プロダクション統括佐藤毅。
出演
土方歳三岡田准一、お雪柴咲コウ、近藤勇鈴木亮平、沖田総司山田涼介、松平容保尾上右近、一橋慶喜山田裕貴、井上源三郎たかお鷹、孝明帝坂東巳之助、山南敬助安井順平、永倉新八谷田歩、藤堂平助金田哲、七里研之助大場泰正、佐藤のぶ坂井真紀、佐藤彦五郎山路和弘、松平春嶽松村武、外島機兵衛酒向芳、関白近衛忠煕新納慎也、新見錦松角洋平、八木雅勇家寛子、斎藤一松下洸平、山崎烝村本大輔、深雪太夫陽月華、お梅月船さらら、岡田以蔵村上虹郎、久坂玄瑞石田佳央、桂小五郎淵上泰史、吉田稔麿山村憲之介、中島登渋川清彦、
糸里阿部純子、池田屋女中お菊櫻井麻七、大沢逸平マギー、宮部鼎蔵三浦誠己、伊東甲子太郎吉原光夫、市村鉄之助森本慎太郎、ジュール・ブリュネジョナス・ブロケ、清河八郎高嶋政宏、丸十店主柄本明、本田覚庵市村正親、芹沢鴨伊藤英明。
んー
あんまり…うーん。…普通。
原作は大好きで青春の一冊なんですけど、アレがコレになっちゃうのか…て感じ。燃えてなかった。良さが全然出てない。土方歳三が昔話をするという手法にしたのも良くない。長過ぎるし感情移入しにくいし、恋愛要素もオマケというか軽い…柴咲コウのセリフの言い方が元々あんまり好きじゃなくて。お顔立ちは好きなんですけどね…(ファンの方には申し訳ない。良さが分からない人なのねーと思って下さい)
年齢層もやや高め。
土方歳三なんかは特に前半は違和感ありました。歩き方も想像と違いました。上州の百姓出とは言え、なんかもっと…。
ストーリーは詰め込み過ぎだと思います。
池田屋なら池田屋に絞るとか、何が描きたいのか明確にした方がいいのではないでしょうか。梟の城の方がまだ面白かったかな。
3回観た。もっと観たかった
岡田准一→御本人も歴オタだからか、土方歳三に敬意を持って強く逞しく演じてくれた。まさに、令和に現れた益荒男。
自分は『新選組!』も好きだったが、山本耕史の土方歳三とはまた違った良さがあった。
『ファブル』も面白かった!
鈴木亮平→『西郷どん』、『天皇の料理番』、『孤狼の血』も最高だったが、近藤勇もピッタリだった。
これまでの鈴木亮平の総決算のような、懐の深さと儚なさを併せ持った好漢だった。
鈴木亮平の近藤勇が好きな人は、おそらく、今年の大河ドラマの木曽義仲や源範頼も好きだと思う。
まさに、悲劇のリーダーといった趣きだ。
田舎の剣道師匠兼歳三の幼なじみとしての前半と、政治に呑み込まれて迷走し始める後半と、両方とも良かった。
“ふぉとぐらふを撮る”と聞いて、顔を真っ白に塗りたくって出てくるあの場面…。
あれは、彼なりの、“高貴な人物の真似”だったのだろうか?
頑張っても、頑張っても、田舎者成分が抜けきらない……そんな不器用さが、非常に愛おしい。……そう思う、田舎好きの私。
応援したくなる近藤勇だ。
強さと不器用さが共存していて泣ける。
芹沢鴨/『新選組!』の芹沢鴨も素敵だったが、あちらはムンムンとした成熟した大人の色気+破滅の美。
こちらの芹沢鴨は、ギラギラした男の色気に、時々無邪気さをチラ見せさせる、罪な芹沢鴨だった。
あんなにギラギラしていて悪人顔が似合うのに、子供達からは人気があって、子供達から誘われて、一緒に縄跳びをしたりする(笑)
そういう普段とのギャップに、お梅は惚れたんだろうな…と思った。
子供は、悪者を見抜くのが得意だ。
この映画の芹沢鴨は、実は良い奴だったのかもしれない。
その博識を買われて、近藤勇に懐かれていたのも面白かった。(笑)
史実の芹沢鴨は、お鹿と小寅という女性に乱暴狼藉をしたそうだ。
実際に周りにいたら、厄介極まりない男である事は間違いがない。
だが、時代劇になると、とてつもなく魅力的な人物になるのは何故なのだろうか?
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見所としては、やはりラストの土方歳三の乗馬シーンだ。
コロナ禍の最中に上映されたとは思えない、ド迫力のスペクタクルシーンになっている。
殺陣が得意な岡田准一の面目躍如。
昨今の時代劇ではあまり見られない、豪華な合戦シーンは一見の価値あり。
なお、自他共に認める新撰組オタクの私だが、新撰組は内部抗争が多かった事でも有名な少数集団だ。
史実及び、時代小説の巨星・司馬遼太郎の原作になぞったエログロな場面が劇中結構な頻度で出てくる為、そういった場面がOKな人にオススメしたい。
昔の時代劇は、もっとグロい場面が出てくる作品もあった。
久しぶりに、昭和の時代劇の様な、野心的で古典的な骨太時代劇を見た。
時代劇が若者の流行であった頃の、あの感触だ。
ありがたい。
斎藤一は、ハマり役だったが思ったより出番が少なく、残念。
お雪は、夫を亡くした悲しみをひそかに猟奇絵で癒しているという設定が、悲哀があり良かった。
新しい恋を見つけて、だんだん乙女になっていくお雪も可愛かった。
彼女が、ラストシーンで土方歳三の遺体を見る場面は、悲しかった。
毎回、近藤勇が死に赴く場面と、お雪のその場面で涙腺崩壊していた。
よく出来た再現ドラマ。映画作品としては凡作。
原田眞人監督は「突入せよ!あさま山荘事件」などドキュメンタリータッチで骨太な作品を作る名人芸監督という好印象をもってるが、この作品に関しては「頼まれたから劇場二時間枠で適当にまとめてみた」感が否めない。
無論、司馬遼太郎ファンであり、原作は数十回擦り切れるほど読み込んだので、例えどのような監督が作品にしようと満点評価はないだろうが、それにしても「やっつけ感」が酷い。
とにかく詰め込みすぎて展開が速すぎて、原作ファンですらついていけないし余韻も何もない。
前知識にない人はもっと混乱するのではないか?
原作の改変するなら監督の思うようにストーリー作る、原作引用するならセリフだけでなく人間関係も描く、という割り切りが非常に中途半端でどこにも監督の主張がない。
例えるなら他人のお店まかされて、適当に時間潰す仕事に徹したチーママの営業作品てとこか。
これは「映画作品」じゃないね、テレビで観る再現ドラマのクオリティかと。
ただとても映像は綺麗で、池田屋の切り込みの場面は迫力や臨場感あったので星一つ追加しました。
配役も斬新で良かったと思いますよ。
沖田役の山田涼介の演技は見直しましたし、山崎燕役のウーマン村本の怪演は見ごたえあった。
アマプラ無料で見たのでこの評価ですが、お金払ってみる価値のある作品じゃないね。
ある意味期待値通りの作品でしたが、原田監督の評価はだだ下がりました。
武士の中の武士たる土方歳三の生涯
司馬遼太郎の原作である「燃えよ剣」の劇場版。
大河ドラマ「新撰組!!」の影響もあり、近藤勇、土方歳三、沖田総士らはその生没に併せた若い俳優たちにキャストされ、井上源三郎はお爺さんとなっている。
展開としては函館滞在中の土方が自身の半生を振り返り、幕府顧問のフランス人武官の質問に応える形で西暦による出来事を時系列で語る。
土方は「バラガキのトシ」として天領多摩の百姓の子であり、自分たちの主君は「公方様」(徳川将軍)という意識を持って成長する。
実戦剣術と打ち身に効く石田散薬の行商売買により土方は青春を過ごす。
また土方は攘夷論者であったことが一度もなく、蘭学者に師事した開国論者であり、江戸を離れる際に餞別に貰った懐中時計を肌身離さず大切にしている。(劇中で最愛のお雪に預けられる重要アイテム)
また新撰組の組織も旧来の武士団と違い、西洋流の指揮系統を持つ組織として素案を練った。
沖田総士らの「助謹」という役職も「オフィサー」を日本流に呼び換えたもので、小隊長であり局長、副長の指示で動く戦闘単位を示す。
そうした考え方故に同じ副長であり、天然理心流の食客で生粋の武士かつ攘夷論者の山南敬介とは初めからソリが合わず、土方の構想が実現していくと山南は次第に居場所を喪い、離隊した後に武士の意地で切腹している。
一方で土方と対を成す、会津藩主松平容保は旗本の子に産まれ、会津藩主の後継に抜擢されるが「桜田門外の変」の後に幕府総裁となった松平春嶽と「安政の大獄」から復権した一橋慶喜の恫喝に屈し、京都守護職という新設された火中の栗を拾う羽目に陥る。
松平容保の唯一の誇りと心の支えは孝明天皇から勅定を受け取り、過激派公卿に手を焼く孝明天皇が最も信頼するのは会津公だと示され、王城(京都)の平安を護れるのは容保と会津だと明言されたことだった。
ちなみにこれは「燃えよ剣」でなく司馬遼太郎の別の作品「王城の護衛者」からの引用。
攘夷志士たちを取り締まるのは正規の武士にとっては「穢れ」である(江戸の治安を取り締まる同心たちもその実、非正規武士)ため、清川八郎が会津の与力として江戸で浪士組を募って上京することになり、天然理心流の門下生たち近藤勇とその門弟達はその一員として支度金を与えられる。
土方は佩刀として大名の持つ名物を欲し、兄と姉に無心して大金を用意し「和泉守兼定」を求めるが、使い手がおらず埋もれていたとして古物商から僅か5両で入手し、磨き抜いた上で正に命を預けて戦うことになる。
その実、尊王攘夷派たる清川八郎は幕府の金で浪士組を上京させながら、将軍家茂警護は口実に過ぎず、長州と呼応すると宣言。
土方は水戸天狗党の生き残りである芹沢鴨らと清川暗殺を企てるが、打ち合わせ通りに行動しない芹沢が大喝したことで襲撃に失敗し、挙げ句に失敗の責任を巡り私闘することになる。
結局、清川は別の刺客に暗殺された。
近藤と共に浪士隊の局長となった芹沢は勝手な金策や酒色に溺れ、赤穂浪士を彷彿とさせるだんだら模様の隊服を採用するなどやりたい放題する。
土方は偶然沖田総士と共に土佐の攘夷志士たる岡田以蔵を発見して戦闘に及ぶが長州藩の援軍により窮地に陥り、負傷を手当しようとしていたところ、後に妻となるお雪に助けられる。
お雪が江戸出身の絵師だと知った土方は実戦想定型の隊服デザインを依頼する。
芹沢派を抑えるため土方は局中法度を作り、芹沢排除の手筈を整えていく。
また隊士募集においても監察として活躍する山崎蒸ら畿内の事情に精通した非武士も加え、密偵として使いこなす。
会津藩連絡役として松平容保の信認も得た土方は豪商鴻池からも金策した芹沢の蛮行への謝罪後始末と共に排除の確約を得る。
芹沢派で剣客たる新見錦を先に罠に掛けた土方は芹沢を泥酔させた上で厳選した部下たちと共に暗殺を決行。
芹沢は亡き弟に似ているとの理由で特に可愛がっていた沖田総士に討たれた。
やがて隊内で絶大な発言権を持つ土方自身が調査され、土方が懇意にしているお雪の元夫が長州藩密偵だったと山南に詰問され、土方はお雪と距離を置こうとする。
土方の真意を知る沖田は二人を取り持つキューピットたろうと奔走する。
だが、そのお雪から池田屋に長州藩士たちが集まっているとの情報を得る。
300年前の関ヶ原の戦いを未だ恨む長州藩士たちは足を東に向けて寝る慣習があり、襖の張り替えで出入りしていたお雪はその模様を見ていた。
土方は古高俊太郎を捕縛して拷問にかけ、長州藩士が池田屋に集結していると確認するが、敢えて自分たちは別働隊として御用改めにより他の潜伏先候補を潰す側に回る。
薬屋として池田屋に潜り込んだ山崎は宴会の準備を手伝うフリをして長州藩士たちの佩刀を隠し、内部から新撰組突入を手引き。
近藤、沖田、藤堂らは池田屋に入り戦闘を開始。
志士のリーダー格たる宮部鼎蔵については山崎が事前に人相を確認しており、近藤に知らせる。
急報を受けた土方らも後詰めとして池田屋に向かう。
池田屋では激闘となり負傷者死傷者が続出し、土方を案じるお雪は臨時救護所を設けて治療に尽力する。
土方到着時には沖田は労咳により戦闘不能に、更に藤堂も額を負傷していた。
藤堂と吉田稔麿との戦闘に加わった土方は討ち果たすものの、藤堂との間に遺恨が生じてしまう。
池田屋事件に続く蛤御門の変においては新撰組は主戦場から離れていた為に目立った活躍もなく終わる。
しかし、名を上げた新撰組は分裂と内部闘争に突入する。
沖田は土方とお雪を結び付ける役に徹するが、労咳は次第に蝕むようになり、山南の離反を追跡し、切腹においては介錯役となるが沖田の持つ「菊一文字」が殺めたのは同志山南一人となる。
近藤がスカウトした伊東甲子太郎は新撰組の分裂工作に関わり、同門の藤堂を抱き込む。
15代将軍徳川慶喜は朝廷との対立や内戦を危惧するあまり大政奉還を断行。
攘夷佐幕派の象徴だった孝明天皇も不審死し、伊東一派は御陵衛士として近藤と袂を分かつ。
近藤はあたかも大名のように佐幕派を纏めるため奔走し、土方と距離が生じる。
そんな中、近藤暗殺未遂が発生し、狙撃された近藤は二度と刀を振れぬ身となる。
土方は薩長同盟を成立させた坂本龍馬こそ日本の将来に必要な人物だとして巷間の噂に反して暗殺事件に関与せず、伊東らへの復讐で油小路事件を主導し、先に殺めた伊東の遺骸を囮に御陵衛士を集め、殲滅しようと藤堂も討ち果たす。
だが、この事件の影響が近藤の命運を絶つことになる。
鳥羽伏見の戦いにおいて新撰組は精神的支柱だった井上源三郎を喪い、松平容保と近藤は戦闘を忌避した慶喜に拉致される。
フランス式洋式主力部隊を擁しながら江戸に撤退した慶喜の決定で鳥羽伏見で惨敗。
江戸での戦いを嫌われた新撰組は甲州街道で官軍を迎え撃つ形となるが、心折れた近藤は新撰組を土方に託して投降し、御陵衛士の残党の告発で斬首される。
恭順を示し謹慎する徳川慶喜に対し、薩長から恨み骨髄で狙われる松平容保は苦悩の末に会津で交戦する決意をし、土方も容保の味方として会津に向かう。
松平容保を京都守護職に就けた松平春嶽は官軍に、慶喜は恭順と、梯子を外された容保と運命を共にすると誓う土方こそ悲劇の志だった。
転戦を重ねる中で、労咳療養のため江戸に預けた沖田は誰にも看取られることなく病死し、山崎は江戸への撤退中に死亡。隊士たちもそれぞれの判断でちりぢりとなった。
函館五稜郭を電撃的に制圧した土方の武名は敵味方に知れ渡る。
また転戦に際して髷を切り、洋装した土方は嫌っていたフォトグラフで後世にその勇姿を残す。
そして、対話の場面たる現在に到った。
友情の証として「和泉守兼定」と拳銃を交換。
お雪はその生涯を土方歳三の妻として送る決意で函館にやってきた。
別れ際に預けられた懐中時計を土方に返却して抱き合う二人。
すでに降伏を決意した榎本武揚と袂を分かち、官軍参謀部に単騎突入した土方歳三は狙撃によりその生涯を閉じる。
その亡骸はお雪たちの救護所に運び込まれるのだった。
洋装で洋式戦術や組織運営の中心を担った土方歳三こそ、形骸化していた武士の概念を新たな方向性に進化させようと苦闘した武士の中の武士であり希代のケンカ屋だった。
岡田准一が土方歳三を見事に演じきっている。
映画のお手本 王道
私は司馬さんのファンです。この小説も既読です。
この映画は「映画の要素」の全てが一級品でした。圧巻です。
映像、音楽もさることながら、笑い、歌、ダンスをちゃんと入れてるんですよね。
「笑いの要素」は芸人を入れてアクセント的に面白要素がありましたが、使い方が本当に上手でした。
村本は早口漫才、そのまま演じていました。なのに全く違和感がなく、「村本に似てるな~」とノホホンと見てしまっていました。これを司馬作品に入れようなんて凄すぎます。
「歌とダンス」も、新選組を茶屋で踊らせて、後半でええじゃないかの行進を入れていました。この時代って既にバイオリンあったんですね。原作にあったかは思い出せません。
映像も昼、夜、雪、夏、多くの建物、血しぶき、などなど本当に「映像」に対するこだわりを感じましたね。見ていて飽きさせない効果もありそうです。
音楽、戦闘中にクラシックが流れるのは有名な手法だったと思いますけど、本当にマッチしますよね。不思議です。
映画の王道を突き進んだ映画だと感じましたが、一方で特徴がないなぁとも思いました。
とにかく原作を、史実を映像化すべく頑張ったのかなぁという印象です。丁寧に作られているんですけど緊張感がないというか、淡々と進んで行く様に感じてしまいました。
ちょっと欲張り気味だったので、もう一つテーマを絞っても良かったかもしれません。それか上下編にするかですが。個人的には、司馬さんは近藤をコケ下しているので、もっとその視点で土方の生きざまに対する葛藤が欲しかったですね。
どうでもいいんですが、伊藤英明さんは本当に酒乱というのをラジオで聞いたことがあります。芹沢にぴったりでした。
時代ではなく夢を追い続けた男、土方歳三
かつてバラガキと呼ばれた男土方歳三が仲間と共に新選組を結成し夢を追い続けました。だが明治初期に近藤勇、沖田総司が亡くなっても夢を諦めませんでした。だが最後の銃弾を浴びられた時は衝撃でした…
この新選組の存在こそ伝説になった組になった…
・監督は本当に原作好きかよ?〜これは映画とは言えない〜
【以下私が個人的に良い◎と思った所です。】
・出演者のキャストさんの演技力が高く配役がすごく良い事
・とにかく岡田さんの陣やアクションなどがすごく良くカット割も綺麗な所、とくに池田屋のあたりなどは全体的に良いです。
・新撰組土方歳三とはどんな人物なのかを3時間でざっと一通り知ることができる、新撰組を知らない方にはオススメだったと思います。
以上
【※ここからはネタバレも含む個人的な不評コメントです。苦手な方はここでお控えくださいね。】
・まず全体的に内容が薄い!脚本が悪いとしか言いようがない。歴代『燃えよ剣』の中でもほんっっっとに酷い印象でした。
あれだけのキャスト、お金、司馬遼太郎の燃えよ剣と言うブランドを使っておきながらよくここまでつまらない作品が出来るなあ。と言う印象です。(あくまで個人の感想です!)
・特に言いたいのはキャラクター愛みたいなものがまるでなく、ドラマがなく、心情や描写みたいなものが何も無い事ですね。本当に新撰組好き?原作呼んだ?と叫びたくなるほど
ただ淡々と土方の一生を時系列でばーと土方の語りで説明されただけ。
写真のようにパラパラと場面が変わり、最後戊辰戦争→死→end。みたいな印象。
原作の良さを何も活かさず、新撰組の良さを何も活かさず、土方歳三独特の男臭さ、みたいなものを何も活かさず、観客を置きざりにして淡々と時間が進みます。
・一体誰の何の為に何を伝えたくてこの映画を作ろうとしたのかまるで意味不明。わざわざ土方が主人公の燃えよ剣ではなく、新撰組と言うタイトルでやればよかったのでは?と思う程。
・あまりにポッと出てきたキャラが何もないままポッと死んでの繰り返しでもう心の声入れてもいいから、このキャラはどんな人でどんな繋がりがあって主人公(土方)は今何を思ってるのかを表現するべき。
・原作ではあんなに鮮やかに描かれていた
山南との因縁や嫌悪感も伝わってこなく、粛清されようが何も思わない。というか、どのキャラがいつどこで死のうがなにも思わない。(それだけ薄い)沖田はいつのまにかあっさり死ぬし、1番肝心な七里との描写も内容もほぼない為、多分観客は意味分かってない。出てきたことすら知らない。
前半は、バラガキ、バラガキを口で連呼する割には全然それを作品として表現できていないし、流行病で道場がもうダメになりそいでどうしよう…とか何としても出世したい!武士になりたい!なんてゆうドキドキする模写なども一切ございません。あっさり新撰組になれるし、芹沢もなんやかんやであっさり殺せます。
何度も言いますが、アクションや陣ばかりに凝りすぎてるのか、話が淡々としすぎで何も残りません。
【まとめ】
・3時間弱で江戸から戊辰戦争までをやるのは大変だったのがわからなくもないが、だとしてもワンシーンごとがあまりにも雑で淡々としすぎる。
・確かに原作に擬えてるシーンも多々あり、(愛刀購入シーンや壬生菜など)やりたい事が分からなくもないが、内容や因縁があまりにも薄すぎて正直これは燃えよ剣どころか映画ではないです。
これは、ただの映像がついた伝記の朗読です!
以上
※ここまで不快にさせてしまったら申し訳ございません。これはあくまで私1番個人の主観です。
重厚かつリアル。岡田くんの凄み。
いい映画だった。
幕末ものとして出色の出来だし、事実は曲げられないから、オリジナリティを活かすのは脚本次第。
ただ、このテイストはエンターテインメントとしては地味と感じたよ。
原作へのリスペクトはある。
そもそも、幕末維新は男臭く血生臭い。ならば、もっとエンターテイメントでいいのではないか?るろ剣のように「ありえねー!」と言うくらいでいいのではないかなあ?殺陣もリアルで地味で残酷。もっと芝居がかっていてもいいのではないかなあ?
女子や子供にウケないでしょ。実際、映画館はおっさんばっかりだったし。藁
ポスターはいいのよ燃えてるし。
岡田くんはファブルからの出番が多いけど、彼の良さは役が立っていること。岡田くんはファブルの佐藤に見えるし、土方にみえる。
そんな中、たくさんの芸人がいい味を出してた。ウーマンラッシュアワーの村本など出色の存在感だった。般若の金田もよかった。
逆に岡田以蔵役の虹郎くん(綺麗すぎ)や斎藤一役の松下洸平くん(いい人すぎ)はミスキャストと感じた。特に斎藤一と言えば剣客として知られており、るろ剣の江口洋介のような凄みが足りず、戦闘中は雑魚にしか見えない。
しかし、特筆すべきは鈴木亮平!ついこの前は西郷どん今回は近藤勇。素晴らしい役者だと思う。
あと、芹沢鴨を演じる役者は得だなと思う。どの作品でも、ある意味変わらない悪。伊藤英明良かったねえ。
大作映画の日本の限界か
役者はいい!
岡田准一は言うに及ばす、鈴木亮平、山田涼介、柴咲コウ、脇の、ウーマン村本、市川右近、山田裕貴、柄本明etc.皆んな良かった!
映像も素晴らしい!
シーン毎にワクワクするし面白いし魅せる!
原田監督の真骨頂だと思う。
けど、残念ながら映画としてのドラマは感じられなかった。
肝心の新撰組の形が漠然として見えて来ない。
『燃えよ剣』の土方歳三は、新撰組の誕生から滅び去るまでを自分に重ねて生きている。その人間ドラマがこの作品だと思う。
映画もそれを描こうとしたのは分かる、分かるが、原作全部を描こうとして返って中途半端になってしまっている。
映画の芯になる新撰組が置き去りになってる。その成り立ち、形成された姿、滅び去る様、それが手に取るように描かれてないと、いくら土方の動向や歴史を追い掛けても彼が、新撰組が美しく見えて来ない。
小説のダイジェストをスペクタクルに見せられているだけ。
勿体ない、非常に勿体ないと思った。
新撰組の形成に、清河八郎、芹沢鴨、伊藤甲子太郎らと土方はどう対峙したか、近藤勇や沖田総司、藤堂平助、山南啓介、斎藤一etc.彼らとのコミュニケーションとその葛藤や思いがもっとちゃんと描かれてないと、土方と新撰組の生き様が見えて来ない。バランスが悪く中途半端。
そう言う所が沢山ある。雪山を行進する画など土方と新撰組の行く末にほとんど関係ない。そう言う事実があったと言うだけだ。それをお金を沢山かけて、勿体ないよ。そう言う無駄なシーンが点々とある…勿体ない、とても勿体ない。
そう言う映画だと思った。
鼻血と涙に注意
元より新撰組の話が好きですが、司馬遼太郎のこの作品はやはり別格ですね。
観終わった直後で興奮と喪失感でバグった文書になっていると思いますがお許し下さい。
理想の士道に生き、鬼の副長を務め、仲間も隊則に従わなければ容赦なく斬り、暗殺を命じて涙も見せず。時代の変わり目に仕えた主君に裏切られ、次々に散り散りになっていく中で一時の愛を育む。
土方歳三(岡田准一)が愛刀を磨いて、その波紋を見つめる視線だけで男ですが鼻血が出そうな色気。
お雪(柴咲コウ)を抱き寄せ触れようとする呼吸も、触れようとする不器用な手も、返そうとする時計を握らせて放させない仕草も愛しさで溢れています。
夜這いしかけて遊びまくっていた男が、一人の女性にこんなにも不器用な姿に燃え(萌え)ますね。
そして沖田総司の一途な愛と、病で闘って死ねない無念さと、見舞う土方が彼の前では鎧を文字通り脱いで寝転ぶ姿。
近藤勇との信頼感と離れていく距離、沖田総司との戯れ合いの可愛さも格好良すぎて余韻だけでご飯三杯はいけそうです。
司馬遼太郎の新撰組が今日の新撰組ののイメージを作った、逆賊だった土方歳三をヒーローにしたというのもうなづけます。格好良すぎて油断していると涎が出そうです。
男の滅びの美学と言えば確かにそうなのですが、隊士たちに関わった女性たちの会話やそれを見護る眼差し。心配して黙っていられないお雪の心の動き。
お雪が愛しくて可愛くて、抱き合って呼び合うシーンの柴咲コウさんも最高で、最後に駆け寄る姿の近づきたいのに近づきたくない悲哀が傑作のフィナーレに相応しいと思います。
視聴習慣の変化もあり、隊士一人一人に十分なスポットが当てられないのも含めて、主人公土方歳三を浮き彫りにするための演出がより切なさを際立たせます。
血飛沫、激しい殺陣とカメラワークと夜襲を含めた暗いシーンが苦手な方以外は是非観て欲しいです。
日本で今、これだけの殺陣が出来る役者が何人いるかな。芸術でした。
期待はずれ
楽しみにしてた映画でしたが、結局印象に残ったのは胸糞悪いエロいシーンと池田屋で村本が目立ってたところくらい。
展開が早すぎて、何回か見ないと誰が誰かわかりませんでした。
退屈なのか斜め前のお爺さんはすやすや寝ていました。
どう斬るか?
って作品でしたね。
まず 先に言いますが、 駄作とは私は思ってません。
それと司馬遼太郎先生の原作を私は読んでいません。
そういった面からの感想とだと思ってください。
私は新選組を題材にした作品である。
柴咲コウさんが好きなのでっていう事で観に行きました。
で、この作品を感想ですが、
あくまで土方目線の土方の半生をあつかった作品であって。
新選組の物語じゃない作品だなって思いました。
新選組目線ですとがっかりするでしょうね。
そういった土方目線の作品だとしても
納得のいく内容じゃありませんでした。
土方目線であったとしたら近藤の扱いが酷い
この近藤の立ち位置が「この中途半端!」
そして 一番納得いかなかったのは、
山南との確執です。
土方目線の作品なら ここをこんな雑にしちゃいけないと思います。
あくまで個人感想なのですから何とも言えませんが、
NHK大河の新選組で
山南の葛藤と壮絶な死が頭から離れず観てしまっているかもしれませんが、
ホントに無念です。
無念すぎる。
だからこんなラブストーリーになっちゃったんですよ。
柴咲さん 素敵すぎて ラブストーリーですよ。
土方 伝家の宝刀 抜きたくなっちゃいますよ。
ありがとう 柴咲さん。
以上が私の斬り方です。
あと 藤堂は斬っておくか!!
つまなぬ者を斬ってしまった!
知れば迷い 知らねば迷わぬ 映画道。 新撰組の魅力は伝わるが、やはりダイジェスト感は否めず。
新撰組「鬼の副長」、土方歳三の生涯を描いた時代劇。
監督/脚本は『ラスト・サムライ』(出演)、『検察側の罪人』の原田眞人。
主人公、土方歳三を演じるのは『コクリコ坂から』『永遠の0』の岡田准一。なお土方関連の殺陣は、岡田自らが監修している。
土方の運命の女、お雪を演じるのは『ガリレオ』シリーズや『名探偵コナン』シリーズの柴咲コウ。
新撰組局長、近藤勇を演じるのは『ホットロード』『海街diary』の鈴木亮平。
新撰組一番隊組長、沖田総司を演じるのは『暗殺教室』シリーズや『グラスホッパー』の山田涼介。
徳川第15代目将軍、徳川慶喜を演じるのは『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』『万引き家族』の山田裕貴。
「人斬り以蔵」と呼ばれる土佐藩士、岡田以蔵を演じるのは『ディストラクション・ベイビーズ』『犬ヶ島』の村上虹郎。
新撰組三番隊組長、斎藤一を演じるのはテレビドラマ『東京タラレバ娘2020』『最愛』の松下洸平。
新撰組隊士、中島登を演じるのは『さくらん』『ゴールデンスランバー』の渋川清彦。
小道具屋丸十の店主を演じるのは『シン・ゴジラ』『万引き家族』の、レジェンド俳優・柄本明。
新撰組初代局長、芹沢鴨を演じるのは『悪の教典』『22年目の告白』の伊藤英明。
原作は皆さんご存知、司馬遼太郎の同名小説。これまでに何度となく映像化されている作品である。
私の「燃えよ剣」リテラシーとしては、10年以上前に原作小説を読んだことがある、という程度。本作以外の映像化作品は未鑑賞です。
原作の「燃えよ剣」は正直うろ覚え…というか、ほぼ覚えていないんだけど、実はちょっぴり新撰組ファンだったりします😆
と、いうのも自分が中2の時に放送していた大河ドラマ『新撰組!』(2004)。これがめちゃくちゃ流行っていた!男のみならず、同級生の女生徒もこれを観てキャッキャキャッキャ言ってましたから、男女関係なく人気があった…というかむしろ女の子の方に受けていたような気もする。
中2の時に触れたカルチャーがその人の一生を形作る、という説がありますが、自分も完全に新撰組に惚れた❤️というか、山本耕史演じる土方歳三に惚れた💕
そこから幕末時代に興味を持ち「幕末最強剣士は誰だ!?」みたいな本も読んだりして、「山岡鉄舟強え!伊庭八カッケェー!」みたいなことをずっと言っていた。
大学時代には、池田屋の跡地を見に行ったり、壬生屯所旧跡八木邸を見に行ったりしましたねぇ。八木邸は、ガイドさんに案内してもらいながら建物の中を見学できるので結構楽しい。芹沢鴨の付けた刀傷が残る梁なんかもあって、「おお、ここに刀を引っ掛けてしまって、そのスキを総司に切られたんやな!ドラマで観たわ!」とか思いながら観光してました✨
さらに、函館に行った時にはちょっと足を伸ばして、「碧血碑」という旧幕府軍の戦死者を祀った石碑を見たりもしました。ここはすごく山奥で、夏場に行くと蚊に血を吸い尽くされそうになるので注意🦟
とまぁ、なんだかんだで一時はどハマりしていた新撰組。
自分より上の世代なら「風光る」や「るろ剣」、下の世代なら「銀魂」や「薄桜鬼」「ゴールデンカムイ」「新撰組異聞PEACE MAKER」など。漫画やアニメ、ゲームという媒体を使い、若い世代にも確実にファンを増やし続ける化け物コンテンツこそが新撰組である。
土方さん、世が世ならIPビジネスで大金持ちになっていたよアンタッ!
そこからこの映画の弱点がみえる。
今や新撰組には、近藤、土方、沖田以外にも、永倉新八や斉藤一、原田左之助、藤堂平助、山崎丞、源さん、サンナンさん…など、メインの隊士たちにはみなそれぞれ固有のファンが付いているのです。ちなみに自分は超甘党の島田魁推し。
原作「燃えよ剣」でも、近藤・土方・沖田以外の隊士はほとんどモブのような扱いだったような気がする。ただ、「燃えよ剣」の原作が発表されたのは1962年。「鞍馬天狗」での扱いを見ればわかるように、やはり当時の新撰組は悪役というイメージであり、主要3人以外の個々の隊士までフィーチャーされ、人気が出る時代が来るとは、司馬遼太郎も思っていなかったことだろう。
だから、やっぱり今現在新撰組をメインに据えて物語を描くのならば、原作から一歩発展させて、少なくとも組長クラスのキャラクターは存在感を出して描かないと、ファンは納得出来ないでしょう。
藤堂平助の、試衛館時代の仲間につくのか、伊藤先生の側につくのか、という葛藤は描いて欲しかった…。左之助の宝蔵院流槍術も見たかったし、新八と近藤の別れや山南さんの脱走に至るまでの心の機微、酒を呑んでいない時は穏やかだったという芹沢鴨の姿など、あぁ色々見たかった…。
とまぁ、上記したことは半ばわがまま。
土方歳三に着目して、一本の物語をキッチリ描き切る、というスタンス自体は良いと思う。
ただ、やはり一人の男の人生を、立身出世からその死に至るまでを描くというのは、TVドラマならまだしも一本の映画としては欲張りすぎ。せめて前後編の2本立てにしないと、土方歳三の一生を描くのは無理でしょう😅
150分という長尺でありながら、なんか忙しなくて物語の流れが掴みにくい作品だったなぁ、という印象。「池田屋事件」のみに着目して、そこを徹底的に掘り下げる、とかでも充分映画になったんじゃないかな?
ただでさえこなさなければならないイベントが多いのに、岡田以蔵とのチャンバラという唐突なドリームマッチが描かれる。そんなことをしている暇があるのなら七里研之助とのライバル関係を、もっと丹念に描いて欲しかった。これじゃあ七里がただのモブだよ…。
不満点ばかり書いてしまったけど、基本的には楽しめました。
とても良かった点は山田涼介の沖田総司感✨繊細さと優しさ、そしてそこから滲み出る残酷さ。これはもう文句なし!歴代最高の沖田総司だったんじゃないですか?
何より本作が素晴らしかったのは、新撰組をヒーローとして描かなかったところ!
必要な時は後ろから斬りかかる、作戦のためなら女が巻き添えになっても構わない、非道な拷問も平気で行う、丸腰だろうと容赦なく斬殺する。
芹沢鴨の暗殺も、池田屋での斬り合いも、全く爽快感はなく、ただただ血みどろの地獄絵図として描かれている。
なんたって新撰組は、嘘か誠か戦死した隊士より粛清された隊士の方が人数が多い、と言われるほどの狂人軍団。内ゲバばっかりやっている連合赤軍みたいな人たちなわけで、それをヒーローとして描いてしまうと魅力が半減。
独自の武士道を貫き通した、どこまでも真っ直ぐで時代遅れな無用の長物。その儚さこそが新撰組の魅力。
そこがキチンと描かれていたので、それだけでこの作品に満足満足😋
池田屋事件の前、まるで文化祭の準備でもしているかのような隊士たちの浮かれっぷりも何処となく可笑しく可愛らしい。全体的に、男所帯の独特の空気感みたいなものがよく描かれていたように思う。
全く新撰組のことを知らず、ただ岡田准一や山田涼介のファンだというだけで本作を鑑賞した人は、ストーリーが全く理解出来なかったのではないだろうか?と思うほどのダイジェスト感は確かにある。
「刃牙」か貴様ッッ!と突っ込みたくなる、土方歳三のインタビューという形式で展開されるストーリーはちょっと強引だとも思う。
でも、やっぱり新撰組は良い。新撰組をしっかりと描いているというだけで個人的には満足。万人にオススメは出来ないが、少なくとも新撰組ファンなら一見の価値ありじゃないっすかね?
筆舌に尽くし難し
素晴らしかった…。
海外の知り合いから「何かお勧めあるか?」と聞かれたら、真っ先にこの作品を挙げたい。
目を惹くのは、圧倒的な存在感を放つロケ地の数々。作り込まれたセットもいいけど、この堂々とした佇まいというか、荘厳な居住まいというか…これらの風景や建造物を選択し、作品の一部として後世に残した監督の偉業を讃えたい。
登場人物達が纏う所作も美しく、久しぶりにホントに久しぶりに「時代劇」を楽しんだように感じる。
土方の独白で構成される物語は、とても魅力的で語り部たる本人の半生に思いを馳せる。
あんなにチャーミングに土方を描いているとも思わず嬉しかった。きっと沖田役の山田氏の功績もあったろうと思う。役者陣は皆様、生き生きてしてて瑞々しく、特殊な口調に全く違和感も覚えずで…ホントに素晴らしかった。色んな「新撰組」を観てきたけど、今作のキャラというか、その解釈は全部好き。
というか…初めて様式美ではない新撰組に出会ったような気がする。
等身大の隊士たちってのは夢想が過ぎる感じもするけど、物語の中の登場人物じゃない気がした。
なんか、そう思うと…煌めきや儚さに泣けてくる。
お雪のいじらしさに泣かされる。
何に琴線を揺らされたのだろうか?自分でも分からず、頬を伝う涙で気がつく始末。
違和感があったとするなら編集くらいだろうか?
原田監督にしては珍しい編集のように思えた。
全然悪くなくて、むしろ俺は好きだった。
なんていうか息遣いまで感じ取れそうな距離感を覚えたので。
また、撮って欲しい。
「関ヶ原」はあまり好きではない。
圧倒的に違ったのは、作品世界に対する集中力だったような気もする。
日本の映画界には、まだまだ原田眞人は必要だと思う。
土方ダイジェスト
この監督はダメだ!
なんで燃えよ剣のタイトルで作っているの?
ツッコミ何処満載w
ジャニタレは相変わらずセリフが聞き取れない!なんで最初から雪と沖田は最初から知り合いなの?
芹沢と伊東との関係が映画では薄い
伊東に限ってはトータル5分出てないしw
いわゆる試衛館組の連中の判別がほぼ分からない
分かるのは源さんと山南だけ
他の役者が誰なのか分からないw
蛤御門の変など歴史的変換期は全く無視
いわゆるナレ話、そして宿敵七里剣之介は何処で死んだの?原作の対決無し!
幕末のそして新選組歴史を理解していない人が観たら全く分からないストーリー感満載!
土方の最後のセリフ勝手に変えんな!
この監督って関ヶ原も撮っている筈だけど、それも含めて司馬さんに謝罪して欲しい。
はっきり言って駄作!
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