「これは……ドキュメンタリー」燃えよ剣 Scottさんの映画レビュー(感想・評価)
これは……ドキュメンタリー
土方歳三の一生を淡々と描いてくのね。確か原作もそんな感じだったような。
ロケ場所が時代を感じさせる場所で統一されてて良かったの。序盤の歳三が歩くシーンに輪だちがある道が出てくるんだけど「惜しい!」と思っちゃった。
高嶋兄が演説をぶつシーンは東寺金堂だね。「国宝でロケとは!」と盛り上がった。
柴咲コウが出会ってから毎晩、二人分の夕飯を作ってるのいいね。
こんなことされたら、一発で落ちる。そしてこの二人、最後の戦に出る直前まで寝ないのね。いまだと考えられないけど、当時はそうだったのかな。
沖田総司に惚れる芸姑役の女優さんも良かった。阿部純子っていうんだね。覚えとこ。
池田屋騒動の最中に、薬屋として忍び込んでいた山崎烝が女中さんから『十字屋さん』と声を掛けられると『十字屋ちゃう。新選組の山崎烝や』って返すんだけど、「この人は、十字屋として、女中さんからも愛される人生を送ったほうが幸せだったんじゃないかな」って思っちゃった。新選組のいる世界が壮絶すぎるね。
鳥羽・伏見の戦いで徳川慶喜が出陣せず逃げちゃうんだけど、会津藩主が藩兵を見殺しにした形になっちゃうの。後に『すまん』と藩主が謝ってまわるんだけど、謝って済む話じゃないんだよ。見殺しにしてんだから。それでも『藩主、良い奴だ』みたいな扱いになるのが、政治も絡んだ戦いの厳しさというか、難しさというか。
思惑の違いから、人がどんどん殺されるよね。明治政府を作った人たちは、腕っぷしに自信がある今でいうヤクザみたいな人が多かったのかな。その中で生き残った土方歳三はすごいな。
観てて思ったのは、誠を貫くと割りを食うよね。どこかで風見鶏みたいになって、時流にのってくと、生き残って美味しい思いもできる。でも、それって、なんなのか。
みんな歳三みたいに生きたいと思いながら、できないから、歳三は語り続けられるんだろうな。