「歴史上の人物として土方歳三には興味大で有るのだが、純愛物語が自分には鼻についた」燃えよ剣 Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)
歴史上の人物として土方歳三には興味大で有るのだが、純愛物語が自分には鼻についた
原田眞人 脚本・監督による2021年製作(148分/G)の日本映画。
配給:東宝、アスミック・エース、劇場公開日:2021年10月15日
原作は司馬遼太郎とか。確かに、新撰組No2で、戊辰戦争、会津、函館でも司令官として維新軍と戦う土方歳三は、歴史上の人物として私にも非常に興味深い存在で、そういった意味で映画自体も興味深く見ることは出来た。
また、斬り合いのアクション映画としては、土方岡田准一は適役で、池田屋事件の血生臭い描写も史実っぽくて良かった。ただ、沖田総司役山田涼介は、結核持ちは似合っていたが剣での凄腕を見せず仕舞いで、ひどく物足りなかった。共同制作者に藤島ジュリーK.が入っていたが、無理筋の配役の様に思ってしまった。
鈴木亮平(東京外大卒とか)演ずる近藤勇は、度胸は凄いが(あの人数で寺田屋に斬りこむ)決して賢くはない田舎もんで、実際にもあんな感じだったのかなという説得力の様なものは感じた。一方、伊藤英明が演じた芹沢鴨は、酒・女に溺れ破滅的だが、演技力のなせる技かなかなかに魅力的にも思えた。
同じ新撰組ながら、妾・梅―壬生と一緒に惨殺するとは、史実とは言え、何と酷い近藤・土方と思ってしまった。戦国時代でも、女・子供に手をかけたのは信長以外は知らないが、それを簡単にできてしまうのが、武士階級でなく教養に乏しい新撰組ということなのか。
土方歳三(岡田准一)とお雪(柴咲コウ)の純愛模様が、とってつけた様で何とも鼻についた。原作にあるんだからしょうがないということかもしれないが、良いヒトすぎて柴咲コウの目力のある魅力が十分に生かされてない様に思ってしまった。
監督原田眞人、原作司馬遼太郎、脚本原田眞人、製作市川南 、佐野真之、共同製作兵頭誠之 藤田浩幸 、藤島ジュリーK. 、杉田成道 、弓矢政法 、飯塚浩彦 、宮崎伸夫 、広田勝己 、林誠 、鯉沼久史 、吉川、臼井真之介、撮影柴主高秀、照明宮西孝明、録音矢野正人、Bカメラ撮影堂前徹之、ステディカム、堂前徹之、美術原田哲男、装飾尾和人、衣装デザイン宮本まさ江、VFXスーパーバイザーオダイッセイ、ヘアー&メイクアップ渡辺典子、SFXデザイナー
渡辺典子、床山・美粧HOD高嵜光代、音響効果柴崎憲治、編集原田遊人、音楽土屋玲子助監督、谷口正行 、増田伸弥、スクリプター川野恵美、殺陣森聖二、スタントコーディネーター
中村健人、土方関連殺陣岡田准一、キャスティング田端利江、ラインプロデューサー和田大輔 、渡辺修、プロダクション統括佐藤毅。
出演
土方歳三岡田准一、お雪柴咲コウ、近藤勇鈴木亮平、沖田総司山田涼介、松平容保尾上右近、一橋慶喜山田裕貴、井上源三郎たかお鷹、孝明帝坂東巳之助、山南敬助安井順平、永倉新八谷田歩、藤堂平助金田哲、七里研之助大場泰正、佐藤のぶ坂井真紀、佐藤彦五郎山路和弘、松平春嶽松村武、外島機兵衛酒向芳、関白近衛忠煕新納慎也、新見錦松角洋平、八木雅勇家寛子、斎藤一松下洸平、山崎烝村本大輔、深雪太夫陽月華、お梅月船さらら、岡田以蔵村上虹郎、久坂玄瑞石田佳央、桂小五郎淵上泰史、吉田稔麿山村憲之介、中島登渋川清彦、
糸里阿部純子、池田屋女中お菊櫻井麻七、大沢逸平マギー、宮部鼎蔵三浦誠己、伊東甲子太郎吉原光夫、市村鉄之助森本慎太郎、ジュール・ブリュネジョナス・ブロケ、清河八郎高嶋政宏、丸十店主柄本明、本田覚庵市村正親、芹沢鴨伊藤英明。
土方という人物を司馬遼太郎がどう分析したか、それを描かないと原作小説を映画化したとは言えないのですが、ストーリー(つまり史実)を追うことに神経がいっちゃってましたね。
場面場面ではサスガと言える演出を見せてくれてましたけれど。
原作は押しも押されもせぬ司馬遼太郎の傑作でした。
この映画も、原田眞人作品らしく、悪くはないのにあんまり良くも感じないという、ちょっと残念な作品に仕上がってますね。